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サッカー日本代表動画分析_失敗に再現性が見られる

北朝鮮戦の反省の続きです。前回の記事で試合全体の反省を書きました。

今回の記事では試合の動画のクリップを使って、個々のシーンごとにどうすれば良かったか考えて行きます。後半開始から選手交代で3バックになるまでの日本のビルドアップ失敗動画を8つクリップしました。再現性のある失敗が見つかっています。

以下の日テレスポーツさんのYouTube動画からクリップを作りました。ホント有難い限り。

では動画分析に入ります。

自陣でのビルドアップ失敗1

後ろがかりな中、引き付けも足りずに色々な選手が孤立

左サイドで前田選手→伊藤選手→町田選手にパスが戻され、そこから再度左サイドの伊藤選手にパスが出ました。敵のプレスを受けてパスコースがなくなった伊藤選手はDFの死角からボールを貰いに戻ってきた南野選手にパス。南野選手はダイレクトパス(トラップかも)を狙いますが上手く行かずに北朝鮮に奪われます。

このシーンを引き起こした原因は以下2点だと考えます。

  1. 町田選手が相手を引きつけずに伊藤選手にパス。結果、伊藤選手が相手に挟まれて無理なパスを出さざるを得ない形に

  2. 南野選手が孤立。敵選手に囲まれ奪われるのも仕方なさそう。ボランチの田中選手?が伊藤選手のフォローに向かったことが南野選手の孤立の一因に

裏や逆サイドを狙う大きな展開が必要だった可能性

以下の改善策が考えられます。

  1. 町田選手が相手を引き付けて相手の陣形を動かしてからパス。GKまでボールを戻して相手を引き付けるのも一つだと思います

  2. 町田選手が逆サイドの堂安選手にロングボール。このシーンでは実は堂安選手がフリーでした。逆サイドに出せば窮屈な展開は避けられたはずです

  3. 田中選手?が伊藤選手をフォローせずに前線に動く。南野選手のレイオフを貰える位置を狙い、パス交換してプレス回避

  4. 南野選手や前田選手が戻るのではなく裏に走る。南野選手は一度相手DFの視界から消えましたし、そこで裏に走っても良かったかもしれません

他には伊藤選手が内に入ってボールをもらうパターンも考えたのですが、田中選手?が居たのでそうするスペースはなさそうでした。

ここではこれ以上議論せず、2つ目のシーンを見て行きます。

自陣でのビルドアップ失敗2

数的不利な中で無理にパスを繋いでボールを失う

1つ目のシーンと大分似ています。GKの鈴木選手→板倉選手→鈴木選手→町田選手→伊藤選手と繋いで、プレスを受けた伊藤選手が右斜め前の上田選手にロングパス。上田選手は前田選手にパスを繋ごうとしますが、繋ぎ切れずにボールを失います。

原因を探ります。町田選手と伊藤選手はプレスを受けてパスコースもなく、無理なパスを出さざるを得ませんでした。その前の捌きが問題だったと思います。そもそも日本は自陣で数的不利の状態でした。この状態で後ろから繋ごうとするのは難しかった気がします。

自陣で数的不利に陥った一因に田中選手が戻り切れていなかったことがあります。このシーンでは日本の右サイドにメチャメチャ大きなスペースができており、田中選手もDFラインのフォローではなくそのスペースでボールを貰おうとしたように見えました。結果的に後ろの選手が足りず繋ぐのが厳しい状態となりました。

また、CBとGKの距離も近かったかもしれません。そのために相手が連続でプレスをかけやすかったり、CBへのパスコースを切りながらGKにプレスをかけやすくなったりしていました。こうなるとプレス回避が難しくなります。

両サイドのスペースの活用が必要だったのでは

考えられる改善策は以下の通りです。

  1. 鈴木選手や板倉選手が右サイドの広大なスペースにロングパス

  2. 田中選手が最初に右のスペースに流れるのではなくボールを貰いに戻る。後ろから繋ぐのであれば田中選手は戻った方が良かった

  3. 鈴木選手から町田選手にパスするのではなく一つ飛ばして伊藤選手にロングパス。伊藤選手がフリーだったため慌てずに対応できた可能性がある

  4. CB2人がもっとサイドに開いてプレスを回避しつつボールを貰えるようにする

狭いところにどんどんパスを繋いでしまう日本

1つ目の動画との共通点として、狭いところにどんどんパスを繋いでしまった点があります。そういう時は裏やサイドに散らすのが王道なのではないでしょうか。シティだったらサイドに散らしてプレス回避してた気がします。

次のシーンに移ります。ここまでの2つは自陣でボールを失ったシーンでしたが、次の2つのシーンは相手陣内でボールを失ったシーンです。

敵陣でのビルドアップ失敗1

擬似3バック化しファーストプレスを回避

この動画の少し手前に守田選手が下がってきて3バック化し、数的優位を作って板倉選手がフリーになっています。実は次のシーンの手前も同じです。自陣でのビルドアップ失敗の反省を踏まえて3バック化して最初のプレスを回避しようとしたのでしょう。その工夫は成功したように感じていて、そのためかビルドアップ失敗の位置も敵陣に変わりました。

