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かつての里山に暮らす動植物 その3 草 ~やっぱり花はいい~

 ん~まあ、なんとも愛らしいゲンノショウコの花。

 かつての里山というより、くさっぱらや道端のような日当たりのいい場所に生えているのですが、なんせ最近はくさっぱらも少なくなって、さらにそんな場所には帰化植物たちがはびこるようになったので、この花を見ることも少ないかもしれません。

 名前の由来は「現の証拠」。下痢止めとして服用すれば、たちまちに効果が現れるから、ということ(試したことはありませんが)。

 花が終わるとこんなさやができ、

はじけてなかのタネが飛び出すとこんなふう。なんだかユーモラスな姿で、昔の人はおみこしの屋根に例えて、”ミコシグサ”なんて呼んだと聞いたことがある。こちらのネーミングもじつに洒落てる。

ワッショイ!ワッショイ!

 お次はランの仲間、コクラン。木漏れ日が差す程度の林の地面でよく見かけます。

つぼみや花茎なんかが黒っぽいのがその名の由来かな。ランの仲間は寄生植物なので、あまり陽が当たらず、光合成して栄養を得ることができなくてもいいのかもしれない。

 花のあとには細いちょうちんのようなさやができ、はじけると中からホコリのように細かいタネが舞い飛びます。風に乗ってタネはどこまで運ばれていくのやら。

 最後はササユリ。かつては里山を代表するような草花であったのが、最近はめっきりその数を減らしていると言われます。林の下の木漏れ日が注ぐような環境に生えるのですが、周囲の草木がやぶのように茂っていると暗くて成長することができません。里山が里山であった頃、林のなかのやぶは燃料や家畜のエサとしてきれいに刈り払われていたのでササユリも芽を出せたのでしょうが、里山としての利用がなくなった現在、やぶが生い茂ったなかでこの植物は数を減らしてしまったのでしょう(盗掘もけっこうあったと思われる)。

葉がササのようだからこの名が付いたのでしょう。そして、とくに、日が暮れて森のなかに湿気が漂うようになると花の匂いを強く感じるような気がします。というのも、前職でホタルの観察会をやっていたとき、夕方になってホタルの出る川まで森のなかを歩いていくと、この花の匂いが強く漂ってきたからです。同僚の人は「この花が咲くとホタルも出始める」と言っていました。

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