寂しい季節がやってくる
昔は3月でした。
次の学年に進級して仲良しのクラスメートと離れたり、学校を卒業し親友や恋人と別々の進路へ進んだり。寂しい季節はいつも3月でした。
それがプロになってからというもの、まだ少し仲間との時間を残していたはずの12月が、なんだか少し憂鬱な季節へと変わってしまいました。
ファンやサポーターの皆さんも同じ想いを抱いていると思います。思い入れのある選手がクラブを離れたり、引退を決意したり。そんな悲しいニュースが毎日のように目に飛び込んでくる時期が始まりつつあります。
選手も同じです。「長くやっていると慣れてくる」なんて口では言いつつも、やっぱり寂しいものです。同じ目標に向かって戦った仲間と、喜びも苦しみも共に励まし合って乗り越えた仲間と、お別れをするのはとても辛いです。
プロに入ってから、この世界の残酷さを目の当たりにしてきました。試合に出続けていても契約満了を言い渡されたり、まだ入団数年の若手が見込みがないと放出されてしまったり。
しかし不思議なことに、だからといってその決定を下す人たちを悪く言う気も起きないのです。結果がモノを言う勝負の世界だということも十分に理解していますから。むしろ、どれだけ信頼していても、関係が良好でも、クラブの目標達成のために必要でないと判断をして決断することは、想像を絶する痛みを伴うだろうと、むしろ尊敬しています。仮に僕がその立場であれば、選手が増える一方なのではないかと思ってしまうほどです。
誰も悪くないからこそ、やり場のないもどかしさを感じるのかもしれませんし、これがひとたび自分自身に置き換えられれば、恐怖心へと変わっていくわけです。
もちろん翌シーズンへの期待感もありますし、「期待と不安が入り混じる」というようなありふれた言葉もありますが、それは意外に処理の難しい感情だとも思っています。
それでも時間は待ってくれません。その時はあっという間に来て、あっという間に過ぎ去っていきます。最初から無かったかのように、当たり前に次のシーズンを迎えてしまいます。
だからこそ、今ある時間を大切に過ごさなくてはならないとつくづく思います。2021シーズンという年を今のメンバーで戦えるのは残すところあと僅か。毎年のことで忘れがちですが、同じエンブレムを背負い、同じ目標に向かって戦おうと決意し合った仲間との出会いはとても貴重です。
後悔を一つも残さずにシーズンを終えることは簡単ではありませんが、振り返った時に「幸せな時間を過ごせたな」と思うことが出来るように、残された時間の大切さを噛み締めながら、丁寧に過ごして、最後まで走り切りたいと思います。
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