たった16,000円でスポンサーしたクラブがビッグクラブと対戦することになった
【1/17 22:10 追記あり】
【1/17 23:00 再追記あり】
【1/18 8:05 再々追記あり】
【1/18 21:25 4度目の追記】
ご無沙汰しております。
今シーズンはスコットランドのサッカーが熱いですね。古橋享梧選手がセルティック加入後、すぐにスターダムにのし上がりました。
以前、Webマガジンにて以下の記事を寄稿したこともあるくらい、昔からセルティックもスコットランドのサッカーも大好きな私としては、今の状況はとても嬉しいです。もっと活躍してセルティックを高みへ導いてほしいです。
そんなスコットランドのサッカーと私footysabの間で、先日ちょっとした事件というか、サプライズがありました。
軽い気持ちと手頃な金額でスポンサーしたクラブが、来週末ビッグなクラブと対戦することになったのです。
今回はこのことについて備忘録的に、まとめてみました。最近、こんな心動くことでもないとなかなか文章を書く気にもなれません。よかったら最後までお付き合いください。
お手軽でハイリターンなスポンサーの形
まずどういった経緯でスポンサーになったのかというと、単純にユニフォームが欲しかったからです。スコットランド、というより英国のサッカークラブにはユニフォームをプレゼントしてくれるスポンサープランがあるのです。
英国には、星の数ほどフットボールクラブがあります。しかしイングランド・プレミアリーグに代表される、金満大富豪のオーナーによる豪快・華やかなイメージのクラブはほんの一握り。多くの下部リーグのクラブは地域の個人・企業からスポンサーによって支えられています。
各クラブ、運営資金の調達に様々な工夫を凝らしています。ホームページには必ずといっていいほど「Commercial(商業的なこと)」という項目が用意されていて、そこにはどのようなスポンサーがどのくらいの金額で、と細かく説明されています。
中でもかなり特徴的だと感じるのが「プレイヤースポンサーシップ」というプランです。
選手のユニフォームやシューズを調達する資金をスポンサーするプランです。スポンサーをするとクラブWebサイトやマッチデイプログラムの選手紹介ページに名前を掲載してくれる他、多くのクラブではシーズン終了後にスポンサーした選手が試合で使用したユニフォームがプレゼントされます。これは嬉しいですよね。
イングランドなら主に3部リーグ以下、スコットランドではセルティック・レンジャーズ以外のクラブならプレミアリーグのクラブでもこのようなプランが用意されています。ただ、英国以外ではあまり見ない形式です。
金額はクラブやスポンサーする物品によって異なり、スコットランド・プレミアリーグのクラブでホームユニフォームが5万円〜8万円程度。下部リーグでは2万円〜4万円程度が相場です。個人でもなんとか手が届きそうな、お手軽なスポンサーといった位置付けのようです。
このスポンサーシップ、ずっとやってみたかったんです。
スコットランドのサッカーと繋がりを持てる嬉しさはもちろんですが、ユニフォーム好きとして、あの寒空の下で熱い戦いを繰り広げたユニフォームを一度は手に取ってみたかったのです。
そんな念願だけあって、支援先のクラブを選ぶにあたってはかなり慎重に考えました。SNS等での発信の有無や、主力級の選手を指名できるかどうかという点も考慮しました。また、生放送を観る術がほとんどないので、YouTube等でハイライト動画をアップしているかどうかも重要な要素です。
もちろんお金も大事です。金額だけならスコットランド4部リーグや北アイルランド1部リーグで60ポンド(約9,500円)という破格のクラブもありました。それ本当にユニフォーム代だけなんじゃないの?
