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テゲバジャーロ分析 #6

先週の敗戦で連敗となってしまった宮崎。今節はホーム連戦で讃岐との一戦。ここで勝ってまずは連敗を止め、傷口を広げないことを目標に戦う。

今季の讃岐戦はアウェイで敗戦している。
押し込む展開ながらも一点が遠くウノゼロで敗戦を喫した。
シーズンダブルを喰らうことは避けたい。

前回の讃岐戦の振り返りはこちらから↓

前節 福島戦の振り返りはこちらから↓



前半

では早速振り返っていきましょう。
基本のシステムは変わらず4-4-2。ただ、今節は左CBのところに眞鍋が入った。そこが前節からの変更点。

停滞するビルドアップ

ビルドアップの形はCB2枚+アンカーでスタートする。SBも両方とも高い位置をとり、攻撃への厚みを出そうとしている。どちらかというと左SBが高く左肩上がりのビルドアップに見える。これらは宮崎のビルドアップのスタイルとして存在しておりコンセプトを変えていないことが確認できる。
しかし、なかなか前進することはできず全体的な流動性もない。そして攻撃(敵陣でのアタック)に繋ぐことができない。

その原因としては、讃岐の前プレや規制等が関連している。
讃岐は保持した時にロングで宮崎陣内に放り込んで押し込んでいる。ルーズやこぼれなどは回収しきり、枚数をかけて攻撃へ転じる。テンポの良さやタッチ数の少なさから良い攻撃も展開できていた。そして、失った時にはその前での枚数を活かして前プレを開始し停滞させる。敵陣でのプレー時間を攻守において長くしたい。自陣での保持や守備を避ける。この一連が目的として存在している。※ブロックを敷いて守るシーンもある。

前プレは1stDFが最初に一本でウラ返されないようにタテを切りながらホルダーに規制し、サイドへ追い込みサイドを狙いどころとする。ホルダーが横や後ろを向いたらディレイ(限定)完了。切る方向をどちらかに限定しアンカーのコースはもう一枚のトップが消しながら中盤も監視する。中盤はマークの監視とその背後にあるライン間も気にしながらポジショニングする。
ボールがサイドに流れた時は宮崎のCHをSHと中盤が2枚で監視し、SHは大外(SB)にも出れる距離感を保つ。さらにSHは中に絞る相手SHへのコースも消しながら。

最終ラインは枚数対応でスライド・カバーをはっきりする、ウラケアも◎。中盤以降は撤退しセットし、前プレを支えるために準備している。
前プレ時のやることと苦しめ方をはっきりさせて、ミスやカットを狙っているよう。一連の守備の仕方を徹底している。
また、前プレで奪う・カットすることだけでなく蹴らせて回収することも狙いとしてあるようだ。前プレでライン高くしている状況でも宮崎はウラを狙う回数は少なく自陣から前進しようとすることを優先する。だから、前プレで苦しめるだけでOKになる。ミスや良い形での奪取から攻撃へ…を狙う。時には前線の1,2列目がマンツーぎみでつくこともあり、この時は受け手に対しては厳しく。奪えなくても後ろにボールを流せば最終ラインのカバーが拾いきることができる。ゾーンとマンツーの併用はよく、バランスも取れている。

讃岐の前プレのスタート
片サイドに流れると…
大外に出ると…


という讃岐の対応に対して、ビルドアップを継続しているとミスも発生してしまうこともある。このミスがあるから攻撃に転じることができず相手の術中にはまってしまう。
さらに迎えた14分、讃岐はプレスからミスを拾いきりGKを交わして無人のゴールへ流し込んだ。狙いがはっきりしている讃岐のやり方にはまり、先制点も与えてしまった。讃岐にとっては理想の再現を完了できた。

そこでロングを放っていくもこれも意味はなく、苦し紛れに逃げることになってしまい結果的にロストしてしまう。讃岐は回収の準備ができている。
自陣から敵陣へ放るもターゲットがいるわけでなく、ウラを狙っていたとしても出し手と受け手のイメージの共有があるわけでもない。ウラへの狙いは共有されていないよう…。

