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【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(19)「民間法制審議会」の統一教会汚染

前代未聞の暴挙

昨日の夕方のことでした。

離婚後も父母の双方に親権を認める「共同親権」をめぐり、法制審議会(法相の諮問機関)の中間試案の決定が先送りされる見通しとなった。26日の自民党法務部会でさらなる議論が必要と判断され、了承が得られなかったため。当初は30日の法制審部会で決定後、意見公募(パブリックコメント)を行う予定だった。
法務部会では、法務省側の説明に対し出席者から「部会での意見を聞かないで中間試案を決めるなら、何のために部会をやっているのか」との反発が続出。終了後、熊田裕通部会長代理は「親権についてはさまざまな立場があり、丁寧に議論を進める必要がある」と述べ、再度部会を開く考えを示した。

(上記記事より)

私も法律業界にいい加減長く身を沈めておりますが、こんな暴挙は聞いたことがない。

この一報を受けて、twitter上の共同親権界隈は蜂の巣をつついたような騒ぎとなりましたが、どうやら、寝耳に水は反対派だけではなかったらしい。

このファーストアクションはまことに興味深く、推進派の中でも、この仕掛けから「外されていた人」がかなりおられることが推察できます。

さて、昨日の騒動の引き金となった組織は、「民間法制審議会」。

アメ横感漂うネーミング

もはや(笑)を付けざるを得ない。

民間法制審議会(笑)ってどこのどいつだよ

というお話しなのですが、ご丁寧に推進派のサイトで丸わかりです。

これによると、

[部会長]
弁護士 北 村 晴 男
[委員]
長崎大学准教授 池 谷 和 子
臨床心理士 石 垣 秀 之
ボローニャ大学教授・イタリア弁護士 カテリーナ パシーニ
国際刑事裁判所顧問・フランス弁護士 ジェシカ フィネル
オーストラリア弁護士 ステファン ペイジ
麗澤大学客員教授・元埼玉県教育委員⾧ 高 橋 史 朗      
イタリア弁護士 フェデリカ バロ
元フランス人権大使・元欧州議会議員・フランス弁護士 フランソワ ジムレイ

上記HPより

特定の国の外国人ばっかり

です。そもそも彼らが日本の民法に精通しているかどうか謎ですし、僕は家族法の論文を100本近く読んでいますが、一度もお目にかかったことはありません。
そして、

日本の法学者は誰ひとりとしていない

という点も、論理的体系性は大丈夫か?という問題が噴出しそうですが、自分の言いたいことだけをまき散らしたい連中にとっては、まあ、関心はないんでしょう。

加害精神旺盛な提言内容

※内容については、後日、別途記事を公開します。
が、上記HPを開いていただければ、「バッカじゃねーの」な内容はおおむね把握できます。
論理的検証の価値がない。

隠された大人物の名前

上記HPによると、「 急遽、民間法制審議会家族法制部会(以下「民間法制審」と略)を設置。フランス、イタリア、オーストラリアの弁護士らを加え集中審議(本年4月26日、5月11日、5月24日、各3時間、Web会議)」とのことですが、議事録は全くありません。
果たして外国人の委員たちが、この驚愕すべき提言を了承していたか、はなはだ疑問ではありますが、検証しようがない。

そして、5/31以降、部会長の北村氏は、自民党や日本維新の会に接触し、精力的に提言活動をしていますが、本来、そこに加わっているべき大人物の名前がない。

委員の一人として名を連ねている、麗澤大学客員教授・高橋史朗氏です。

実は、彼の肩書は麗澤大学客員教授・元埼玉県教育委員長なんていう肩書では全然足りない。

日本の政治活動家、右派思想家、教育学者。一般財団法人親学推進協会理事長。元日本会議役員。

(上記Wikipediaより)

高橋氏の名前は、歴史修正主義界隈、それと対峙してきたリベラル界隈では長く知られた名前で、かつてはあの「新しい歴史教科書をつくる会」にも名を連ねていました。
かつて宗教右翼団体であった頃の「生長の家」にもかかわっています。

直近では、「こども家庭庁」問題に顔を出しています。

高橋は子ども家庭庁の名称について、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)系メディアの「Viewpoint」や「正論」(産経新聞社)などで〈このような不当な理由で「家庭」を削除する自民党議員の不見識さには開いた口が塞がらない〉〈子供の危機的状況は家庭の問題と明らかに密接不可分である。家庭を視野に入れた「こども家庭庁」であるべきだろう〉と主張していた。

