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サッカーの醍醐味 ダービーマッチ

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https://vanguardia.com.mx/deportes/rayados-empata-un-inolvidable-clasico-regio-ante-tigres-en-el-estadio-bbva-al-minuto-100-DA11660553


Jリーグでは、FC東京と東京ベルディの東京ダービーが注目を集めた先週末。メキシコでも大注目のダービーマッチが行われた。
舞台となったのは、メキシコ北部の大都市モンテレイ。首都メキシコシティとは街の雰囲気が大きく異なり、どこかアメリカのような雰囲気を感じさせるこの街に、2つのビッグクラブがある。
CFモンテレイとティグレスUNALだ。
CFモンテレイ(通称ラジャドス)は、以前も紹介したように、多くのタレントが在籍する国内屈指の強豪クラブ。クラブワールドカップにも出場経験がある。
一方、ティグレスはヌエボ・レオン州立大学(Universidad Autónoma de Nuevo León)が母体となったクラブ。元フランス代表のジニャックらを擁し、前期戦(アペルトゥーラ)では準優勝であった。
今シーズンの優勝候補である両チームがモンテレイのプライドをかけて激突した。

壮絶な撃ち合い

"Me gusto el partido de los mejores clásicos regios de los últimos años, muchos goles y emociones."
「この試合はここ数年のダービー戦の中で最高だった。多くのゴールと感動があった。」

このように語った現地のティグレスサポーター。
この一言からも分かるように、試合は90分間、目が離せない壮絶な撃ち合いとなった。

ラジャドス公式SNSより


ホームのラジャドスサポーターが掲げた ”MONTERREY ES RAYADO” 「モンテレイはラジャドスだ」と書かれた大きな幕と花火と共に始まったこの試合。

スコアが動いたのは、キックオフ直後。

今シーズンティグレスに加入したブルネッタが、ハーフェーラインからドリブルで持ち上がり、サイドへ展開。そのサイドからのクロスを再びブルネッタが合わせ、アウェイのティグレスはあっという間に先制に成功した。

このゴールをきっかけに、ここから一進一退の激しい攻防が繰り広げられる。

直後の8分、ラジャドスは最終ラインからボールを繋ぎ、中盤のロモへ。ワンタッチでカナーレスに預けるとロモは相手の背後に飛び出す。カナーレスの柔らかい浮き球のパスに合わせた。このゴールでラジャドスはすぐに同点に追いつく。簡単に流れを渡さないといった想いが伝わる得点であった。

その後、落ち着きを取り戻した試合は、ラジャドスが主導権を握る。一方でティグレスも負けてはない。ラジャドスにボールを持たせるも、ゴール前までの侵入はさせなかった。

両者拮抗した状態で迎え、このままハーフタイムに入ると思われた前半アディショナルタイム。
キーパーからのロングフィードを収めたエレーラがジニャックとのワンツーで抜け出しクロス。鋭いクロスに中盤のフェルナンドが合わせた。
このゴールでティグレスは勝ち越しに成功。
最高の形で前半を終えた。

勝負は後半戦へ

1点リードで試合を折り返したティグレスの勢いは止まらなかった。

後半開始直後、ティグレスは、前に押し込もうと試みたラジャドスの裏のスペースを利用し、カウンターを仕掛ける。
ジニャックからピンポイントのスルーパスを受けたのは、先制点を挙げたブルネッタ。キーパーの股を通す技ありゴール。
ブルネッタのこの日2点目で、リードを広げ、ティグレスは一気に優位になった。

しかし、ラジャドスも黙っていない。

50分、ベルテラメのスルーパスに反応したバスケスがループシュートを放つ。枠を捉えられなかったものの、ここからラジャドスの時間が始まる。

61分、途中出場のジョルディが右サイドから中に切り込む、逆サイドから駆け上がったアルテアガへスルーパス。これをアルテアガが冷静にゴールに流し込み、1点差に。

あと一歩まで追い詰めたラジャドスは、その後もカナーレス、ベルテラメ、メサらを中心に人数をかけ、猛攻を仕掛ける。

86分、ベルテラメが放った強烈なシュートは、ティグレスのキーパー・ロドリゲスが決死のセーブ。

ラジャドスは攻め続けるもロドリゲスを中心としたティグレスの堅い守りを崩せない時間が続いた。

アディショナルタイム12分

残された時間は、アディショナルタイムのみとなった。

シュートを打ち続けるも、あと1点が遠いラジャドス。
98分のラジャドスのコーナーキックでは、守護神アンドラーダも攻撃参加。全員攻撃のラジャドスを跳ね返し、がら空きのゴールへティグレスが迫るも、ジョルディがゴール前で決死のクリア。

クライマックスに突入したダービー戦は両者ともにゴール前でのギリギリの攻防となった。

このまま終了かと思われたラストプレー。102分。
ラジャドスは最後の望みをコーナーキックに賭けた。
カナーレスの左足から放たれたボールに触ったのは、ベルテラメだった。相手よりも頭1つ分高く飛んだベルテラメ。ボールはティグレス守備陣が一歩も反応できず、ゴールネットを揺らした。

このゴールと同時に、3対3で試合終了。
スタジアムのボルテージは最高潮に。
少ないチャンスをものにしたティグレスと、意地を見せたラジャドス。
モンテレイのプライドをかけた一戦は、まさにダービーにふさわしかった。


¡VERDADERO CLÁSICO! これぞクラシコ!

同点ゴールではあるが、この得点が持つ意味はラジャドスにとって非常に大きいことだろう。
現地メディアは、”Rayados enpata un inolvidable Clásico Regio ante Tgres en el estadio BBVA”(BBVAスタジアムでのダービーは記憶に残るドロー)と報じた。
また、他の記事には、

"Sin duda fue uno de los Clásicos Regios más espectaculares de la historia"
「間違いなく、モンテレイダービーの歴史に残る最高の試合。」

https://amp-us.marca.com/soccer/liga-mx/cronica/2024/04/14/661b674c22601dd23f8b4591.html

"Se enfrentaron en la edición 135 del Clásico Regio, un partidazo que dejó muchos goles y ponen la tabla más pareja que nunca."
「過去135回のダービーの中でも、これまで以上に多くのゴールと順位以上に互角な戦いを魅せた素晴らしい試合。」

https://www.sdpnoticias.com/deportes/rayados-vs-tigres-en-vivo-cuanto-quedo-el-clasico-regio-del-clausura-2024/?outputType=amp

と記されているように、この試合が、長い歴史の中から語り継がれるであろう数少ない試合の1つとなったに違いない。

この激闘には、サッカーの醍醐味が詰まっていた。
サポーターの熱気、そこから生まれた6つのゴール。もっと多くの点が入ってもおかしくないほど、ゴール前での激しい攻防が見られた。

リーグのレギュラーシーズンも残り2試合。
その後は、プレーオフも控えている。
大詰めとなったリーグ戦で次はどのようなドラマが見られるのか。
ぜひリーガMXにも注目してみてほしい。


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