Luton vs. Sheffield Wednesday 〜ハーフスペースの攻略〜
EFL Championshipは第6節。
LutonのホームにWednesdayが乗り込んでの一戦。
Lutonはここまでわずか1勝。PLからの降格組ながらも厳しいスタートダッシュ。WednesdayもLutonと同勝ち点で並ぶ。開幕戦勝利から右肩下がりの序盤戦。
↓今試合のハイライトはこちらから。
※今試合はゲーム分析というよりもある事象についてフォーカスしての記事になります。
スタメン
スタメンは上図の通り。ミラーゲームの様相。
Wednesdayの穴をつけるか
Lutonが保持する時間が長くある序盤戦。
守るWednesdayは5-2-3の形でミドル〜ローブロックを組む。
保持するLutonはWednesdayの5-2-3のうちの2の脇(=ハーフスペース)を狙いたい。ここには2シャドーが降りて受ければ攻略できそうである。過去のゲームでは、Wednesdayのハーフスペースは攻略されることが多く、5-2-3に対するセオリーが2CHの脇を狙うというのがあったりする。WednesdayはLeeds戦(第3節)で2CHの脇をうまく使われブロックを崩された。
Wednesdayのブロックの全体像を見てみると、3CBはマンツーで相手の3トップを見る形。ワイドも対応する。そして、最前線は3+2の5枚でプレススタートし連動する。今節はここの5枚のグループの距離感がキーになった。ちなみに、プレス位置はそこまで高くない。序盤は引き気味のブロックで構える。
Lutonは2CHの脇を狙っていきたいところだが、Wednesdayが脇をうまく埋めながら対応するのでそこへ差し込めない。シャドーが降りられず受けることもままならない。降りたとしても相手のブロックの外(3FWの外)になるので本質的にはブロックを崩すための動きにはならない。
ポゼッションがうまくいかないので最終的にトップ Adebayoを狙ってロングボールを放り込むだけになってしまう。ロングを収めることもセカンドを拾うことも難しいのでこれもうまくいかない。
Wednesdayは自陣にボールが入ってくるとクラッシュして相手に自由なプレーをさせない。それ以前に、3FW+2CHでハーフスペースを圧縮し窮屈にすることでサイドへ限定しタテへの進行経路をなくす。ここは今までの試合よりもできているところである。前線5枚の「プレス〜牽制〜プレスバック」の距離感を常に維持することで良い守備を構築する。
ローブロックを主体にしながら序盤は守るWednesdayだが、相手がビルドで足踏みしている中でバックパスをしたりすれば一気にラインアップしハイプレスへと切り替える。ずっとローで構えている中、どこかで取りに行くプレーを敢行しないといけない。そして最終的に焦らせて蹴らすか、サイドで寄せる。流れとしては、ハーフスペース消し→もたついたらプレス→下げさせ前プレ+ラインアップで敵陣へ という流れ。攻略されそうなところを封じてそれ以外の手段は賭け(ロングだけ)にさせる。
Lutonの打開策
なかなか前進できず苦しいLutonもそろそろ打開策を見つけたい。
という中で、中盤が過ぎたあたりから守備時に押し込んでくるWednesday。ラインの高いプレスで段々とLutonのビルドに食いつくようになる。
そうなると剥がすチャンスがくるLuton。
前半よく見られたのはサイドを使ってのワンツー。
プレスでほぼマンツーでつくWednesday(ミラーゲームゆえ)に対し、これをうまく利用しCHが対応する相手のCHを引き連れてハーフスペースを空ける(=CHの背後)。これができれば、上図の通りCB→WB→(CHがスルー、オトリ)→シャドー の流れで遂に連動性のあるWednesdayのプレスライン 2ラインを剥がし敵陣に侵入完了へ。
+段々と前に出てくる相手に対しここでロングが効いてくる。最終ラインはターゲット v CB.1で収めるか、シャドーを使ってレイオフできる。
このようにしてWednesdayが引きついたところでテンポの速い、グループでの崩しで打開に成功する。ローで引きこもりつつあったWednesdayも我慢しきれず段々と前がかりになってしまったのがターニングポイントになった。
失った後のネガトラ・ラインが上がっている状態での敵陣IN・ルーズ・セカンド・距離感がまとまっての守備(特に前)など、それらが裏目に出てしまいまとめてウラ返る。そして、ロングを入れられるとプレスラインが高いと押し込まれる、かつターゲットへの潰し(消す)枚数が少なくなる。
