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ドリブル練習は抜くためだけではない・・・何のためにドリブル練習をするのか?(対話編)

岩谷篤人氏との対話。育成年代がドリブル練習をしていく重要性を常々話してくれています。抜くことをドリブルと思い込んでいては、本来育成すべきことを見落としてしまいます。ドリブル練習をしていく本当の目的は・・・

相手を抜く方法

抜くという概念だけを、ドリブルと思って欲しくはないと言います

勿論、抜くということはドリブルの武器であるけれども・・・


相手を抜くということは、相手の背後に行くこと

相手の背後に行くことに焦点を当てると、その方法は3つある

1)自分でドリブルで抜く

2)オフザボールで走る味方にパスをして抜く

3)時間とスペースを創り出して、スルーパスで抜く

相手を抜くことに関して言えば、ドリブルは1つの方法に過ぎず、パスを中心に抜いた方が速いという人もいますが・・・

でも、育成年代がドリブル練習をしていくのは、抜くためだけではない・・・


育成年代がドリブル練習をしていく理由


1)相手を抜くためのドリブル

一つ目は、抜くためのドリブル

抜くためには速さが必要であり、

そのためには、

相手より先にボールに触る早さ

ボールを触りながらの抜き際の速さ

を育成していく必要があります


速さを育成していくのにドリブル練習は不可欠であり

速さ、リラックス、膝が曲がって、ステップ速く、多彩に・・・etc

ドリブル練習の中で、身体の無理な一歩をきかせて触っていくことを練習していく必要があります


2)ゲームメイクのためのドリブル


二つ目は、ゲームメイクのためのドリブル

ゲームメイクと言っても、ゲームを創る意味ではないです・・・

パスコースをドリブルで、自ら創り出していくゲームメイクのドリブル

相手はパスをする味方をマークして邪魔をしてくる

ゲームメイクのできない選手は、そこにパスをすることを諦めて、違うフリーの選手を探してパスをする

相手にとって一番嫌な場所にいる味方へのパスを諦めて・・・

パスが通っても危険ではない選手へとパスをさせられている・・・


ゲームメイクのできる選手は、味方をマークしている相手に向かってドリブルを仕掛けていき、相手がボールに食いついた瞬間にパスをする

相手は危険な場所にいる選手をマークしていても、ドリブルで向かってくる選手を無視することはできない・・・


ドリブルは、ドリブルのためにするのではなく・・・

パスコースを創り出すために、ドリブルをしていく

パスコースを創り出すために、相手に食いつかせるドリブル

食い付かせるためには、ギリギリで見切れるドリブルが必要になってくる

一流のボクサーは相手がガードを固めていても、ガードを外させ、その瞬間にパンチを一発入れられる

世界チャンピオンになるボクサーは、相手のパンチを見切るだけではなく、相手のガードを外させて、そこを狙える選手

ゲームメイクのドリブルは、相手を食いつかせて、パスコースをつくりだすことがひとつ


もう一つのゲームメイクのドリブルは、スペースの形を変えていくこと

縦のドリブルは突破のため

ゲームメイクのドリブルは、横や斜めのドリブルを選んで、相手を引き連れて動かし、スペースの形を自らが創り変えていくこと

例えば、目の前の敵を抜くためではなく、斜めにドリブルをして、背後のカバーのラインにいる相手を動かしていくことにより、背後のスペースの形状を創り変えていく・・・

例えば、バイタルエリアで横へドリブルして味方へ向かっていくと、相手はシュートコースを切るために引き連れられ、サイドの選手は「俺の方に相手を引き連れてきた中央に行こう!」とスクリーンしてヒールでもらう・・

