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攻撃は最大の防御 パワーアップしたクルス・アスル

昨シーズンクラウスーラ準優勝のクルス・アスルが、さらなる進化を遂げている。
リーガMXアペラトゥーラ2024第2節、モンテレイ対クルス・アスルの試合。優勝候補同士の対決は、今節の注目カードとなった。

モンテレイは、カナーレスやベルテラメなど能力が高い選手が今年も顕在。開幕戦では、パチューカと激しい攻防を繰り広げた末、勝ち点3を手にした。
それに対しアスルは先日、サンチェスとロモという2人のメキシコ代表選手の獲得を発表。移籍の手続きも完了し、今節から出場が可能となった。

今回は、新戦力を加え、昨シーズンからさらなる積み上げを図るアスルが、強豪ラジャドス相手に魅せた90分間に焦点を当ててみようと思う。


新戦力を加えた強力布陣

アスルのフォーメーションは3-6-1。(サイトによっては、4-3-3としているものもあったが、攻撃時は最終ラインが3枚、両サイドバックが高い位置を取っていたため、ここでは3-6-1とする。)

注目はやはり、右サイドに入ったサンチェス。
アヤックスやポルトでプレーしていたサンチェスにとって、これが3年ぶりの国内リーグ戦となった。攻守において持ち味の対人の強さを活かしたプレーに注目が集まった。

また、サンチェスと逆サイドに張るロトンディもこの試合のキーマンとなった。
昨シーズンはアンセルミ監督の下、サイドに幅を取り、ボールを動かしながら、ボックス内で人数をかけゴールに迫るスタイルで躍進したアスル。
今節も、両サイドの選手を中心に、そのスタイルを貫いた。

圧倒的な攻撃力

試合は前半から、アスルが試合をコントロールした。
両サイドを起点に、モンテレイゴールに迫るアスル。
10分、左サイドからのアーリークロスに、ファーサイドからサンチェスが飛び込んだ。
ゴールにはならなかったが、さっそく見せ場を作ったサンチェス。アスルのスタイルに順応していることを示した。

15分のアスル、コーナーキックから先制に成功。
この得点で完全に流れを掴むと、23分。
右サイドでパスを回し、前線へパスを通す。その落としを今度は逆サイドを駆け上がったロトンディへ大きく展開。
ボールを受けたロトンディがシュートを試みたところ、モンテレイディフェンスの手に当たりPKに。これをロトンディが自ら落ち着いて決め、アウェイのアスルが早い段階で、2点リードした。

後半に入っても、アスルの勢いは止まらなかった。
50分、裏に抜け出したロトンディがキーパーのポジションを確認し、冷静なループシュートで追加点。

モンテレイも負けじと反撃するも、アスルの数的優位を作る守りに、自由にさせてもらえず。アウェイのアスルが完璧に支配した。

2得点の活躍ロトンディ

アグレッシブな交代策

3点リードとなったアスル。
強豪相手にアウェイでの3得点に、本来であれば、失点しないことを重視し、より堅実な交代策を取るのがセオリーだろう。
だが、アンセルミ監督は攻め続けることを選択した。

52分に、ストライカーのアンヘル・セプルぺダ
65分には、アントゥーナとロモというメキシコ代表2人
74分、10番アンドレス・モンターニョとホルヘ・ガルシアの22歳コンビを投入。
ロモとガルシアは中盤の選手、アントゥーナ、モンターニョ、セプルぺダは、いずれも実績十分な前線の選手である。

攻撃的なポジションを中心に、フレッシュな選手を入れたことで、普段なら足が止まる65分以降も、アスルはアグレッシブな攻撃を続けた。
76分、その途中出場のセプルぺダが、右足で強烈なシュートを放ち、4点目を挙げた。

この得点後、モンテレイのディフェンダ―陣は膝に手をつき顔を上げられなかった。この姿を見ても、攻め続けるアンセルミ監督の采配が、いかに相手を苦しめたかがよく分かる。

結果、アウェイで4得点と大勝したアスル。
モンテレイには枠内シュートを一本も打たせないという、ライバルを”圧倒”した90分となった。

途中出場でゴールを決めたセプルぺダ

攻撃は最大の防御

その後、中3日で行われたホームでのティファナ戦。
チケット完売となったこの試合でも、アスルが圧倒した。

この日は、これまでのボールを大きく動かすスタイルだけでなく、相手の出方を伺い、カウンターを炸裂。3得点で快勝した。
支配率は、38%と高くないものの、コーナーキックの数、シュート数と共に相手を大きく上回った。

開幕から3試合で、8得点無失点と好成績を残すアスル。
モンテレイ戦後、アンセルミ監督はライバルとの試合をこう振り返った。

"Feliz porque también entraron algunos chicos, como Guachi, que también lo hizo muy bien. Y sobre todo por sostener el arco en cero, creo que para nosotros es importante jugar con esa seriedad y hacerlo hasta el último minuto. Y es algo que valoramos mucho, defender nuestro arco y terminar con el arco en cero que es muy importante."

「ガルシアのような若い選手も良いプレーをしてくれたことを嬉しく思います。また、全体を通して、最後まで集中し、無失点に終えることができたというのも良かったです。無失点という結果には、我々はこだわっており、非常に重要なことです。」

https://www.foxsports.com.mx/2024/07/14/cruz-azul-y-anselmi-advierten-tras-ser-lideres-en-liga-mx-esto-recien-empieza/?outputType=amp

実力のある選手だけでなく、若手選手の状態の良さも読み取れる。
また、この言葉にもあるように、3試合8得点という数字だけでなく、無失点という結果も注目する必要がある。

この3試合、アスルが相手にゴールを脅かされたシーンは非常に少ない。
ボールを動かし、相手にペースを握らせない前半。フレッシュな選手を投入し、攻撃のギアをさらに上げる後半。
このゲームプランにより、90分間攻撃の手を緩めることなく、相手に隙を与えていないことが無失点の要因となっている。
まさに、「攻撃は最大の防御」を体現しているチームだ。

開幕3連勝は、リーグでアスルのみ。悲願のリーグチャンピオンへ最高のスタートを切った。

アンセルミ監督は、”Esto recién empieza.” 「まだ始まったばかり」と強調する。昨シーズンの躍進から、さらにパワーアップしたアスルの進化は止まらない。
アルゼンチン人指揮官がアスルを率いて2シーズン目。国内最強のクラブになるべく、攻め続けるシーズンとなりそうだ。


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