このシーンは3バック化でフリーになった板倉選手にパスが渡った後のものです。

孤立した選手に縦パスを差し込んでしまいボールキープできない

ボールを受けた板倉選手はドリブルで持ち上がり、敵数人の間に立った南野選手にパス。敵に囲まれた南野選手がダイレクトでリターンしますがパスが浮いてしまい、板倉選手も上手く捌けずに無理矢理パスして相手に取られます。

原因を探ります。南野選手のミスに見えますがそう簡単なものではないと思います。まず南野選手が最もフリーなタイミングではパスが出ていません。板倉選手はおそらく目の前の相手を引きつけようとしてパス出しを遅らせたのだと思いますが、その分南野選手が後ろからプレッシャーをかけられてしまいました。そのために南野選手はリターンを選んだのでしょう。

相手が近くに居た板倉選手にリターンしたのは問題でしたが、そもそもの話で言えば南野選手が孤立して板倉選手にしかリターンできなかったのが問題だったと思います。そしてその背景には菅原選手が前線からDFラインに戻ってしまったことがあります。菅原選手が前線に上がろうとするとマークが付いてきたためDFラインまで戻ってしまったようです。

縦パスを受ける選手の近くに我慢して居続けた方が良かったのでは

考えられる改善策は以下です。

  1. 菅原選手がDFラインに戻らず前に居続ける。南野選手に縦パスが出た時にパスを貰える位置を狙う

  2. 板倉選手から左サイドの前田選手にロングパス。左サイドに広大なスペースが空いており、そこを使って良かったと思います

板倉選手がDFラインに戻った菅原選手に出す案も考えましたが、サイドでボールが詰まりそうで難しい気もしました。

ボールを貰いに行き過ぎて前線が孤立

1つ目の動画と共通点があります。それは前線以外の選手がボールを貰いに行って前線が孤立し、そこに無理に縦パスを差し込んで取られた点です。この点はかなり問題に感じていて、後ほど詳細に取り上げます。

次のシーンです。

敵陣でのビルドアップ失敗2

孤立した選手にパスを出してボールを失う

このシーンではまず田中選手→堂安選手→田中選手→板倉選手とピッチの右半分中心にパスを繋ぎます。そこから左側の町田選手に繋ぎ、町田選手がプレスを受けてマークが付いている南野選手に縦パス。南野選手は相手マークにボールを奪われます。

原因を探ります。町田選手のパスが悪そうですが、町田選手は南野選手がもっと戻って来てくれると思ってパスを出した印象を受けています。ただ、南野選手はまたもや孤立していて、ボールを受けても厳しい状態にありました。かといって伊藤選手の近くにも敵が居てパスが出せません。この辺りの解消が鍵になりそうです。

偽SB化してサイドのパスコースを空けつつ中央の人数を増やす案

考えられる改善策は以下です。

  1. 裏に蹴り込む。敵CBが南野選手を追いかけてその裏が空いていた。上田選手も裏で貰う構えを見せており、そこに出した方が良かった

  2. 町田選手がGKか板倉選手に戻す。もう一度ビルドアップし直す

  3. 伊藤選手が内に入る(偽SB化)。左サイドの前田選手へのパスコースを空け、そこにパスを出せるようにする。もしくは中でボールを受けて対角に居るフリーの板倉選手にリターンする

板倉選手がもっと相手を引きつけてからパスする案も考えましたが、目の前は敵ばかりでそこに突っ込んで行っても仕方なかった印象です。

3バック化する時に連動してポジションを埋める必要性

これまでの動画で顕著だったのは左サイドでボールが詰まることです。北朝鮮も明らかに狙っていた感がありました。町田選手に改善余地もありそうですが、よりシステム的な改善策が必要だと思います。

日本は擬似3バック化によりファーストプレスを回避できるようになりましたが、結局敵陣でもボールを回せずでした。これは擬似3バック化の弊害だったと感じています。

この4つ目のシーンで論じます。田中選手が下がって3バック化したために中盤が守田選手だけになり、ボランチの守田選手がフリーになりづらい状態でした。ボランチにマークが付いてパスが出せないと距離の遠い前線か詰まりがちなサイドしかパスの選択肢がなく、ボールを繋ぐのが難しそうです。敵陣で上手くボールが繋げなかった要因の一つだと感じています。

ボランチが下がって3バック化したら、もう片方のボランチやサイドバックが動いて2ボランチを作らないとパス回しが厳しいのでしょう。そのためにやはり偽SB化が必要だったと感じています。

残りは次の記事で

残り4クリップありますが、長くなったので次の記事に回します。纏めもそちらに記載します。残りのクリップは簡単に済ませるかもしれません(想像以上に疲れた…)。読みにくい記事になってないことを祈ります。

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