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foresight1974版「家族法制の見直しに関する中間試案」に関する意見書(前半)

令和5年1月29日

法務省民事局参事官室御中

茨城県つくばみらい市
会社員 foresight1974

「家族法制の見直しに関する中間試案」に関する意見書

向春の候、貴省におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、今般、貴省より公表されております、「家族法制の見直しに関する中間試案」(以下、「中間試案」という)に関しまして、一市民としての考えを意見書(以下、「本意見書」という)としてまとめましたので、以下の通りお送りします。
何卒、法制審議会家族法制部会(以下、「部会」という)の皆様にぜひお取次ぎいただき、賢明なご判断への、一つの参考意見となりましたら幸甚に存じます。
ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。


意見書

はじめに

筆者は、都内の民間企業の法務部に勤務しており、日頃より、民法・会社法をはじめとする民事法を専門領域として取り扱っている。本意見書は、そうした立場から、中間試案に対して、ビジネス法務・企業法務的な観点を交えて考察したものである。
本意見書においては、考察のポイントを大きく分けて2つに分類している。1つは、中間試案の検討過程において、何を問題解決の課題と捉え、それをどのようなプロセスで検討してきたのかという点。もう1つは、検討結果として出てきたアウトプット(中間試案)がそうした課題解決に寄与するのか、その妥当性についての検討・評価である。
前者のポイントについて、公表されている意見募集要領によれば、中間試案の各項目に関する個別の意見を募集しており、特に意見を求められてはいないものと思われるが、筆者は、この検討過程の検証は、中間試案の評価において重要なポイントであると考え、あえて意見を述べる次第である。また、後者のポイントについては、公表されている意見募集要項に準拠して意見を述べる。

  1. 中間試案の検討過程について
    筆者は、2021年3月より開始された部会の議論について、その議事録(20回)・公表された参考資料を全て閲覧し、その検討過程を検証した。
    その結果、中間試案の検討過程においては、次のような問題点があると考える。

1.1. 中間試案の検討過程における問題点
1.1.1. 解決すべき課題について共通認識の不存在
中間試案を取りまとめるまでの20回にわたる議事録・公表資料を閲覧して、真っ先に気が付いたのはこの点であり、法務大臣からの諮問に対し、どのように答申するのか、その前提となる課題が、ターゲットとして設定されていないことである。
これは、ビジネス的には大変奇妙なことであり、いわば、経営理念や経営計画なしに事業計画を策定しているような、大きな違和感を持ったところである。一応、第1会議において、堂薗委員より関連した発言がなされている(第1回会議議事録2頁)が、内容が非常に一般的・抽象的であって、同委員のいう「問題」なるものが、部会関係者に共通認識として得られたものとは到底言い難い。

1.1.2. 課題解決の不明確さ
1.1.1にみられる通り、不明確な課題設定のもと、20回にわたった議論が、全体的にいって、部会各委員・各幹事らが思い思いに、自らが考える課題とその解決案を、何ら意見集約がないまま開陳が続けられただけに過ぎず、一体全体何を解決するのか、ほぼ明らかになっていない。
一応、中間試案に向けて、第6回会議より、その素案とみられる部会資料6が提示され、以降改訂を重ねながら意見の集約に努力されていたことがわかる。しかしながら、この資料が出た経緯について当該回の部会議事録をみると、委員・幹事たちの事前了解を得ることなく唐突に出されており、今までの議論過程を無視して出されたもののようにしか読めない。
この結果取りまとめられた中間試案は、離婚後の子の養育に関連する、様々な問題場面について、多岐にわたる解決策を、数多くの選択肢を示しているが、本来、国民に広く意見を問うならば、その前提たるソリューションを提示するのは、専門知が集まった部会の役割であり、まとまらないものをまとまらないまま公表された中間試案は、一般市民から非常に奇異なものに受け止められている。

