サッカーの持つ力

" サッカーで誰かを元気にする "

サッカー選手であれば
誰しもが口にしたことがあるのではないか。

スポーツは観ている人に
勇気や感動を与えられる。

そう信じて選手はプレーをしている。

だが、
それを身をもって感じられる選手が
どれだけいるだろうか。

僕は
ある " 偶然の出会い " によって
幸運にもそのことを感じることができた。

綺麗事を抜きにして、
本当に涙が出るほど幸せな瞬間だった。

今回は、その時のことについて話そうと思う。

僕が初めてその方と出会ったのは、
とあるチームイベントでのことだった。

その方は、身体に障害を抱えていた。

偶然その場所に居合わせただけで、
サッカーにも興味がなければ
僕が誰なのかも、その時は知らなかったそうだ。

僕が参加するそのイベントを見かけたことがキッカケで、僕の所属クラブに関心を持ってくれて、試合を見に来てくれるようになった。

それから何度か
練習場やイベント会場で顔を合わせる機会があり、その都度声を掛けてくれた。

ある日、その方から一通の手紙を頂いた。

この手紙が僕に
" サッカーを続けていて良かった "
とより一層強く感じさせてくれた。

その手紙には
僕を応援してくれる理由が書かれていた。

「今までは障害を抱えている自分に前向きになれず、暗くてつまらない毎日でした。

あの時、〇〇選手を初めてお見かけし、真剣に活動に参加されている姿を見て、素敵な方だなと思い、試合を見に行きたいと思うようになりました。

試合を見にいくと、体を張って闘う〇〇選手に感動し、私も前向きに生きようと思えるようになりました。今では試合を見にいくのが楽しみで仕方がありません。

こんな自分に人生の楽しみを与えてくれた、〇〇選手をずっと応援します！」

これは手紙のほんの一部だが、
こんなことが本当にあるのかと僕は驚いた。

と同時に、
今まで感じたことのない喜びを感じた。

勝てば観ている人は喜んでくれる。
負ければ一緒に悔しがってくれる。

でもそれだけではない、
それ以上のチカラがサッカーにはあると
身を持って感じた瞬間だった。

プロのサッカー選手として
これほど嬉しいことがあるだろうか。

自分のプレーで
誰かの人生を明るく照らすことができる。

サッカーに興味のない人が関心を持ち、
サッカーで人生の楽しみを見出してくれた。

Ｊリーガーになって良かった。

一生懸命頑張ってきて良かった。

そして
それをこんなにも身近に感じる機会を
与えて貰った僕はとても幸せ者だ。

心からそう思った。

これからどんなに辛いことがあっても
サッカーと向き合っていける気がする。

僕にとってそれくらいの出来事だった。

自分のプレーで誰かが元気になる。

喜んでくれる人がいる。

このことを胸に、
これからも現役生活を全うしたい。