もうひとつ気になることは、SBが高い位置を取っているためにロストをした瞬間にサイドはガラ空きになってしまうことだ。
高さをとる分そのリスク・デメリットがあるわけだが、このリスクをなくすためにはロストの仕方を考えることが大事。イージーなミスや狙いのないロングからのロストは勿体無いし急にSBが戻ることはできない。そうして相手はサイドを中心にしたカウンターに出ることができてしまう。
それもあってか段々とSBの位置が下がっていっている印象があった。サイドのスペースのカバーやビルドアップ時のホルダーに対する選択肢の提供のために下がっていたのかも。しかしそれでは、元からあるサイドの高さを活かした攻撃や前進のための有効的なポジショニングというような強みがなくなってしまう。なので、色々なことを考えながらバランスを取るべきなのかもしれない。状況に応じてになるがそうするしかない。

他に、押し込まれた守備時はブロックで守り安定した守備を継続し奪うことができる。そして奪取後は慌てずに繋いでやり直した。しかし、これは今までのことからわかるように相手のとっては好条件である。前プレをかけられ同じ事象のループである…。ここでも奪うまでは良いが次に進むことは困難であるようだ。

状況の打開

こうした停滞した状況の中でもなんとかミドルサードへの侵入にこじつけ、チャンスを作ろうとする意識はもちろんあり、実際に有効的な仕掛けが見られた。

まず、ミドルサードではSBが持った際にトップやCHが絡んでサイドから切り崩す流れ(グループでの崩し)があった。これは以前にもあった形で、スタイルとして意識を持って取り組めているようだ。意識を持ってというかこの関わりや動きが自動化されていて勝手に動くことができている可能性もある。どちらにせよ、相手を崩すためには必要な動きなのでもっと使う場面が出てくるようにしたい。
しかし、なかなか精度を上げることができずチャンスへ繋ぎきるというシーンは少ない。特に局面から抜け出してからのラストパスの精度が求められる。

欲を言えばというか必要な動きとしてウラ抜けがある。
このウラへの動きは非常に少なく、先ほどのビルドアップでの記述にもあったように狙いがない印象だった。引き出すプレイヤーとウラをとるプレイヤー、この二役・複数役の動きがないと相手と駆け引きすることは難しくなってしまう。色々な関係性も考えながら。
特にウラ抜けがあれば、狭い空間で出しどころがなく苦しんでいる中でも一本でチャンスへ繋がる。また、割り切ってウラを狙うという選択肢も検討すべきか。

そして、ペナ前周辺では少ないタッチでのパス交換から剥がすという強みがある。一枚でも剥がせればシュートチャンスがやってくる。またはサイドのスペースやコースをカバーするDFを吊り出してサイドを使うこともできていた。そこから仕掛けやクロスに持っていける。クロス数の増加にも繋がっている。これも以前から取り組めていることで、オプションとして持つこともできればこれを中心にした切り崩しも可能になる。


全体的に見てみると、自陣からミドルサードの入り口までは相手を見ながら回して前進できる。そしてそれ以降の敵陣侵入後の深い位置などではスピード感を持って仕掛けることが有効的であることも感じられた。
静から動へ。鋭さと緩急を大事に。

それが活きたのは39分と42分のチャンスシーン。
どちらも放り込みやドライブなどのスピード感のある、タテへの意識が出た攻撃であった。シンプルな攻撃でチャンスメイクできた。相手が前プレで前がかりなら、それに対してタテへの勢いを持って仕掛けることが有効。
自分らのスタイルに固執し磨きをかけるのか、相手の対応に応じてやり方を変えていくのか。どちらの要素もチャンスメイクには関わっていたが、後半はどう出るか…。

後半

讃岐1点リード、0-1で後半へ。
宮崎はまずは同点を目指す。

前半からの変化と移行

前半同様にポゼッションからの前進には苦戦を強いられている。その中で前半終盤に見られた、シンプルな形からチャンスを作れたというのもありロングボールの多用に移行していった。
鹿児島戦ではロングボールの多用もあって勝利を手にすることもできたという事実もある。