1.1.3. “民事法制の改正”に固執した取りまとめ方
第20回会議のHP(https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00166.html)には、「(赤石委員・大石委員・戒能委員・柿本委員提出資料)法制審議会家族法制部会の審議状況について」という提言書(以下、「提言書」という)が公開されている。
これによれば、部会の議論は「現状では民事法制に限定した範囲での議論にとどまっている。」と批判し、①紛争解決時の安全確保・司法手続の低額化・裁判所職員の増員等の司法インフラ整備の必要性、②税制・社会保障との関係性の議論の必要性を指摘し、「広い視点に基づく正確な情報を提供しないまま市民に対してパブリックコメントに付することになり、望ましくない。」とまで批判されている。
筆者は、この提言書に全面的に賛成するものであり、ビジネス的な課題解決の視点からすると、離婚後の子の養育のあるべき姿を実現するにあたっては、法整備にとどまらない、総合的な政策提言が必要と考えられるからである。
ところが、当該部会の議事録速報においては、「他の多くの委員・幹事からは、この部会の役割は父母の離婚後の子の養育の在り方に関連する民事基本法制の見直しをすることであるから、上記①及び②の指摘に係る事項は、この部会での調査審議の対象ではないとの指摘がされた。」とあり、公表された「家族法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(以下、「補足説明」という)2頁において、「この部会の役割は父母の離婚後の子の養育の在り方に関連する民事基本法制の見直しをすることであるから、上記のような事項は、この部会での調査審議の対象ではないとの意見が示され、その点について委員の間で大きな異論がなかった」とまで言い切っている。
部会議事録を全て検証してきた筆者のような立場からすると、このような断言は到底受入れ難い。なぜなら、提言書で示された意見は、部会の議論においてもたびたび委員から示され、そのたびに法律専門家の委員に否定されてきたことであり(例えば、第17回会議議事録44-45頁にかけて、戒能委員・大村部会長発言部分)、コンセンサスが取れているとは到底評価できないからである。
肝心の第20回会議議事録については、筆者が意見書を作成している本日(令和5年1月29日)現在においても、詳細な議事録が公表されていないため、検証は困難であり、このような重大な事項を公表しないまま行われているパブリックコメントは、国民の知る権利の観点から、大きな問題があるといわなければならない。
また、補足説明が述べるように、民事基本法制の取りまとめが中間試案の目的だとするならば、なぜ、後述(1.1.7)するように、部会は法律専門家以外の専門家も含めて構成され、意見交換されているのか、その目的が全く不明であるし、自分たちの専門領域の参考程度に聞いているならば、全く非礼で不誠実な姿勢であるといわなければならない。

1.1.4. ヒアリング不足
部会の20回にわたる検討においては、補足説明によると「様々な立場の方からヒアリングをいただいた」(1頁)とあり、確かに、記載されているような様々な立場の方や、専門家から意見を聴取したことが分かる。
しかしながら、第21回においては、「(1)父母の離婚後の親権制度の見直しに積極的な立場、(2)父母の離婚後の親権制度の見直しに慎重な立場、(3)親の離婚を経験した子の立場、(4)離婚を経験した親(元別居親で現在は同居親)の立場」に立つ人々からヒアリングが行われ、第22回には「(1)DV被害者支援の拡充を求める立場、(2)離婚等係争中の同居親の立場、(3)離婚を経験した同居親の立場、(4)DV被害者かつ別居親の立場」からヒアリングが実施されている。
いずれも類似の悩みを持つ多くの当事者がいるものと思われるが、非常に不可解なことに、なぜ、中間試案を取りまとめる前に、これらの重要なヒアリングが行われなかったのだろうか。そして、このことは、中間試案の取りまとめに重要な当事者たちの声が取りこぼされていたことを示しているばかりか、部会の委員たちが、ヒアリングがそもそも不足していたことを自ら認めているかのような振舞いに映る。