Wednesdayのアタック
一方、Wednesdayの保持時も見ていく。
形通り3-4-3での攻撃になるが、ビルドを省いてより端的なアタック。最終ラインから大外目がけてロングを入れ、一発で押し込みサイドで起点作る。そもそもLutonのラインは低め(Wednesdayの前線が張ってライン下げる)・(序盤からのロング多用でライン下げれてる)。なので持てば手前にスペースができるし、ロングを蹴るにしてもキッカーはそこまでプレッシャーを感じないので十分に狙ったボールを蹴れる。
しかしながら、ここまでのゲーム(開幕節〜数節)でチャンスを創出してきた、MusabaやGassamaがいないのでサイドでの仕掛けには期待はあまりできない。なのでサイドからの連携や中央寄りの崩しでゴールへ迫る。
お互いに問題を抱えている状態で前半を0-0で終了。
後半へ
打開策を模索し一つの解を見つけ出したLutonはメンバー変更なしで勝負へ。
WednesdayはGassamaを左WGに入れアタックにアクセントを加える。
試合を動かしたのはWednesdayだった。
前からの守備で右サイドで掻っ攫うとカウンター。クロスに中でBannanがボレーで合わせてネットを揺らす。前半に見えた良い前プレから加速しての一発。奪ったWBと残りの中に入る前線5枚で完結した。↓
この先制点の前にもカウンターの機会があったが、そこでは左サイドのGassamaの位置からスタートしており、相手ペースの中でカウンターを狙っていくという意味合いでのGassamaの投入であった。
そしてその意思が実を結び、Gassamaとは反対サイドからだったがゴールを奪うことに成功した。
Luton打開策.2
ビハインドとなったLutonはリードしてブロック志向(+カウンター狙い)の相手ブロックをより崩してチャンスを創出しなくてはならなくなった。
前半のようにサイドをうまく使ってグループで打開するのと、もう一つ後半新しい打開策が見れた。
これは前半のCHの引き付けの応用というか、同じ型のやり方になるが今回のは中央から。
今回の相手CHの引き付けはシャドー。シャドーが降りてハーフスペースに入るというのは同じ流れだが、”相手のCHを引き付ける”。前半の打開策の時のCHと同じ役割。そして、空いた背後に入るのはFW。ここで受けることで敵陣に侵入し相手の2ラインを越すことができる。
今回の形でいえばCBから見て、手前のプレイヤー(シャドー)を越して奥のプレイヤー(FW)に出すプレーはスキップパスとも呼ばれる。
というようにして一辺倒ではなく、複数の形からブロックを切り崩すLuton。段々とブロックは簡単に崩れていくことに手応えを感じる。
Lutonの反撃
ペースを握りつつあるLutonは74分。相手ゴール前の混戦からシュートを放つと、これが相手DFのハンドを誘いPK。ハンドしたDFは退場し、一気にLutonに流れが流れ込んでくる。
このPKをMorrisがしっかり決めて同点に追いつく。
押せ押せムードのホーム Lutonは約10分後、コーナーから再びMorrisが押し込み遂に逆転に成功。苦しみかけるもホームの雰囲気を借りて逆転。
そのまま試合は2-1でLutonが勝利。
総括
ホーム Lutonは今季2勝利目。
開幕して間もないころに比べれば、各選手のコンディションが上がったように感じる。特に、ポゼッションの部分ではリズムが出てきているし距離感も試合を通してよくなっているようだ。そもそもポゼッションに関しては”出してこなかった”という開幕頃だったのでそこも成長か。ただ、まだロングに頼るシーンが多く、ローブロックに対しては結局放り込んで賭けに出るというシーンばかりだったので、ここら辺の対策をどう立てていくかが焦点。
次節のPlymouthも同様な戦い方を仕組んでくる可能性が高いので、どうなるか…。
対して敗戦したWednesday。
開幕戦の勝利後から5試合勝ちなし。守備ブロックに関してはしっかりオーガナイズされている印象を受ける時間が多かったが、結局は破綻して失点が重なってしまう。失点数はリーグ3位タイとかさんできている。
次節は首位 West Brom戦。攻守において高いレベルを保てる相手に対し、手足が出るかどうか。攻守で武器はあるのでそれらをどう出すか。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?