必ずや転機はやって来る!
私の仕事の一つはシューズクリエーターですが、学生時代の友達に何十年かぶりに会うと、「えーっ!?あんたが靴作ってんの~?信じらんな~い!」とか「注文受けて、どこに制作依頼しているの?」と言われたりすることがよくあります。また、「それって、履けるの?」という失礼な?ことをいわれることも普通にあります(笑)。
そうです。はっきり言って不器用!面倒くさがり!小学生の頃から、図工、家庭科、美術(観るのは好き)、ついでに習字(墨を磨るのが面倒!)も得意ではありませんでした。宿題が出されれば、代わりにやってくれる人を探し出すことの方が得意でした。
なぜ靴作りを始めたのか?
履く靴が無かったからです!
というと、サイズに問題があるの?(細みの足ではありますが、大きすぎるとか小さすぎるということはありません)
お金が無くて買えなかったの?(いえ、経済的に困っていたことはありません)
靴屋さんが近くに無かったの?(いえ、自宅は23区内、池袋にも銀座にも行ける非常に便利なところでしたから、お店が無かったわけではありません)
実は、交通事故に遭いまして脚に大怪我(開放骨折他)をし、出血多量だったこともあり、1か月寝たきり。そして車椅子を使って4か月半の入院。退院後も自分の足で歩けるようになるまで計7か月。そんな生活を送っているうちに、事故に遭う前のような歩き方が出来なくなってしまったのです。そのため、オシャレで華奢な靴は履けず、リハビリ靴のようなしっかりとした物以外、履くと靴が変形してしまうようになってしまいました。
当時は、まだ20代。バブルは弾けていたものの、私の周りの友達は皆オシャレでブランドの洋服を身に着けていました。今では探せば沢山あるのですが、90年代前半は、まだ足のために良い履きやすいデザイン性のある靴はありません。靴屋を色々と巡り、これなら!と思う物も、1,2回履いただけで変形してしまうので、買っては捨て、買っては捨ての繰り返しです。最終的に仕方がなく、高齢者向けの靴屋さんに行って、ちょっとは若い人が履いても違和感のない履きよい1足の靴を買い求め、それを履いて出掛け、人に会う時は恥ずかしいので足元を隠すようにして。そういった生活がしばらく続きました。
ある時、出会ってしまった!
服が好きでしたので「装苑」という雑誌を好んで毎号読んでいました。ある時、いつものように雑誌を眺めていたら、原宿にある靴工房が紹介されているページに目が留まったのです!当時好きだったモデルさんの「靴作りを体験しました!」という内容の記事です。靴を自分で作る!?そうか!その手があったか!
翌日には、雑誌を片手にその工房を訪問していました。
「私、靴を作りたいんです!出来れば、こういう靴を!」と言いながら、プラダのエナメル型押しローファーの写真を自分の父親ぐらいの年齢の男性(その後の私の師匠)に見せていました。かなり、勢いよく飛び込んでいったので、その方も驚いたに違いありません。
「ここは気取った靴を作るところではない!しかも、これは作るのは難しいぞ」といったようなことを仰られていたように思いますが、私の勢いは止まらない!結局、工房に入れていただくことになり、自分専用の木型を用意してもらい、私が希望したようなローファーが、初トライの手作り靴となりました。
それからは、もう夢中!下手でもなんでも、絶対この靴を仕上げてみせるゾ!素敵なローフォアーを履いている姿を思い浮かべながら、せっせと工房に通いました。
そして、数か月後、なんとか自分の思い描いた靴が出来上がります。この私が作ったのに(といっても師匠にずいぶん助けられて)、履き心地は思った以上!嬉しくてたまりませんでした。(これが↓初めて作った靴と、その当時の私)
1足出来ると欲が出てくるもので、次はこの靴、その次は・・・と、気が付けば、靴作りの世界にどっぷりと浸かっていきました。自分の手で思い描いたものが作れることの喜びとともに、徐々に作る過程が楽しくなっていったのです。(←これが大事)
そして、その後本格的に自分で一から靴を作る方法を学んでいきます。
誰のためでもなく、自分の為に。
これがいつの間にか今現在まで続く仕事になりました。
今、自分が取り組んでいるコト、それは自分自身が選んだコトかどうか?
今、従事している仕事、勉強、何でも・・・誰の為ですか?楽しいですか?自分が決めたことですか?やっている時、時間は忘れられますか?
別の角度から聞きましょう。それをやっている時、どのような気持ちですか?
従事している時に、「楽しい」「嬉しい」「心地よい」etcでしたら、それを続けます。もし、少しでも「苦痛だ」とか「しんどい」とかマイナスの気持ちが湧くようでしたら、一度止まってみることが大切。
これは、友人から投げかけられた質問で、迷いが生じた時にこの思考法はとても役立ちました。
私も、何回も立ち止まって考えています。そして、今も。
この時期、Stay homeで、自分のことを見つめなおす絶好のチャンスだと考えてみるのも良いですよね。もしかしたら、新たな転機になるかもしれません。
※私の師匠は2020年9月に急逝されました。コロナ禍でお会いすることが出来なかったこと、本当に残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。
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