ゲームメイクのドリブルをするためには、相手をギリギリまで見切れるドリブルを育成していく必要があります



少し前に日本代表選手が「日本は個人で攻めているが・・・、相手はグループで崩してくる・・・」とコメントしていました

岩谷篤人氏と対話していると、育成年代から、個人技術は磨いてはいるけど、チームが勝つためのチーム戦術に早くから重きを置いてしまうチームが多い・・・

ゲームメイクのドリブルのように、個人技術から自然とグループで崩していくことを閃いていく部分の指導が不足していること指摘されているように感じます

育成年代の指導者として、伸ばすべきことの焦点を考え、育成していく必要があると考えています

3)守備のためのドリブル

三つ目は、究極の守備のためにドリブル練習をしていく

守備の順番は

1.ボールを守る

2.陣地を守る

3.ゴールを守る

ボールを守る力があるチームに、相手は困ります

ボールを持っている側に、攻撃権があるゲームである以上

ボールを奪いに行っても、奪えない・・・

相手はボールを奪わなければ、攻撃権を得ることができない・・・


ボールを取られないために、逃げたパスを回すのではなく

相手が一番嫌な場所に入っていっても取られない

挟み込まれても取られない

本当に取られないドリブルは、究極の守備へとなります


その先には、相手の守備陣形に歪みが生じている状況で、相手はやっとボールを奪えたけど・・・

意図的に守備組織の歪みを創り出すことにより、攻撃への武器となります


ドリブル練習の育成において譲れない要素


相手のブロックを崩すために、ゲームメイクのドリブルができる選手は重要な選手になっていきます

相手を見切れること

挟み込まれても奪われないこと

パスコースを創り出すこと

それは、相手の守備組織を無力化していきます

そういう選手を育成していくためにも、ドリブル練習をしていく必要があります


そしてもう一つ、岩谷篤人氏が育成年代がドリブル練習で磨いていくことの譲れない要素として大切にしていることは、ボディーバランスのため

コーディネーショントレーニング等で身体能力を上げる意味のボディーバランスではなく・・・

瞬間的に思わぬことが起こせるように磨いていくこと

サッカーというスポーツが、ただ身体能力の高い選手だけが活躍するスポーツであるならば、これほど世界に広がらなかったと思います・・・

サッカーは足でするスポーツであるからこそ、見た人を驚かせることができる

人は向いている方向に向かうようにできているため、その足でボールを扱うサッカーは、思わぬ方向にプレーをすることが非常に難しい・・・

ドリブル練習の中で、手足がバラバラになるように指導していくことにより

瞬間的に思わぬことが起こせるように磨いていく

そこに、身体能力を上回ることが起きていく


何で、そんな方向にいけるの!

何で、そんな方向に出せるの!

その驚きは、

サッカーの魅力であり、そこを追求することを無視して指導することは、サッカーの楽しさを半減させてしまう


ドリブル練習をしていくことにより、ボディーバランスを磨いていく

身体能力を上回ることが起こせるように磨いていく

それは、サッカーの楽しさを表現することに繋がっていきます



岩谷篤人氏との対話。1タッチ目に逃げるプレーを選んでいることについて、改めて聞いていくと・・・


岩谷篤人氏との対話。目的は何かと言えば、フリーを探すことではなくて・・・周りにフリーを用意してもらうことに頼るのではなくて・・・


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岩谷篤人氏についての参考記事

野洲はまるで今年の川崎フロンターレを先取りするようなパフォーマンスを見せていた。両SBを高く上げ、CBの間にアンカーが落ちてビルドアップを開始。選手同士の距離を短く保ち相手を自陣に押し込むと、高い位置から厳しい守備で奪い 再びハイテンポのパス回しを始める。岩谷が求めたのは、足もとの技術だけではない。「世界最速のプレスバック」と号令をかけ続け機敏な守備も加味していた。

「こういう守備を実現するには、こんな繋ぎが必要なんや。それをJFA関係者やJリーグの監督たちに見てもらって、将来の参考にして欲しかった」(岩谷)

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*対話編では、岩谷篤人氏と指導について対話をする中で、岩谷氏の言葉・思考をできる限り忠実に文章化しています。

育成のための指導力を伸ばしたい!

子ども達のプレーを変えたい!

football を変えたい!

そんな志を抱いた指導者の一助になれば幸いです。

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