◇盗みの露呈② ~ 屈辱的な条件 ~
「その代わり条件があるの」
お菓子を盗んでいるところをあやかに目撃されたが、その原因であるたいしくんから救ってくれると言ってきた。
「私のお願い聞いてくれる?このままたいしくんにいじめられたままでいいなら、別にいいんだけど」
「う~ん。お願いって何?」
「お腹や背中にアザもあるんでしょ?痛いよね~。クラスのいじめっ子からの攻撃と可愛い女の子からのお願いどっちがいいの?」
たいしくんの攻撃は辛い。体の大きなたいしくんにはかなわない。あやかのお願いが何なのかは気になるが、今の状況から逃れたい気持ちが強い。
「お願いって…」
「うるさいわね!!どっちがいいの?」
あやかの勢いと盗みの罪に対する罪悪感から返事をした。
「はい。あやかのお願い聞きます」
「そう」
あやかはニヤリと笑った。
「そうだよね。動画も撮られてるし、私の言うこと聞くしかないよね」
「うん。たいしくんは怖いし、叩かれるのも痛くて辛いし、あやかのお願い聞くよ」
少しの間沈黙があり、あやかはもう一度ニヤリと笑い、落ち着いた低い声で話した。
「ねぇ。さっきから誰に口聞いてるの?」
「え?何を急に?」
ゆっくりと足を組んで
「あやか様と話してるんだよね~。何で呼び捨て、ため口でしゃべってんの?あと目線が高いんだけど」
僕がおどおどしているとあやかは立ち上がり髪の毛をつかむと、ひざの裏側を蹴って地面に倒した。
「は~い。1つ目のおねが~い。私を呼ぶときはあやか様、話す時は敬語で話してくださ~い」
そう言いながら、僕の頭を踏みつけて地面につくまで力を入れた。
語尾を伸ばしたバカにしたような話し方だが、威圧感のある声だった。
あやかは無言のまま頭を踏みにじり続けた。地面に生えている雑草の匂いが鼻をつき、砂のジャリジャリとした感覚を頬に感じた。
「たいしくんと私、どっちの方が辛いだろうね~。たいしくんは力の攻撃だけど、私は精神的な攻撃だよ~」
「私は頭がいいから、お前が私のお願い聞くって言ったこともちゃんと録音してるからね~」
「でもちゃんと約束は守るよ。たいしくんのお菓子は私が準備するし、他に攻撃された時は都度私に言ってね。すぐに解決してあげるから。」
「さっきから私ばっかりしゃべってない?あれぇ~?話せないのかな~」
色々な方向に頭を動かされたことで、口の中に大量に砂が入った。さらに、話す度に踏みにじる足の力が強くなり、両頬が熱くなってくるのを感じた。
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