さらに、ドライブの回数も多くなり繋ぐ前進よりも運ぶ前進へ変化していった。ドライブをすることでワンラインごと剥がすことも可能である。
サイドでの運びも多く見られるようになりチャンスメイクの回数も増えていった印象。このサイドでの仕掛けは中の枚数の多さがサイドを空けるための要素になっており、サイドで仕掛けることでDFの枚数を引き出したりチャンスの可能性がUPする。それにさらに加勢するように山崎を投入し、サイドの厚みと仕掛けのフレッシュさも出すことができる。
山崎は速さもあるためカウンター時にここに預ければ運んでくれる。速攻へ向かうこともできる。そういった意味でもオプション性のある交代であった。

また、サイドチェンジの回数も前半に比べて多くなっていた。幅広くピッチを使うことができてきた。これは相手の限定や寄せが甘くなってきていることも関連している。ホルダーの余裕が生まれている。

讃岐のコンセプト

敵陣への放り込みと前からかけるコンセプトは継続し、最終ラインの跳ね返しや安定も続いている。

攻撃に関してはロングや奪還から素早くカウンターを仕掛ける。
カウンター時はウラに抜けて受けるシーンが多く素早く・手数をかけずにチャンスに向かおうとしている。枚数が同数・優位になることもあるためチャンスを逃さないように仕掛ける。
その中でミドルサード(敵陣)からのブロックの崩しを行うこともある。ブロック崩しに関してはサイドを起点にしそこから仕掛ける方針。

森本を投入してからはターゲットとしての存在や相手DFに対する警戒を与えることができる。相手は収まりの可能性が高い森本を自由にさせたくないため、サイドや周りのプレイヤーに余裕が少しでも生まれる。森本の存在感としては十分であると考えられる。

守備に関しては、段々と強度は落ちてきてしまっている印象。そのため、前プレ時は限定が甘くなり全体的にラインは下がっている。そうしてブロックを敷いて守ることが多くなっていった。ブロックを敷くため跳ね返しやペナ付近の堅さは重要視している。

終盤の攻防

終盤に差し掛かるとオープンな展開になり始め、チャンスも増加していった。奪ってからの速さで勝負をかけているように感じられる。そのために、守備時は守りきることや撃たせないことが重要になる。
攻撃のタテへの意識が続きウラへの狙いも見えてきた。ウラへの動きは南野が担っていた。

サイドや中央からのチャンス数は増えているがシュートで終えることが少なく、決めきることもできないというのが現実であった…。

しかし、守備に関しては被カウンター時には不安は残る。
自由に受けられてしまい、枚数的にも十分出ない部分がある。マークの逃しやスペースを使われることも多い。そのためカバーもつけることができない。そこで、1stのディレイをかけるタイミングや限定、奪われ方の修正をしていかなくてはならない。セカンド回収やストップも強度を上げながら、それができるプレイヤーも必要。前半にもその奪われ方に関して気にしなければならない場面もあった。

讃岐は最終盤、点差と時間を見ながら敵陣で時間を使う。ゲームをクローズしようとする。
単なるキープをするよりかは、敵陣内の1/4で繋いで保持し狭い空間の中でロンドしながら時間を使う。

結局、讃岐が逃げ切り0-1で試合終了。

総括

前半から讃岐のプレスに苦しめられ攻撃を組み立てることが難しくなってしまった。そして、ミスからの1失点に泣くことになった。
繋ぐことに固執しそこを大事にするのか、タテへ速い攻撃でひっくり返していくのか。相手に応じて変化を加えることでチャンスの数は多くなるようにも思える。ちなみに、鹿児島戦のように割りきったやり方もあった。ただ、スタイル(コンセプト)を持ち磨くことが重要ということもある。
大前提として、気になるのはチャンスを決めきれないこと。ここは改善必須。

スタイルを貫く頑固さ的なものを優先するか、試合状況に応じてやり方を変えて戦っていくことで臨機さと、どんな相手に対してもゴールを奪える・勝てるという体勢を整えるか…。
これからの戦い方の変化はあるのか注意していきたい。

前回対戦同様にウノゼロで敗戦となり、シーズンダブルを喫することとなった。さらに今季初の3連敗。苦しい状況は続く。
まずは1勝すること。そこを目指してか。

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