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激闘のアペルトゥーラ準決勝第2戦

サポーターの大歓声によるスタジアムの熱気が勝負を決めた。

メキシコ国内リーグLiga MX 前期王者を決めるアペルトゥーラ準決勝第2戦。
メキシコ北部モンテレイに本拠地を置き、昨シーズンリーグチャンピオンのTigres UNAL (通称ティグレス)と首都メキシコシティが本拠地のClub Universidad Nacional (通称プーマス)が対戦した。
ティグレスはヌエボ・レオン州立大学、プーマスはメキシコ国立自治大学とどちらも大学を母体とするクラブであるため、両チームはライバル関係にある。
このダービー戦をプーマスの本拠地で迎えた準決勝第1戦は、アウェイのティグレスが1対0で勝利した。これにより、プーマスは、第2戦のアウェイで2得点以上での勝利が必要となった状況で、ティグレスの本拠地エスタディオ・ウニベルシタリオに乗り込んだ。

敵地のゴールに攻めかかった立ち上がりのプーマス

試合は、序盤から得点を獲ることが絶対条件のプーマスが持ち味のカウンターを中心とした攻撃を仕掛けた。

前半10分、プーマスはそのカウンターでティグレスのゴールに襲いかかった。今シーズン絶好調のサイドアタッカー、セサル・ウエルタがペナルティエリア付近でクロスを試みる。そのクロスがティグレスディフェンダーのハンドを誘い、PKを獲得。
さっそくプーマスは得点の絶好のチャンスを迎えた。
しかし、PKを獲得したセサルが放ったシュートは、ティグレスの守護神ナウエル・グスマンの好セーブに阻まれてしまった。

このPKストップによって、流れがティグレスに傾くかと思われた直後。
プーマスはコーナーキックからのクロスを、今シーズン、フアレスから加入した長身フォワード、ガブリエル・フェルナンデスが頭で合わせ、プーマスが敵地で先制に成功した。

この得点で2戦合計1対1。合計点、アウェイゴール数が並んだ場合は順位が高いティグレスが勝ち上がれるのだが、PKストップで湧き上がったスタジアムは、プーマスの勢いのある攻撃に、静まり返った。

ティグレスが魅せたホームの意地

しかし、ホームティグレスも黙っていない。

プーマスの得点からわずか8分。プーマスに在籍経験のあるフアン・パブロ・ビゴンが強烈なミドルシュートを突き刺した。
このゴールで、さっきまで静まっていたスタジアムは大熱狂。
流れは一気にティグレスへと傾いた。

このままでは勝ち上がれないプーマスも猛攻を仕掛けるが、枠をとらえきることはできず、前半を終えた。

ホームの力でねじ伏せたティグレス

後半に入ると前半とは打って変わって、拮抗した展開が続いた。
プーマスは退場者を出してしまうなど、決定的なチャンスを作ることができなかった。
結局、試合は前半のスコアのまま1対1で終了。2戦合計でティグレスが2対1で勝利し、決勝戦に進出した。


” Muy al estilo de Tigres, el segundo tiempo fue de un ritmo mucho más bajo y Pumas no pudo inquietar el marco de Nahuel Guzmán y acabó perdiendo la paciencia con la expulsión de Pablo Bennevendo al minuto 78.”
「ティグレスと同じように、プーマスは後半ペースが落ちた。ナウエル・グスマンは枠を捉えることができず、ついには、78分、パブロ・ベネベンドが退場となるなど忍耐力を失ってしまった。」

https://amp-us.marca.com/soccer/liga-mx/cronica/2023/12/11/65768d4ae2704e29b48b456b.html

試合後の現地の記事からも分かるように、立ち上がりのプーマスの勢いはなくなった。
しかし、単純にプーマスが悪くなったのではない。
試合が終盤になるにつれ、ボルテージが最高潮に達したスタジアムの雰囲気がアウェイチームを圧倒したのだ。

"Dejamos todo con nuestras armas llegamos a donde llegamos, alcanzó para esto, estuvimos cerca, pero no nos alcanzó."
「我々はすべてを出し切り、ここまでたどり着いた。惜しかったが、これだけでは十分でなかった。」

https://www.tribuna.com.mx/deportes/2023/12/11/antonio-mohamed-inconforme-con-el-arbitraje-tras-derrota-de-pumas-contra-tigres-353941.html

プーマスの指揮官アントニオ・モハメドも準決勝まで勝ち上がったチームを称えると同時に、力不足であることを口にした。また、その記事では、この試合を通して、チームの経験値が上がることへの期待も言及されていた。

一方で、勝利したティグレスは、すでに決勝の戦いを見据えている。

"El técnico de los Tigres Robert Dante Siboldi ya se prepara para los dos partidos de la final ante el América y sueña con la posibilidad de conseguir el bicampeonato."
「ティグレスの指揮官ロベルト・ダンテ・シボルディはすでにクラブアメリカとの決勝戦に向けて準備しており、(昨シーズンのリーグ優勝に続く)連覇の可能性を夢見ている。」

https://www.tribuna.com.mx/deportes/2023/12/11/robert-siboldi-ya-suena-con-el-bicampeonato-de-tigres-seria-un-gran-logro-353942.html


決勝戦はエースの節目のゴールに注目


また、現地ではエースのアンドレ・ジニャックのメキシコ国内リーグ通算200ゴールが期待されている。マルセイユでも活躍した元フランス代表は、2015年にティグレスに加入して、数々のゴールを積み重ねた。
ここ数試合は、出番が少なく、準決勝第2戦プーマス戦でも途中出場で10分のプレーのみとなった。現時点で、メキシコ国内リーグ通算199得点で、節目の200点目に注目が集まっている。1チームのみの在籍で奪った得点は、メキシコ国内で歴代3位。今やチームのレジェンドだ。


決勝戦では、彼の節目のゴールと共に、ティグレスが王者となるのか、
リーグナンバーワンの攻撃力でクラブアメリカが圧倒するのか。
注目の決勝戦第1戦は、日本時間12月15日午後12時に始まる。





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