ほろ苦ココアにキスをした ♯01
本編入る前に
最初に言っておくと、この話は決してこの恋を肯定するつもりで書いているものではない。
残念ながら、純粋で甘々で幸せな恋ではないからだ。誰かを傷つけかねないから。
でも私にとって、もったいないくらい幸せな恋だった。
恋愛という幸せなひと時以上に、私の人生を変えてくれて、私自身が成長できた出会いでもあるから。
「恋愛物語でもあり、友情物語でもある。」
恩を仇で返すなんてことをしたくなくて。幸せだったことに変わりはないから。
だからこそ、大切な思い出を備忘録として綴りたくなった。
幸せな日々や関係に区切りをつけたくないと言ってる彼に
「このままだと誰も幸せにならないし、私が苦しいままだから」と区切りをつけようと決めたのは私。
罪悪感をいつまでも抱えながら幸せになることに嫌気がさしたから。
幸せだった。幸せだったけど、ずっと苦しかった。
今でも、この恋で傷ついて苦しんだ心は癒えないまま。
それでも、私は前を向くと決めたから。
あまりにもきれいごとのように聞こえるかもしれないが、それを踏まえた上で読んでほしい。
それでは、スタート。
本編
今の部署での研修初日、会った途端に一目惚れした先輩。それが、彼だった。特段イケメンなわけではなかったがルックスが好みだった。単純にメガネ男子が好きなのもあるが。身長低めだなとは思ったがそこまで気にしなかった。
第1印象は「しゃべりが面白いお兄ちゃん」
関西出身じゃないのに、エセ関西弁交じりのしゃべり方。ユーモアあって面白さがありつつ、雰囲気がどことなく私に似ていた。(私以外に関西出身じゃないのにエセ関西弁交じりする人と今まで出会ったことがなかった。)
制服姿だとお互い眼鏡かけてて、背丈もそこまで変わらないからぱっと見似ているらしく、周りの先輩方から間違われることもたまにあった。
一目惚れした瞬間、女の勘で、「私、この人と結婚するんだろうな」なんて思ってしまった。そこまで恋愛体質ではないのに、とんでもない浮かれようである。
前の部署での研修中、フラバしたのもあってこの部署での研修が怖かった。しかも前の部署で先輩に「次の部署は怖い人もいるけど面白い人もいるからねー」と言われた。しかも社員の8割男性と聞けば尚更怖い。
でもふたを開けてみたら、そんなのも皆無なくらい楽しかった。怖い人もいたけど、それ以上に彼含めて先輩方みんな面白くて優しかった。居心地が私に合っていて、研修初日で「この部署当たりだー!」て親に喜んで報告しちゃうくらいだ。
彼の指導は分かりやすく、作業も丁寧で尊敬できた。仕事できる人だな、ていう印象は今も変わっていないし、尊敬できる先輩であることにも変わりはない。もちろん、面白いお兄ちゃんていう印象も。
楽しく研修が終わればそれでよかった。それが研修残り1週間となった辺りから変わってしまった。
とある日の昼休み、主任と先輩が「そういうば○○君は彼女とディズニー行くとき、、、」と会話してるのを聞いてしまった。
そう、よりによって私は彼女持ちの人を好きになってしまったのだ。