見出し画像

攻撃的思考か?守備的思考か?(考察編)

岩谷篤人氏の指導の中で、「1タッチ目が気にいらない・・・」高校生の指導・・・中学生の指導・・・小学生の指導・・・年代に関わらず、必ず聞く言葉。その真意を考察していくと・・・


選手の思考は、1タッチ目にでている

1タッチ目が気にいらない・・・

逆をとっていない・・・

ドリブルかパスが、わかりやすい・・・

触る前に何かを入れていない・・・

触る前に発想していない・・・

その辺りに着眼して聞いていましたが、どうもそれだけではないらしい・・・

「気に食わないのは、ボールを安全なところに持ってからしか仕掛けられないこと・・・」

つなぐことを重視していると、失わないことが目的になり、目の前の相手にボールを奪われないように触っていくようになる

もちろんその中で、目の前の相手の逆を突くようにはなるが、その逆の取り方が、

攻撃的思考なのか?

守備的思考なのか?

______________

ミスしないことが目的になると、1タッチ目に奪われない安全なところへ置くための逆の取り方になる。つまり、

攻撃的に行くフリをして、守備的なタッチをする

・前に行くとみせて、戻る方向にボールを置く・・・

・抜くと見せて、バックパス・・・

・背後に出すと見せて、とりあえず安全圏にボールを止める・・・

1タッチ目で安全にプレーした上で、2タッチ目に攻撃的なプレーを選んだり、

相手が来ない時だけ1タッチ目から攻撃的なプレーをするようになる

それは守備的思考でサッカーをしていることを育てている。

______________

攻撃的思考を育てていくために、

1タッチ目から攻撃的に、相手の嫌なところへ行こうと考えている逆の取り方を指導する必要がある

守備的なプレーを選ぶフリをして、攻撃的なタッチをする

・バックパスするフリして、抜きにいく

・横に逃げるフリして、間を割っていく

・止めるフリして、背後に通していく

まさに『攻めないフリして、攻める』ことを指導していく

______________

でもこれが意外に、「攻めるフリして、攻めない」という逆の取り方になっていることが多々ある・・・

逆を取ってボールは奪われていないけど・・・


1タッチ目に、その選手が攻撃的思考か?守備的思考か?があらわれている

指導者の狙いや言葉、チームの雰囲気によって、その子の思考に、攻撃的か守備的かを癖づけてしまう・・・



1タッチ目の指導を変える


高校生に指導しているときに

「1タッチ目が変わらないな・・・安全なところにとりあえず置いてからしか何かできない・・・技術はあるのに、中学生の時までの指導の癖が取れないな・・・逆とってつないでいるだけで、何にも起きない・・・」


中学生に指導しているときにも

「1タッチ目にとりあえず止めたり、安全なところにボールを置くのが気に食わない・・・取られないようにしているのはいいけど、ボランチしかできない選手にしてしまっている・・・」


指導者が毎日子ども達に思考の癖をつけている・・・

攻撃的思考の選手を育てられるように指導する

1タッチ目に逆を取っていることを良しとせずに、


1タッチ目から攻撃的な逆の取り方を指導していくことによって、攻撃的思考を癖づけていく


攻撃的思考か?守備的思考か?

小学生の試合を観ていると、目の前の相手から逃げることを指導者が教えて、それを子ども達が全力でやっている

その低年齢化は加速していて、7〜8歳の子の試合でも、そういうチームが増えている・・・

目の前の相手から逃げることを教えて、それを繰り返す中で、守備のスライドが間に合わない時にゴールを決めにいく

チームが得点を決めているから攻撃的なのではなく・・・むしろ、

選手の思考は、目の前の相手に取られないことだけを考えて、全力で逃げている

それは、攻撃的思考ではなく、守備的思考・・・

それを何年も続ければ、守備的思考でサッカーをする選手が完成する・・・

その繰り返しにより、凄い選手だったはずが、普通のことが普通に上手いだけの選手になっていく・・・

何とも日本人の思考と感情にあった、問題が起きないことを一番大切にするサッカーへと変わっていく

なぜそうするかと考えれば、指導者も選手もそれが一番ストレスを感じないからではないだろうか?

守備的思考で逃げるプレーを選んで勝ち進んでいく・・・


学校も家庭も会社も、守備的な思考が好まれる社会の中に、海外の練習や判断をありがたく指導しても、

攻撃的思考で、それを行う海外と・・・

守備的思考で、それを行う日本では・・・

表面は同じに見えても、全く別の思考を育てていることになっていないだろうか?

普通のことが上手い選手を育てるために指導するのではなく、凄い選手になりたい子どもの願いを導いて指導していくのが、育成年代の指導者の役目なのでは?

子ども達は、凄くなりたい

これからも唯一無二の存在であり続けたいと願っている。

でも、チームは勝たなければならないから仕方ない・・・

本当に仕方ないのか・・・考えさせられる




岩谷篤人氏との対話。少年の時は変わらなかった二人は、中学年代で差がひらき、高校に行ったらレベルが違う選手になっていた・・・狭いところへ切り込める選手か・・・切り込めない選手か・・・その差は選ぶプレーを変えてしまい、埋めることのできない差になっていく・・・切り込める選手は、結局パスは鋭くなる。


岩谷篤人氏との対話。1タッチ目に逃げるプレーを選んでいることについて、改めて聞いていくと・・・


岩谷篤人氏との対話。点数が入りにくいスポーツだから1点の重みも大きいし、攻撃していくのが、ものすごく難しいスポーツ。だからこそ、攻撃が鮮やかなチームが魅力的になっていく・・・

_________________________

岩谷篤人氏についての参考記事

野洲はまるで今年の川崎フロンターレを先取りするようなパフォーマンスを見せていた。両SBを高く上げ、CBの間にアンカーが落ちてビルドアップを開始。選手同士の距離を短く保ち相手を自陣に押し込むと、高い位置から厳しい守備で奪い 再びハイテンポのパス回しを始める。岩谷が求めたのは、足もとの技術だけではない。「世界最速のプレスバック」と号令をかけ続け機敏な守備も加味していた。

「こういう守備を実現するには、こんな繋ぎが必要なんや。それをJFA関係者やJリーグの監督たちに見てもらって、将来の参考にして欲しかった」(岩谷)

_________________________

*考察編では、岩谷篤人氏の指導の奥にある意図を導き考察し、できる限り伝わるように筆者の言葉で記載しています。

育成のための指導力を伸ばしたい!

子ども達のプレーを変えたい!

football を変えたい!

そんな志を抱いた指導者の一助になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?