1.1.5. 決定的なエビデンスの不存在
部会の委員の中には、今後、法整備の前提となる立法事実の認定にあたって、キーとなる委員がいる。EBPM(Evidence Based Policy Making)、すなわち「証拠に基づく政策立案」を研究の専門領域とされている、大石亜希子委員(千葉大学大学院社会科学研究院教授)であり、今回の中間試案取りまとめにあたって、重大な発言をしている。
第14回会議議事録44頁をみると、法務省がHPで公開している「父母の離婚後の子の養育の在り方に関する心理学及び社会学分野等の先行研究に関する調査研究報告書」(筆者注:各種の先行研究を心理学及び社会学の専門家たちが取りまとめたもの)を読むと、「離婚後の親とのかかわりについては、なかなか一致した統計的エビデンスに達して」おらず、「現段階で養育の在り方について何かを打ち出すというのは多少危険を感じ」ると述べている。
これに限らず、今回の中間試案の策定にあたって、それらを裏付けるエビデンス・データはあるのか、十分検討されているか等、何度も委員たちから指摘を受けているにも関わらず、そのエビデンスの十分性・相当性については、補足説明等のパブリックコメントの添付資料にはほぼ引用されている箇所がなく、因果関係は全く明らかにされていない。

1.1.6. 一般市民にハードルの高い意見項目
1.1.2で述べたように、まとまらないものをまとまらないまま公表されている中間試案は、その難解さにおいても、類似のパブリックコメントと比べて際立ったものとなっている。既述のように、筆者は、日頃から民法・会社法といった民事法に触れており、平均的な一般市民と比べて、長年にわたり、これらの法領域について、専門的な知見を得てきた者ではあるが、そうした立場からしても、中間試案の難解さは異様である。
特に第2の3「離婚後の父母双方が親権を有する場合の親権の行使に関する規律」の選択肢は異様であり、そもそも親権・監護権の用語についてほぼ説明がないばかりか、定めの要否、行使方法、定めがない場合、さらには子の居所指定にまで、事細かに尋ねている。さらに、第2の4において、親権・監護権の分属についても尋ね、親権・監護権についての専門的知識がなければ、到底正確に回答しえない項目となっている。
このほかにも、担保物権の知識を必要とする第3の2(2)、公示催告の手続が絡むと想定される第5の1等、民法に関する幅広い専門知識なしに正確な回答が難しいものがあるが、その内容の解説は約100頁にわたって字が埋め尽くされた補足説明のみであり、国民に分かりやすい説明をした内容とは到底思われない。
これで国民からの理解を得ようというのは、専門家としての任務放棄に等しいというほかない。
なお、第2の3に関する取りまとめにあたっては、不可解な経緯がみられる。前掲部会資料6の11頁以下においては、親権・監護権に代わる新たな概念として「双方責任」が打ち出され、これまでの親権・監護権の定義・範囲について、抜本的な見直しを念頭に置いた案が示され、その後半年以上にわたって突っ込んだ意見交換がなされていることが、部会議事録から判明している。ところが、第12回会議の冒頭、法務省民事局長である金子修委員の「この部会における早期の、かつ、実現可能性のある取りまとめが期待されている」旨の意見が示された頃より、こうした検討が行われなくなり、当該回で示された部会資料12においては、現行法の規律を維持することを予定した記述がみられる(部会資料12 1-2頁)以降、この論点に関する議論は沈静化した。結局のところ、中間試案において直接説明はなく、補足説明22頁以下において、若干の解説がみられるのみとなっている。
こうした不可解な検討方針の変更・転回について、議事録を見る限り、部会委員・幹事から明確なコンセンサスが得られた形跡はなく、中間試案ありきで、なし崩し的に議論が取りまとめられたものといわざるをえない。