(同)

これでビンゴ。
そうです。高橋氏と統一教会はずっとつながっているのです。

民間法制審議会(笑)の理論的支柱

高橋氏と統一教会の「古くからの付き合い」については、東京大学大学院教授・高橋哲哉氏が講演で次のように指摘しています。

日本で広く使われていた性教育の中学校用と高校用の副読本が画面に現れまして、なんとそれに火が付けられ、燃やされるシーンで終わるんですよね。つまり焚書ですね。かつてナチスドイツが「ユダヤ人の書物が有害である」と言って鎧の広場にそれを集めて燃やしました。それと全く同じ感性でこの性教育を攻撃している、そういうビデオだった訳なんです。このビデオは高橋氏自身が表明しているところでは、勝共連合系の団体から依頼されて出演したという事で、実は彼はいわゆる統一教会系のグループと連動しながら、ずっと現在の性教育を過激だとして攻撃してきた、そういう人物だったんですね。

(上記HPより)

この人物が、民間法制審議会(笑)でどのように立ち回ったのか、前出の教導養育支援法全国連絡会のHPに掲載された、「父母の離婚後等における子に関する事項の決定に係る規律案(中間試案)」pdfファイルによれば、高橋氏が「法務省法制審議会家族法制部会中間試案の懸念事項」(別紙1)をまとめたことが分かります。(上記pdfファイル2ページ目)

そして、この別紙1にはこんなことが書かれていました。

https://oyako-law.org/swfu/d/5.beshi1_20220531.pdf

① 見せかけの共同親権制導入(=父母双方の合意を前提とする選択的共同親権創設)
② 離婚後共同監護の禁止(=親権の要素から監護権を除外・離婚後単独親権制に代わる離婚後単独監護権制の創設)
③ 監護実績に基づき監護者を指定する現行の裁判運用及び監護権を剥奪した親から親権を剥奪する現行の裁判運用の制度化(=「継続性の原則」の制度化)(資料12、12頁)
④ 実子誘拐の合法化(=親権の要素から居所指定権を除外)(資料13、27頁)
⑤ 第三者による親子関係制限・断絶合法化(=「子の代理人」制度創設)(資料13、9頁)
⑥ 親権・監護権を剥奪された親から養育費を強制徴収するための「未成年子扶養請求権」創設(資料12、2頁)
⑦ 婚姻中の単独親権制復活(=親権の最重要要素である監護権を婚姻中から単独で父母の一方が獲得できることを制度化)(資料13、27頁)
⑧ 現に関係が断絶されている親子の救済措置の欠如

(上記pdf1ページ目)

言い換えれば、離婚後か婚姻中かに関わらず、監護権を有する母親が監護権を剥奪された父親と子を管理する「家母⾧制」が事実上誕生するおそれがあり、「両性の平等」を謳う憲法第14条(注iii)の規定に違反する可能性がある。
この制度提案が実現した折には、男性は子を養育するリスクを感じ、早晩、結婚を控えることになるであろう。これは、日本の「家族制度の崩壊」を意味する。

(同2ページ目)

論理が倒錯していますが、そこはさておき。

強烈な反共主義

前出、「父母の離婚後等における子に関する事項の決定に係る規律案(中間試案)」pdfファイルによれば、こんな文言がありました。
法制審議会家族法制部会(こちらは法務省のほんまものの組織です。)の中間試案を難じるくだりですが、

その提案内容は、「夫婦は,同居し,互いに協力し扶助しなければならない」 (民法第 752 条)との規律を基本とする日本の家族制度を根底から覆すおそれの ある革命的なものである。

(2ページ目)

革命って。。。(笑)
ここらへんの反共主義も、高橋氏の薫陶が感じられます。
さて、こうした過激な思想ですが、なぜか部会長の北村氏は、一言も口にしようとしません。

浪花節で押し通す

こちらは実際の動画。

法制審議会への強烈な批判も影を潜め、
内容は、ほぼほぼ90%、浪花節です。
なぜ、こんなに丸くなったのか。
下の未確認情報で得心しました。

どうやらホンモノの法制審議会に出てくるらしい

とのことです。

こうやって、宗教右翼は、キレイゴトの面をした三百代言を使って、子どもや女性の安全・安心を弄んでくるんですね。

つくづくこの国の民主政治は腐っています。

(了)


【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。