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DAZN値上げ!ストリーミングに起きてる変化

サッカーを視聴するのであれば、ストリーミングサービスとの契約は欠かせません。そんな中、DAZNの値上げが視聴者に動揺をもたらしています。プレミアの放映権を手放したにもかかわらず、値上げという視聴者から見れば理解が難しい状況。一体ストリーミング•ビジネスに何が起きているのでしょうか。

DAZNが3年連続の利用料金値上げ…2月14日以降から月額プラン3700円→4200円に(GOAL) - Yahoo!ニュース

ども、ども、サッカーマネーを研究しているフト経(フットボール経営分析マン)です。2ヶ月前から細々と再開したnoteですが、おかげさまで3000ビューを超えました。引き続き、試合前後の皆様のサッカー談義に花を添えていきたいと思います。

本日はサッカー観戦に不可欠となったストリーミング•ビジネスの現状、先行き、フットボールに与える影響について分析します。DAZNさんにも致し方がない事情があるわけですが、それを知るうえで役に立つ本日のお品書きは以下の通りです。


本場米国では陰りが見える

ストリーミング•サービスといえば、前回のW杯ではAbemaTVが放映権を獲得するなど、鼻息が荒いように思えます。しかしながら、本場のアメリカでは成長期から成熟期に入り、いよいよ業界内の統廃合が進みそうな様相になっています。

ストリーミングの先駆者であり、代表格と言えばNetflixです。もともとレンタルDVDを郵送で行うというビジネスモデルだった同社が、インターネットを通じた映画配信に乗り出したのは2007年。当時は、AmazonプライムビデオとHuluがほぼ同じ時期にサービスを開始したばかりと、サービス提供者全員が黎明期であったため競合は少なく、Netflixは会員数と売上を破竹の勢いで増やしていきました。

※23年末はNetflixによる予想値

ところが、21年辺りから成長率の低下が目立ち始めます。TVやケーブルテレビからストリーミングへの切り替えが進む中、競争が激化したためです。

潮目は2019年11月にグローバルなコンテンツビジネスの猛者、ディズニーが本格参入したことです。同社はhuluへの出資を通じてストリーミング自体は行っていましたが、ディズニープラスという独自サービスへの切り替えを決断しました。Netflixなどからコンテンツを引き上げることによる放映権料の減少を吞(の)んでまで、ストリーミングに賭けてきたのです。

ところが、これでは終わりません。同じ時期に、iPhone依存からの脱却を狙うAppleがApple tv+を立ち上げて乗り込んできます。そう、各分野でグローバルの王者である強者2社が業界に殴りこんできたのです。

上図の通り気づいたら、ストリーミングは猛者ぞろいの戦国時代となります。各社は視聴者獲得を目指し、独自の映画やドラマを作成するだけでなく、コンテンツの拡充をめざします。スポーツは有力なコンテンツであり、各社とも血眼になって放映権の獲得に邁進(まいしん)しました。これが近年のフットボールの放映権料の高騰と、移籍金や選手の給料の急増につながってきたのです

日本市場も飽和状態へ着々と近づく

日本のストリーミング・ビジネスも例外ではありません。ICT総研の予測では有料動画視聴サービスの契約数の成長率は20%台から1桁台に低下すると予想されています。

それもそのはず、日本の世帯数(5,419万世帯)と推計契約数3,560万を割ると、有料動画サービスの普及率は70%を超えていると推計されます。スマホの普及の例をとっても普及率が60%を超えると成長率が大きく鈍化しています。ある程度普及すると伸び悩むのは、あらゆるサービスや商品の逃れられない運命でしょう。

スポーツチャネルの値上げは限界に近い

さて、以上を踏まえて日本からの海外サッカー視聴環境はどうなっていくのでしょうか。

まず、個人的には、スポーツ専門チャンネルのこれ以上の大幅値上げは厳しいと考えています。皆様も感じられている通り、ストリーミングサービスはチャンネルによって見れるものが様々で、自分が見たいものを幅広に見ようと思ったら複数契約が必要となります。

ただ、ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)紙によれば、米国の消費者は上記に挙げたようなストリーミングサービスに全て契約するのではなく、大体3つぐらいに絞り始めたと報じています。主要プロバイダーのキャンセル率は、2022年11月の5.07%から2023年11月は6.32%まで上昇しているとも報じています。

日本では、米国と異なりAmazonとNetflixの存在が突き抜けています。恐らく、Amazon or Netflix+専門チャンネルという組み合わせが多いと想像されます。例えば、家族全体のことを考えAmazonプライムと契約し、ただ自分の興味である海外サッカーは、同チャネルを通じてDAZNと契約する。といった組み合わせです。

Amazonプライムの会費(年5,900円)が変わらないのに、DAZNだけ上がっていけばどうなるでしょうか?サブスクの明細を家族に見られたら最後、家族会議でDAZN存続問題が話し合われる恐れは大いにあります(うぅ、胸が痛い。)。

データだけでなく個人的な憶測も混じりますが、大幅な円安など外部環境の大きな変化がない限り、さらなる大幅値上げは契約解除につながるリスクが高いため、今後の値上げは小幅にとどまると予想しています。

プレミア以外のリーグ放映権料は先行きが暗い

最後に補論です。ストリーミングサービスの経営が厳しくなると、いよいよ放映権料についてもメスが入るのは避けられないと考えられます。その際、メスが切り込まれるのは大人気コンテンツではなく、その周辺コンテンツからとなります。

海外サッカーで言えば、プレミアリーグが大人気コンテンツとなるため、苦しいのはラ・リーガやセリエA、ブンデス、リーグ・アンです。実際、セリエAについては来季以降の国内リーグの放映権料は、今季から下がる方向でリーグとSKY&DAZN連合と交渉が進んでいると昨年伝わっています。ラ・リーガもハビエル・テバス会長自ら日本を含む各国に行脚して、何とか放映権料を死守している状態のようです。

※SkyとDaznの5シーズン分の共同ビッド額を基に年按分して推計

プレミア以外の各チームは放映権料が上がらないことを前提に、今後は予算を組んでいかざるを得ません。そこでビッククラブが注目しているのは、改めて”リアル”なビジネスです。今回は力尽きましたが、レアルのリアルなビジネスを取り上げていきたいと思います。では、本日も良いサッカー生活を!

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