1.1.7. 部会メンバー構成の不公平・偏在
前項で述べた中間試案ありきでなし崩し的に取りまとめられたという評価には、傍証がある。
部会のメンバーは、法律専門家だけではなく、社会学、政策立案、経済界、労働界等々、幅広い社会的バックボーンから多様な構成となっているが、こうした多様性が中間試案に反映された形跡はどこにもない。
そればかりか、中間試案の最大の争点といってもいい、離婚後共同親権の導入については、かねてからそれを強く推進してきた、賛成派の団体代表(武田典久委員)のみが入っており、反対派の団体は入っていない(赤石委員は、あくまでシングルマザーの支援団体であり、反対論者であっても反対派の団体とはいえない。)。
これらの不公平・偏在的なメンバー構成は、部会の議論において、当事者の主張を反映しない問題を引き起こしている。例えば、部会メンバーには憲法学者が入っていないが、近年、相次いで訴訟で争われ、重要な下級審判例(例えば東京地判令和3年1月27日訟月67巻9号1313頁)が蓄積されつつある、親が子の養育をする権利と憲法上の関係について、意見が交換されている形跡は全くない。

1.1.8. 検討過程の不透明その1(未公表資料の存在)
こうしたメンバー構成の不公平が弊害となって引き起こされた、と思われる問題が第5回会議(令和3年7月27日)に起きた。
この日、武田委員は6枚にわたる資料を部会に提出されたことが判明し、愛知県に在住する弁護士によって開示請求が行われた。しかし、その資料は全面墨塗りとなって開示され、何ら内容を把握することができなかった。しかも、この資料が提出されたことは、議事録には一切記述がないのである。
まだある。第2回会議(令和3年4月27日)において、机上配付資料として、自民党女性議員飛躍の会、同党女性活躍推進本部、同党司法制度調査会、同党女性活躍推進特別委員会、同党母子寡婦福祉対策議員連盟から、公明党・不払い養育費問題対策プロジェクトチーム、同党女性委員会から、超党派・共同養育支援議員連盟から、それぞれ提言書等が法務省に提出されていることが明らかになっている(第2回会議議事録2頁)が、国民の知る権利に最も奉仕するべき公党の政治家による政策提言が、なぜかすべて非公開となっており、開示がなされていないのである。
一見、透明性をもって開示されているようにみえる部会資料であるが、こうした事実から、実は、ある一定の目的をもって操作され、情報をコントロールしているのではないか、という疑念を拭うことができない。

1.1.9. 検討過程の不透明その2(一部政治家の干渉)
また、このような政治家の関与について消極的な開示姿勢は、大きな問題を引き起こしている。
各種報道によると、令和4年8月30日に予定されていた中間試案の取りまとめは、直前に開催された自民党法務部会における一部議員の強い反発を受けて、取りまとめが延期されたことが報じられた(2022年8月30日朝日新聞電子版)。廊下まで怒号が響き渡ったとも報じられる強烈な反応を受けて(2022年9月1日信濃毎日新聞電子版)、8月30日に行われた部会の議論が注目されたが、結局、この干渉を受けて取りまとめが見送られることとなった。
この部会の議事経過は極めて不可解であるというほかない。
報道によれば、当該回において、実に委員の6割が政治介入に異議を述べたと報じられ(2022年9月10日共同通信電子版)、当該回の議事録を読むと実に多くの委員が離婚後共同親権への賛成・反対の立場を超えて、異議を表明していることが分かる。ところが、結局取られた手段は、部会長の抗議声明といった、政治家の不当干渉への毅然とした対応ではなく、「自主的に内容を修正した」という、あたかも自分たちが何も干渉を受けていないような体裁を取り繕う、いわばお茶を濁すような対応が取られたのである。
このような隠蔽的対応は、国民に対する背信行為であるばかりか、自らの学問上の良識に対する知的不誠実さ、自己欺瞞であるという批判を免れないが、結局のところ、この対応は上手くいかなかった。なぜなら、2023年1月12日付東京新聞朝刊一面のスクープによって、今回のパブリックコメント資料作成に、共同親権推進派の議員が関与しており、しかも、当該資料は部会の検討を経ていないことが明らかとなったからである。

