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【読書日記003】時代を捉える”暇”という切り口。他

こんにちは。
卒業シーズンの3月!今月も本をたくさん読んだので、コメントとともに。
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

#009. フットボリスタ(サッカー戦術ヒストリア)-1月号

フットボリスタ創刊15周年記念号として、発売された一冊。
00年代から20年代までのフットボールを代表的なチーム戦術とともに振り返っている。
現代サッカーの潮流になっている「ポジショナルプレー」と「ストーミング」を軸に、代表の戦い方にも言及されており読み応えがあった。

グアルディオラ以前・以後でサッカーの戦術史いわゆるパラダイムの転換が起こるのは理解しやすく、現代サッカーの見ごたえを見事に言語化していてとても楽しく読破することができた。

#010. 暇と退屈の倫理学 -國分功一郎 ★

かわいい表紙が気になり、ずっと読んでみたかった一冊。
はやくも今年読んだおすすめしたい一冊にランクインしそう。
何度も読み返して考えたくなる本だった。

本書は読者に対し、明確な結論や示唆を与えてくれるものではない。その一方で、読者とともに論述を読み進めていく過程でなにかきっかけたるものをつかませようとしてくれるような類の本だ。

筆者はまず”暇”と”退屈”の違いについて示そうとする。その上で、暇が生まれた起源をたどる。第一に暇とは近代社会がつくりだしたもので、資本主義社会の上に成立したと示し、近代社会をつくりだした「定住生活」こそその起源だと迫っていく。
また、筆者は労働環境についても考察し、監督者が労働者に余暇(休暇)を与える合理性について語ったのち、休みに何をすればよいのかわからない人たちにレジャー産業や広告屋が一役買っている点を指摘する。
改めてまとめたくなる一冊だったので、機会があれば別のブログにまとめてみようと思う。

#011.自分の意見で生きていこう -ちきりん

若手社会人・大学生・(高校生)はきっとこの本は必読かな。
概要は「正解のない問題」を序文で明確に提示した上で、なぜ世の中が意見ではなく、反応がありふれてしまっているのかを的確に指摘する。
その上で、意見と反応を明確にし、どうすれば建設的な議論になるのかをちきりんさんなりに答えているのだ。

会社のミーティングでも「意見」を明確にしない人は多い。
いわゆる反応を示すのみで、議論の土俵に上がってこようとしないのだ。
最近はこれはこれでも良いのかなと思いつつ、意見を言わない≒責任を負うことができない。だと思うので、リーダーには向いていないのだろう。

本書でも最後にリーダーについて触れられているが、僕も同意見で、リーダーとは”意見”を持つところからはじまるはずである。
多くの人が読むべき良本だった。

#012.Wedge「デジタル時代に人を生かす日本型人事の再構築」

基本線は、「終身雇用」・「年功序列」からの脱却、「ジョブ型」による仕組みの再構築という整理で議論が進む。
概ね一般的に言われている内容だが、いわゆる米国モデルにおける「ジョブ型」を目指しているわけではないという点においてきちんと整理されていた。

具体的には、「ジョブ型」に形態が変わっていくのはある種必然である。成果を上げる人材を会社で獲得しワークさせるには従来型のモデルでは機能しない(経験だけがものを言う世界ではなく、ゲームチェンジが起こってしまったからである)。
つまり、人事が考えるべきは、いかに日本的要素(簡単にクビにせず、会社としてのメンバーシップ)を担保しつつ、働きやすい環境を整え続けられるかを議論しているところなのだろう。

1社員としては、あたりまえではあるが、自身の業務領域を規定しきらず、必要なアップデートはし続け、社会全体に価値を与え続けられる人材になり続ける必要があると思った。

#013.フェルメール 最後の真実 -秦新二・成田睦子

フェルメール展に行った際に購入した一冊。
フェルメールが書かれた時代背景や人物そのものにもフォーカスしつつも、Topicとしては日本でフェルメール展を開催する上での苦悩などが記されていた。

どのような系譜をたどって日本で展示会が開かれるのか。
「楽園のカンバァス」を読んでいたので、大枠こそ理解していたが、改めて実際に交渉している人物の文章には重みがあった。
これからの美術館巡りがとても楽しみになる本だった。

#014.フェルメールとそのライバルたち -小林賴子

フェルメールにはまり、先月から読んでいた本書。
オランダ絵画の世界をフェルメールとともに築いたライバルたちとともに描かれる。
彼の生い立ちや時代背景を通し、彼が描いた絵の特徴が見えてくる。

先日メトロポリタン美術展「西洋絵画500年の歴史」という美術展を鑑賞しにいったのだが、そのときにあったフェルメールの絵の中で、注意を惹かれた作品が『信仰の寓意』だった。
絵の内容を読み解くという発想はこれまでになかったが、それを教えてくれているかのような作品であった。

特に面白いのは第7章以降。この時代の絵画市場を生き抜くにあたり、筆者が独自に代表的な絵らを解説していく。
この時代のモチーフや構図がわかりやすく記されており、美術初心者の僕も楽しく読むことができた。

さて、今月はここまで。
4月は「戦略」をテーマに、戦争や地政学といった切り口でも本を読んでいきたいと思う。
私ぽすたは社会人4年目に突入です!
それでは~!

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