結局スコットランド3部リーグのアロア・アスレティックというクラブに決めました。セルティックユース出身の主力選手に空きがあり、毎試合YouTubeでハイライトをアップしているのもポイントが高かったです。
ホームユニフォームのスポンサーフィーが100ポンド(約16,000円)。Jリーグのレプリカユニフォームを買うのと大して変わらない金額でスポンサーとなってしまいました。
申し込みもオンラインショップで買い物するような感覚で選手を選ぶだけ、支払いもクレジットカード決済であっという間に完了しました。しばらくするとクラブのスタッフから驚きのメッセージが届き、「Webサイトの広告には名前を表記しますか?」との事務連絡が。アカウント名のfootysabでお願いしたらすぐに選手ページに反映されました。
次の試合のマッチデイプログラムにも早速反映されて、名前が掲載されていました。このクラブ、マッチデイプログラムをスタジアムでも販売していますが、ホームページ上で無料で読めるようです。
一番欲しいのはユニフォームではあるんですが、こういったところに名前が載る、日本からでもスコットランドのサッカーに参加している気分になれるだけでも貴重な経験です。
人口2万人の町で144年続くクラブ
せっかくお世話になっているのでクラブの紹介もさせていただきます。今回スポンサーすることになったアロア・アスレティックというクラブは、スコットランド中部のアロアという町にあります。周辺地域と合わせて人口が2万人程度という非常に小さな町です。
クラブの設立はなんと1878年。あのセルティックより10年も先輩になります。しかし144年という長い歴史の中でトップリーグでプレーしたのは1922-23シーズンの一度だけ。大半の歴史を3部リーグで過ごしてきた町クラブです。スタジアムも町の身の丈に合わせて収容人数は3,000人程度。地元住民に支えられて今日まで歴史を紡いできました。
蜂をモチーフにしたエンブレムを使用しておりチームカラーは黄色と黒です。
アロア・アスレティックは昨シーズン2部リーグから降格し、今シーズンは3部リーグを戦っています。スコットランドでは4部リーグまでプロリーグという扱いとなっていますが、実際のところ3部リーグ以下は副業を持つセミプロ選手がかなり多いようです。それでもアロア・アスレティックには興味深い経歴を持つ選手もいます。
今回私がスポンサーしたFW11番スティーブン・ボイド選手。彼はセルティックユースの出身でU17スコットランド代表でのプレー経験もあります。現アーセナルのキーラン・ティアニー選手のはユースの同期だそうです。
彼はトップチームへ昇格できなかったものの、ハミルトン・アカデミカルでプロキャリアをスタートし、スコットランド・プレミアリーグでもゴールを記録しています。こちら、途中交代で出てきてファーストタッチでこのシュートだったんですって。
ここ数年は3部リーグでのプレーとなっていますが、まだ24歳でこれから先も長く活躍を期待できます。そして何より、8月上旬に古橋選手とともにスコットランドリーグ(下部リーグも含めた)の週間ベスト11に選ばれていたのが大きな決め手でした。
「俺、あの古橋選手の後ろにいる選手をスポンサーしてるんすよ。」
って言いたかったんです。
ボイド選手はほぼ毎試合スタメン出場でここまで6得点を挙げています。ケガなく、しかもコンスタントにゴールを決めてくれるので、試合の結果をチェックするのも毎週の楽しみになりました。特に嬉しかったのは、第4節の直接FKでのゴール。鳥肌が立つくらい素晴らしいものでした。
この時着ているユニフォームが貰えると思えば、それだけでワクワクしてきますよね。これだけでも16,000円の元は取れているのに、この後もっと驚くことが起こるのです。
確率2%未満のミラクル
3部リーグのクラブをサポートしておいてこんなこと言うのもなんですが、たまには上位カテゴリーのクラブとの対戦も観たいものです。当然ですが3部リーグのクラブがトップリーグのクラブと対戦するにはカップ戦で当たるしかありません。
先日、古橋選手の2ゴールでセルティックが優勝を勝ち取ったのはリーグ杯という大会で日本でいうルヴァン杯のような位置づけの大会です。アロア・アスレティックは早い段階で敗退してしまいました。
しかし、それとは別にスコットランドFA杯というアマチュアクラブも参加する大会があります。こちらは天皇杯のようなオープンカップと呼ばれるものです。この大会にアロア・アスレティックは3回戦から登場し、アマチュアクラブ相手に5-0で快勝し4回戦に駒を進めていました。
セルティック・レンジャーズ等のプレミアリーグ勢は4回戦からの登場。11月末、32クラブによる抽選会が行われました。
せっかくの機会だからめちゃくちゃ強いところと当たってほしいなと思うわけです。ただ私、レンジャーズは大っ嫌いなので(笑)、セルティックがいいなあと。
とはいえ可能性は31分の1……まあそんな上手くいくわけがないよね。
しかし蓋を開けてみると……
なんという引きの強さ……
本当に引き当ててしまった……愛しのセルティック……
いやはや、こうやって全てのカードを並べると改めて「よく引き当てたな……」という気持ちになります。これだけの数の中で。しかもアロア・アスレティックはホーム開催権を引き当ててしまいました。
ということは……
俺の名前が刻まれたマッチデイプログラムが発行されるぞ!!!
そう、日本代表選手がやってくる試合のマッチデイプログラムに、自分の名前が載っているという、夢のような、というか本当に何が起きているのかよくわからない展開なのです!セルティックの選手とは当然ページこそ違えど、それはもう言葉で表せない興奮です!
このラウンドでセルティックを引き当てるだけでも3%の確率なのに、さらにホーム開催はその半分。2%に満たない確率の奇跡。11月下旬から今日までソワソワしっぱなしです。
さらに12月下旬には前田大然・井手口陽介・旗手怜央の3選手が一挙にセルティックに加入!!!
ここ最近、古橋選手に負傷が続いてしまい不在か?と心配になっていましたが、4人もいればさすがに誰か出てくれるでしょ!!!
もう今はそんな、願うような気持ちです。頼むよ、アンジェさん。
真面目な話、新加入の3選手は1月17日のハイバーニアン戦で出場とならなければ、このアロア・アスレティックとの試合がセルティックデビューとなることだって大いにあり得るのです。注目せずにはいられません。
セルティック戦にスポンサー間に合うかも?