1.1.10. 中間試案に取り入れられていない意見(いわゆる民間法制審議会案)の存在
そして、決定的ともいえることが、中間試案は事実上、中間試案としての意味をなさなくなりつつある、ということである。
なぜなら、令和4年12月20日開催の第20回会議において、共同親権賛成派側から新たな提案がなされたからである。いわゆる民間法制審議会案である。
このことは、現在の中間試案が中間試案としての意味をなさなくなったことと同時に、もう1つの意味を持つと考えられる、すなわち、賛成派・反対派双方が最も関心のある賛成派の提案を含めた、離婚後共同親権案に関して、一般国民が意見を述べる機会を失っている、ということだ。
民間法制審議会の会長である高橋史朗氏が表に出ることなく、部会長に過ぎない北村晴男氏が責任者として説明に当たっていること自体、不可解な感想を禁じ得ないが、民間法制審議会案のこうした「特別扱い」は、パブリックコメントでの批判に晒されることを意図的に回避したのではないかという疑念を強く抱かせるものとなっている。

1.2. 小括【要旨】
1.1.1~1.1.10で述べた中間試案の検討過程における問題点から得られる。筆者の結論は次の通りである。
① 現在、パブリックコメントとして公開されている中間試案は、その前提となる情報開示や検討過程の透明性、意見聴取・資料公開の公平性において、重大な瑕疵が生じていることは明らかである。本来であるならば、現在実施されているパブリックコメントを即刻中止し、第20回会議以降に新たに提案された共同親権案(民間法制審議会案)も含め、パブリックコメントを再実施することが最も誠実な対応と考える。
② ①に合わせて、1.1.8で明らかとなった未公開資料を公開し、1.1.9で明らかとなった一部政治家の不当干渉を毅然として排斥し、今後は、専門的見地から独立した検討・提言(答申)を行うことを部会長の責任において表明するべきである。
③ ①②にもかかわらず、なお、中間試案に基づいて、さらなる検討を続行する場合には、次の4点の条件を付すのが妥当と考える。

  • 離婚後の子の養育に関する法整備にあたっては、1.1.3で紹介した提言内容と一体となって進めるよう答申すべきこと。

  • 当該法整備にあたっては、1.1.5で示したエビデンスに基づく立法事実が提示され、国会において与野党を超えた議論・検証が可能な状態にすべきこと。

  • 当該法整備にあたっては、当事者の安全・安心を最優先に、司法・行政インフラが確実に機能するような体制構築、およびこれらのインフラが十分に機能しているかを国会に対し検証・報告するためのロードマップを示すこと。

  • 当該ロードマップや提言書の内容が実現されるまでは、離婚後の子の養育に関する法整備、特に民事基本法制に関する整備・制定は見合わせる。止む無く先行して法整備をせざるを得ない場合、その施行日をロードマップ、体制構築の実現まで延期すること。

1.3. 付言・所感
これまで、本章において部会の議論を検討してきたが、大変残念ながら、その感想は御粗末の一言に尽きる。
筆者を含め、多くの法律専門家が当代一流と認める研究者たちの議論内容が、ここまで、ネットスラングでいうところの「グダグダ」となってしまうとは、よもや誰も思わなかったのではなかろうか。特に、昨夏以降の一部政治家による不当干渉への腰の砕けた対応には、全く失望を禁じ得ない。
これまでも法学研究者たちは、民間企業に対して、コーポレートガバナンスだのコンプライアンスだのという御高説を開陳してきたが、ここまでの醜態を晒した今となっては、ご自身たちのガバナンス能力を猛省し、学問の良心を取り戻すために、率先して範を示していただくことを願ってやまない。
本来であれば、筆者の意見はここまでとなるのであるが、既に公表された中間試案に基づいて、なお部会の議論が続行されることを念頭において、次章において、中間試案の各項目に対する意見を、一応述べることとする。

<前半部分ここまで>

【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。