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テゲバジャーロ分析 #2

先週の試合に引き続き今節分の分析もやっていきます。
といっても、またしても試合から数日離れてしまったのでそこは今度から修正していきたいと思います。

今節は沼津戦でした。沼津は勝ち点30で上位に着けており、昇格争いにも顔を出している状況です。近年に比べればかなり調子はよさそうな今季。今節も6試合負けなしで乗り込みます。
ブラウンノア賢信が攻撃の中心を担っており、ここまでで5ゴール。

対する宮崎は、2連敗の3試合勝ちなしと苦しい状況。しかし、サッカーとしては間違っていないはず。なんとしても今のサッカーで勝利し、アンサーを出したいところ。上位進出のためにも勝利は必須。上位沼津に対して勝ち点3を奪えるか。


前半

攻撃の変化

今節もスタートから4-4-2の形は変わらず。
しかし、前節から大きく変わったのは、後方からの放り込みが多く、シュートへの流れに関してもそこまで手数はかけずにというところ。シュートへは簡単に行こうという流れの中で、トップの石津・南野へあてるシーンが多い。そこで収まるかどうかは別として、トップに入ったときの関わりは多く、2,3枚が絡むことがほとんど。で、そこからシュートへ向かうイメージ。これは、相手の前プレに対する反応であると考えられる。前節は相手のプレスが掛かるシーンが少なく余裕を持って回せていた。しかしこの沼津は前からプレスをかけてくる形をとった。そうなると、下で回していてもリスクを負うことになり簡単にウラ返そうという気持ちが出てくる。実際にチャンスクリエイト数や決定機になりかける回数は、前節の同じ時間帯に比べて増加したようにも感じられる。効果的で合理的なことなのか…。
とにかく、ゾーン3やその前への侵入はロングを使うことが多く、のちに出てくるが守備からのショートカウンターという形が多い。他には、押し込んでマイボールのスローインから侵入するという形も数回あった。

敵陣ではボールサイドでの関わりも多くあり、狭い局面を2vs1,3vs2で打開するシーンもあった。前線では関わりがある中でも簡潔なアタックになっている。これくらいシンプルな崩しができてくると、スピード感やゴールへ迫る速さは変化してくるものだ。

特徴的なビルドアップはどうなったのかというと、前節のように可変は少なくSBも高さをとるということは少ない印象。ただ、前節は右SBが高い位置をとっていたのに対して、今節では左SBが高さをとる回数が多い。

これらをまとめると…
・自陣では前プレを回避するために放る、ロングを利用
・ロングはトップを目掛けて
・敵陣での関わりは継続しシュートへはシンプルに
・前節のようなビルドアップの形は見られず


データ的に見てみると

左: 今節  右: 前節

0~24分までの自陣から前線へのロングボール(中・長距離)を集計し可視化。今節と前節を比べてみてみる。
時間を区切ったのは、今節は19分に得点しておりそこからロングの数が減ったから。一応、そこから+5分のところまで集計した。前節分も同じ時間帯で集計し、対照的に比較できるようにした。

長めのボールの本数自体はあまり変わらないが、方向や出す位置などには大きな違いがあります。
前節はボールを持つ位置が高いということもあり、ゾーン2からの供給が多い。対角へのボールも多く、自由な供給ができているようです。しかし、今節は自陣後方から同サイドのタテ方向への供給が多く、供給するボールの長さも長くなっています。「右サイドを多く使っていた前節に比べ、その右サイドは活かせていない今節」という印象もこのデータからわかりますね。

成功数を見てみると今節は前節よりもかなり減っています。ロングで脱することを目標にしているものの、前線で収まる回数は少ないように思えます。といっても、前節ではトップに当てる回数は多くなくサイドに当てる回数のほうが多かったのです。なので、トップ(ペナ前などのセンターレーンで)のおさまりが悪いというのはチームとしてのセオリーな狙いができていないとは考えられません。まあ、トップの選手が収めるというのは大事ですが。また、トップがサイドに流れて受ける回数も多いので受け手が状況によって変わることもあります。

守備では?

守備に関しては、ゾーンディフェンスは相変わらずに取り組む。前節のように引いて守ることは少なく、前線から嵌めながらゾーンで守る形。ゾーンと言っているが、マンツーにも見える感じです。とりあえず、前から嵌めている印象は強い。
この守備で奪ってからのショートカウンターに繋げる回数も多い。カウンターの有効性はもちろん高い。攻撃時のスタート位置を高く設定することもでき、もし自陣まで引いて奪ったとしても前プレに遭いロングで逃げてロストする可能性が高くなってしまう。ということから前線で強度高めで守備をスタートさせる。シュートへの簡潔性を意識している中で、このような守備からショートカウンターへの実施は理にかなっている。

しかし、沼津はドライブでの持ち出しから侵入する回数が多く、宮崎の守備の網を破って敵陣へ進もうとする。前節の讃岐戦でも同じように、プレスをいなされカウンターのような形を喰らうというシーンがあった。
前線からの守備強度は良く守り方もはっきりしているが、そこをウラ返されピンチを迎えることは減らしていきたいところだ。