さて、ここでいったん気持ちを落ち着けて、ひとつお知らせがあります。セルティック戦のマッチデイプログラムの印刷が月曜日くらいなのだそうで、まだ少し時間があるそうです。
【追記1/17 22:10】
日本時間17日中ならクラブに問い合わせてセルティック戦に間に合わせられるか確認できると思います。それ以降は厳しいと思います。ご了承ください。
【再追記1/17 23:00】
クラブに問い合わせたところ、日本時間の18日いっぱいは間に合うとのことでした!奮ってご検討ください!なお、メンディ選手のホームスポンサーは売り切れてしまったようです。
【再々追記1/18 8:05】
メンディ選手のスポンサー枠はホーム・アウェイ共に売り切れてしまいました。アウェイの枠は日本の方にご購入いただいたそうです!他の選手であれば18日中なら受け付けてくれるそうです!
つまり今アロア・アスレティックのプレイヤースポンサーに申し込めば、セルティック戦のマッチデイプログラムに貴方の名前を載せられるかも!
たった16,000円で!!日本人選手が出場するかもしれない(なんならセルティックデビュー戦になるかもしれない)試合のマッチデイプログラムに貴方の名前が載るかもしれない!!!
その上でアロア・アスレティックの選手の公式戦使用ユニフォームまで付いてくる!!!!!盆と正月とブラックフライデーが一緒に来たようですね!!!!!
というお得な感じなのですが、多くの主力選手の枠は埋まってしまい、そもそも3部リーグのクラブなのでどの選手にすればよいか全くわからないですよね。ですのでまだスポンサー枠に空きがあるオススメの選手をご紹介します。
DF 23 Fernandy Mendy 選手
先日、ギニアビサウ代表に初選出されたセンターバック。
なんとアロア・アスレティックからフル代表の選手を輩出したのは1891年以来131年ぶりなんだそうです!
数字が大きすぎて全くピンときません!明治24年ですって。日清戦争が起こるよりも前、アメリカでバスケットボールが考案され、田中正造が第2回帝国議会で足尾銅山鉱毒事件について質問を行った年だそうです。もっとピンとこない。
それだけの事件なのにホーム・アウェイともにスポンサー枠に空きがあるそうです。信じられない。アロア町民気持ち足りてないんじゃないか?
ただひとつ大きな問題があります。
メンディ選手、アフリカネーションズカップに参加しているのでセルティック戦は確実に不出場です!!!
めでたいことですけどね。それでもプログラムに名前は掲載されますし、何よりアフリカネーションズカップに招集されるような選手の実着用ユニフォームが16,000円で手に入る機会なんてまず無いです。とてもオススメです。
日本で生放送を観る手段がない
ここまで盛り上げておいて大変恐縮なのですが、残念ながら日本でこの試合を生放送で観る術は今のところ無いようです。
そんなあ、って感じですよね。日本人選手デビューの可能性があるだけに、当該選手のファンの方は歯がゆい想いをされているのではないでしょうか。
DAZNの放送予定にはありませんし、リーグ戦と異なり権利の関係なのかセルティックTVでも放送しなさそうなのです。また英国内で中継を担当する有料放送も日本では視聴できないのだそうです。
ただ相手がセルティックの試合ですので、どこかでハイライトくらいは公開されるのではないかと思います。私は日本時間1月23日AM2:30の試合開始までどうにかして観ることができないか、模索していきたいと思います。
【追記1/17 22:10】
アロア・アスレティックとの試合、セルティックTVで生放送することを確認しました!!!セルティックTVの中に試合のページが追加されていました!!!やった!!!
この記事を最後までお読みいただいた方には、是非その試合のハイライトだけでもご覧いただきたいです。
スコットランド3部リーグのスタジアム、そこで繰り広げられるサッカーにはJリーグや他の欧州主要リーグとは異なる趣きがあります。当日は観客数もかなり制限されるようですが、きっと興味深いな、面白いなと感じてもらえるはずです。
セルティックの日本人4選手にも是非そんなスタジアムでプレーしてもらいたいなと願いながら、試合当日を楽しみに待つこととします。
【1/18 21:25追記】
せっかくのビッグウェーブですし、今後スコットランドの方々にセルティックの日本人選手を気にして観てもらえたらと思い、選手紹介の記事をクラブのスタッフにお送りしました。
するととても好意的な反応が返ってきて、マッチデイプログラムに載せていただけるだけでなく、クラブのウェブサイトでもピックアップしてもらうことになりました。
内容としてはいろんなところで見聞きした、サッカーの情報追っている方ならご存知の内容ではありますが、現地の方により選手の特徴だとかストーリーを感じてもらえたらいいなと、そういった想いです。
こんな素敵な機会を与えてくれたアロア・アスレティックには本当に感謝しかありません。
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