はじめにー本記事の目的ー
本記事は、2024年1月30日に取りまとめられた「家族法制の見直しに関する要綱案」の各論点について、家族法制部会ではどのように検討されてきたかを資料化することを目的とすることです。
内容は随時更新します。
第1 親子関係に関する基本的な規律
① 父母(親権者に限らない。)の責務等の明確化(第1の1)
② 「養育」という用語の意義(第1の1⑴)
③ 子の意見等の考慮(尊重)(第1の1⑴)
④ 扶養の程度の明確化(第1の1⑴)
⑤ 父母相互の人格尊重・協力義務
⑥ DV等に適切に対応する視点
⑦ 親権の性質の明確化(第1の2)
⑧ 「親権」という用語の見直し(第1の2)
第2 親権及び監護等に関する規律
① 親権行使に関する規律の整備(第2の1)
②「急迫の事情」の意義(第2の1⑴ウ)
③ 「急迫の事情」の要件の緩和・厳格化について
④ 親権行使についての父母の意見対立時の調整のため、新設する裁判手続における「特定事項」の範囲(第2の1⑶)
⑤ 父母間の協議が整わない場合における、裁判所の判断基準(第2の1(3))
⑥ 家庭裁判所が父母の離婚後等の親権者の定めについて判断するにあたり、考慮要素に「マイナスの要素」を明記すべきか(第2の2⑹)
⑦ 家庭裁判所が父母の離婚後等の親権者の定めについて判断するにあたり、考慮要素に「子の意思」を明記すべきか(第2の2⑹)
⑧ 家庭裁判所が父母の離婚後等の親権者について「父母の双方を親権者と定めるにあたり、考慮要素に「父母の合意」を明記すべきか(第2の2⑹)
⑨ 親権者の指定の審判又は調停の申立てがされたものの協議離婚が成立しない場合(第2の2の注)
⑩ 子の監護者指定を必須とすべき修正意見について(第2の3(1))
⑪ 父母以外の第三者に監護者指定の申立権を認める修正意見について(第2の3(1))
⑫ 監護の分掌の範囲・決定方法(第2の3(1))
⑬ 居所指定権(第2の3(2))
第3 養育費等に関する規律
① 要綱案第3の1の本文及び注で提示した規律と、民事執行法第152条の2第1項各号との異同
② 法定養育費の規定の準用(第3の2)
③ 法定養育費の請求主体(第3の2⑴)
④ 法定養育費の始期(第3の2(1))
⑤ 法定養育費の終期(第3の2⑴ウ)
⑥ 法定養育費の支払いタイミング(第3の2(1))
⑦ 法定養育費の請求のための要件
⑧ 法定養育費の額
⑨ 債務者の資力を理由とする支払拒絶の規律(第3の2⑴ただし書)
⑩ 執行手続における債務者の手続保障について(第3の2の注2)
⑪ 家庭裁判所の手続による減免等の処分(第3の2⑵)
⑫ 裁判手続における情報開示義務(第3の3)
⑬ 裁判手続における情報開示義務違反の制裁(第3の3及び第6の3)
⑭ 執行手続における債権者の負担軽減(第3の4)
第4 親子交流に関する規律
① 親子交流の原則的な申立権者(第4の1)
② 子の意思を明記すべきか(第4の1)
③ 裁判手続における親子交流の試行的実施(第4の2)
④ 試行的実施における調査官の関与を必須とすべきか(第4の2(1))
⑤ 「子の心身に有害な影響 を及ぼす言動を禁止すること」等に違反した場合の効果等(第4の2(1)イ)
⑥ 親以外の第三者と子との交流に関する規律(第4の3)
⑦ 今までの実務のとの差異(第4の3)
⑧ 「子の利益のため特に必要があると認めるとき」とは(第4の3(1))
⑨ 「その者と子との交流についての定めをするため他に適当な方法がないとき」(補充性の要件)(第4の3(2))
⑩ 申立権者の範囲(第4の3(2)イ)-祖父母等の直系尊属について、監護要件を必須としないのか-
⑪ 申立権者の範囲(第4の3(2)イ)-事実上の養親や里親に申立権を認めるべきではないか-
第5 養子に関する規律
① 未成年養子縁組の代諾に関する規律について(第5の2(1))
② 家庭裁判所が未成年養子縁組の代諾する規律における「特に必要がある」の意義(第5の2⑴ア)
③ 離縁の代諾に関する規律(第5の2(2))
不明点・宿題
レファレンス
以下のものは、参照用メモであり、具体的内容を紹介するかどうかは未定のものです。
DV・虐待
「第13回会議では、現在の実務の紹介として、家事事件や人事訴訟事件の中でDVや虐待に関する主張がされた場合のほか、(明確な主張がなくても)DVや虐待が疑われる場合には、同居親や子の安全を最優先に考慮するという観点から、手続のどの段階においても優先的かつ慎重な検討等がされているなどの紹介がされたところである。この点に関し、個別の事案の中には必ずしもDVや虐待の主張に対して十分な対応が行われていないケースもあるのではないかとの指摘があった一方、例えば、調停委員や家裁調査官の研修等を通じて、上記方針に沿った対応が実践されるように浸透を図るなどの運用上の取組も紹介された。」のウソについて。(35-2 17頁)
親権の共同行使
親権の「共同行使」とは、例えば、父母の一方が、他方の同意 を得て、単独名義で親権の行使をする場合も含まれており、この場合の他 方親権者の同意は黙示的なものも含まれると解されることから、部会の これまでの議論においては、父母の一方が他の一方に対して親権行使に 関する相談の連絡をしたもののそれに対する反対がないといった場面に おいては、黙示的な同意があったものと整理することもできるであろう との意見があった。
(34-1 3)
日常の行為以外の事項(すなわち、重 要な事項)について親権者である父母の意見が対立する場合に対応する ための方策として、たたき台(2)では、この場合の意見調整をするため の裁判手続を新設することを提示している。このような規律によれば、あ る重要な事項について、父母の意見が対立する場合の親権行使の方法は、 (a)まずは父母の協議により当該事項についての親権行使の内容を定 めることとする(この協議は、父母のみの協議のほか、家庭裁判所におけ る家事調停や各種のADRによることも考えられる。)が、(b)この協議 が調わないときは、家庭裁判所の審判により、父母のいずれが当該事項に ついて親権を単独で行うものとするかが定められることとなる。このよ うな当事者間の協議や裁判所の判断による解決方法は、現行民法の他の 規定とも整合的であると思われる。また、このような裁判手続には一定の 時間を要すると考えられるものの、緊急性が要求されるケースにおいて は、例えば、審判前の保全処分を活用することも考えられる。
(同)
一般に、親権行使を父母 の一方のみの判断に委ねるよりも、父母双方がその責任を負い、双方の関与 の下で意思決定がされるものとした方が、子の利益の観点から望ましいこ とが多いとの価値判断を踏まえた意見が示されていた。
(同)
法定養育費
└始期及び終期等の規律の表現について(37-2)
└一部免除について(同)
└認知の場合における法定養育費の発生始期(同)
└執行手続における債務者の手続保障について(35-2 14)
└減免等の処分(35-2 14-15)
執行手続における債権者の負担軽減
└財産開示手続等と差押命令の手続を連続的に行うことができる仕組みうな仕組みにおいて、財産開示手続等を実施したにもかかわらず差し押さえるべ き債務者の財産を特定することができなかった場合の取扱い(37-2)