分岐点となったのは…

このような攻撃を続けていると、前半19分。サイドを崩しポケットへ侵入し、クロスをねじ込んだのは南野!先制に成功する。
このゴールシーンも前線からの守備で回収しカウンターへという形からだった。ポケットの取る位置も前節にはなかった深い位置かつ中に近い位置。クロスも有効になる位置で、守備はクロサーと中の状況とふたつのことに気を配らなくてはならない形に。これがポケットをとる意味で、得点の確率が上がる原因である

リードという余裕が生まれ、保持の時間が増えてくると下から繋ぐシーンが増えてそれを徹底していくフェーズへ。SBが高さをとれるようになると、2-3-2-3のような形になりアンカー的ポジションの存在も出てきた。
得点前まではリズムもなかなか作れず、GK・CB間でのパス交換が多くゾーン1→2への入り込みにとどまっていた。しかし、得点後はリズムが生まれいつものテンポで敵陣深く周辺へ行こうという形が増加。SBの位置的高さも出てくるようになった。また、前節終盤に石津が降りて受ける回数が多かったが、この時間帯から同じシーンが出てくるようになり、ビルドアップの活性化と前進の促進、引き出しと効果的な動きになっていた。

リード後の守備

リードした後の守備はラインは全体的に低めでブロックぎみな形へ。中を閉めて外回しにさせる、持たせる。敵陣で奪われた時などに、前めの位置からプレスに出ることもありますがここで奪えなかったら撤退するというやり方。枚数を戻して対応し、1コ1コ出る+スライドのゾーンディフェンスの意識もある。
相手はサイドに枚数をかけてくるが、サイドに出たときは2枚かけることもあった。ホルダーに対して2vs1の局面を作る。タテと中、両方を切りながら、余りを繰り出しながらという感じで。
何度かゴールを脅かされるもネットは揺らさせず守りきる。

このような展開が続き前半が終了。リードを保って折り返す。


後半

前半についてかなり文字数を要してしまいましたが、後半はあまり書くことはないと思います…。

繋ぐということでのシンプルさ

後半はロングでの放り込みよりも拾ってからの繋ぎが多くありました。
攻撃は繋いで侵入し…という流れは変わらずですがそこまで攻めに行くということも少ない。ただ、保持してからの繋ぎでのテンポや関わり、イメージの共有が◎。タッチを少なくし速攻を仕掛ける。
ギャップを通して崩す回数も多く、狭い局面を数人で打開していけていました。フリーの作り出しやスペースを見つけることなど、シンプルながらも大事なことをしっかりできていた印象でした。

守備面はどうか

後半スタート時の守備は前プレ+球際厳しくという形で入る。そこから蹴らせて回収・プレー切る・自由与えずで安定した守備。ハイボールに対しても先に触って、そのあと回収と一貫して良い準備ができていました。回収できると先程の攻撃にもつなげることができるのです。

しかし、時間が進むと相手のペースになってきます。セカンドやルーズは沼津が拾い、ドリブルでの侵入や二次攻撃を許してしまいます。これには、クリアが小さくて押されている場面から脱することができないことが絡んでいると考えられます。
さらに沼津は、持井などの前線の選手の動き直しからの引き出しも出てきて、サイドアタックやポケット侵入回数が増えます。えぐり・クロスも増加。中にも枚数が掛かっている。前線への比重が重くなり、攻撃だけではなくロスト後の守備にも活力が生まれます。クリアされそうになるとすぐに1stが寄せて近くのスローインへ、拾って攻撃へとネガトラにも相乗効果が生まれてきます。
ただ、押されて決定機を作られるも宮崎は、バーに助けられたりとなんとか耐えます。

終盤の攻撃

終盤は最後のところでの質が下がってしまいます。サイドアタックをやりきれないことやクロス入れるのか?ポケットをとるのか?キープするのか?とはっきりしなくなります。
途中出場の長身FW 青戸もなかなか活かすことができない…。

試合の流れ的にはダメ押しの2点目が欲しいところでしたが、ここでは奪えず。終盤でとりきり、勝利を確実なものにするということも必要になるかと思います。強いチームになるためにも…。
前節も終盤にチャンスや押し込む時間があった中でゴールを奪えませんでした。そういう意味では、最後に決めきる勝負強さがほしいですね。

総括

なんとか今節は勝利を掴み取ることができました。その点においては良いことです。しかし、展開的には前節の逆な感じでした。攻めるよりもブロック敷いて守る時間が多かったということで、讃岐もそういう戦い方・宮崎は攻め続ける…という展開が前節だったからです。欲を言えば、90分間は難しくても大体の時間で自分らのスタイルで戦って勝利するというのが理想かなと思います。保持の時間を多くしながらチャンスを演出する、守備は決まりを守りながらササッと対応する。だからこそ、後半に得点があってそこからもう2,3点入れられればと感じました。守備に関しては危なっかしいところもありましたが、なんとか0に抑えたのは良かったですね。
結果重視のスポーツなので勝利を第一優先にするのは当たり前ですが、その中でスタイル性を突き詰めることがまた大事になる。スタイルの確立ができれば、次はそれを継続・伸ばし続けるように。もちろん、状況によって対応が変化するので仕方ない部分はあると思いますが…。

とにかく、勝利を積み重ねることを一番にしながら。そこで、らしさを感じさせる戦い方を繰り広げていけることに期待していきます。
次節も勝って連勝できるか!どんな勝ち方になるか?

おわり。



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