現代こそ読むべき!スピノザから生き方を学ぼう!#4:『エティカ』第四部 人間の隷従あるいは感情の力について

前回までのあらすじ

前回の部で

感情は存在の力を発揮させたり、
抑制したりする力を持っているという話であった

だから基本的には存在が活発になる感情を引き出していきたいよね
ということだ

さて、ここだけみると、

よっしゃ!
じゃあ人間にとって「喜び」となることしまくればいいんだ!!
気持ちいいことしまくっぞ~うっひょーーー

とか馬鹿なことを考えかねない

もちろんスピノザがそんなこというはずもない
なんだよその快楽主義者!

スピノザは、この部でもう一度「感情」について考えようとしているわけだ

それは喜びだろうが悲しみだろうが、
結局「受動感情」にすぎないということだ

いままでの議論で、
俺たちは様々なものに刺激を受けて
感情が沸き出てくるということを見てきた

喜びなどは、力が湧いてくるし、人間の生の肯定をビシビシ感じるよな

俺たちは感情の奴隷なのか


でも、その喜びって、「偶然」出てきたものに過ぎない。
たまたま良い刺激を受けて喜んでるだけなんだもん
人間はそういう力があるんだ!
「可能的」なんだみたいな、
人間としての可能性としてポジティブに言い換えても

結局それって偶然でしょ?偶然も可能も変わらんよね
とスピノザは俺たちを問い詰めてくるわけ

「そんな外部要因に踊らされてるようじゃ
それは感情に奴隷と一緒や!!」

と怒っとるわけですわ

うぅ、なんだか「悲しみ」の感情が…

だからスピノザさんは、私たち下衆人間にやさしく諭してくれるのです

偶然的な刺激で喜びが起きたとき、
なぜ起きたのか、そしてどう行動したのかなど「認識」できますよね

それをうまく利用して、
常に自分の喜びを増やせるように理性的に考えて決定していけるなら、
それが「徳」なんですよ、と

そう、私たちの存在が力を増すことが「善」であるとしたスピノザさん

それならば、
その力を引き出す行動をしていくことが「徳」であるのは
至極真っ当なこと!

だから、理性という人間の本性を使いこなせというのだ!!!

え、結局理性?
前回散々カントが~とかいって否定してたじゃん!
と思う読者!

安心せえ!!おれもそう思った!!

でも、よく考えると、スピノザのいう理性って、
感情を無視して頭で考えたことをしよう、ではなくて、
感情をどうコントロールしていくかという意味での理性なんだよな

身体と心は繋がってるから、理性で感情をむりやり押し殺すんじゃなく
外部要因とうまく付き合うコツを考えるのが理性なんだと

そうやって考えると、
「喜び」と思ってた感情も、常にいいわけじゃないということに気づく

前回、暴飲暴食は存在が求めてるから善!って言ったけど
過度に取りすぎて結果的に身体的な異常をきたし
存在力が低下することもある
その場合は悪となってしまうのだ

なんでこんなうつろいゆく事態が生じるかというと
スピノザが考える身体とは、「一つ」ではないからだ
身体そのものも多くの部分の集合体であり、多様性を帯びている

そうなると、お腹を満たすという部分での喜びは満たされるが
胃は過労を強いられ、痛みを伴い、悲しみへと繋がることもありうる

それだけ人間は多様であり、だからおもしろいというわけだ

そこで、人間が自分自身を肯定できる観念をもつ=満足
という感情を手に入れるには
多様な身体の多様な喜びを引き出す刺激=経験を積むということなのだ

だから、たくさん経験し、
実践をかさねて自分という存在がよりよく力を発揮できる状態を
理性的に作り出し
そんな自分自身を感じて、
俺ってなんて素敵な存在なんだろうって思っちゃおうぜ★

という素敵なアドバイスだった

だから、哲学書にもかかわらず、実践書と言われたりもする。

人間は訓練可能なのだと
ただし、訓練可能だからと言って、
おまえは理性に従うんだと厳しくすると、
逆に子供は両親に復讐するために自分をぞんざいに扱い、
戦争などにいってしまう例もあるから気を付けろよと述べてもいるが

余談

最後に、そんな理性的に生きるって言っても、個人じゃ限界あるよな

だから法を作って国家というものができるのだが、
法は理性というよりも、
厳しい罰則によって他の感情をむりやり抑え込むんだ!いいか、悪というのは国家への不服従を言うんだ!!

となんか急に過激なことを言いだしている

え、これどう解釈するの?共和主義者だったらしいけど、
これ、すばらしいやんっておもうの?

なんて考えればいいかは、浅薄な筆者にはわかりません!!

そのうち、スピノザ解説の項も作るから
楽しみにしててくれよな

たぶん、いままでの連載で書いた要約に対して、
専門家たちは色々批判や新解釈加えてるだろうから、
俺の書いた内容が如何に浅く、間違っていて、どうしようもなかったのか
という部分を楽しんでもらえればと思う!

さて、次回でラスト!!

ここから先は

0字

¥ 1,000

サポートしていただければ、書籍代・調査費・学会渡航費などに活用させていただきます!ごくたまに飼い猫に「ちゅーる」をあげたりもします。