◇生徒会長の支配⑤ ~ 第二回生徒会開始 ~
屋上での会話が終わってから、あっという間に3日が過ぎた。
その後のあすか様は教室では普段といたって変わらない優等生であった。
生徒会当日の3時間目と4時間目の間、小休憩のときにあすか様が僕の席にやってきた。
あすか「だいきくん、今日は生徒会の日ね」
だいき「そうだね。今日は役割分担についての話だよね」
あすか「そう。今日は私が考えてきたから、だいきくんはそんなに難しく考えなくてもいいよ」
だいき「分かったよ。今日はよろしく」
あすか「それと、だいきくんにはちょっと犠牲になってもらうから」
だいき「えっ?どういうこと?」
あすか「生徒会のときは流れに任せて動いてくれればいいから。言っておくけど、私の言うこと聞くっていうのはだいきくんも同じだからね」
だいき「それは…どういう…」
あすか「もう授業始まるから、それじゃ」
僕はあすか様との屋上での会話が気がかりだった。
『だいきくんもあまり私に逆らわない方がいいよ』
彼女に逆らうと簡単に弱みを握られてしまうということなのだろうか。
妹が1年生の票を全てあすか様に投票させるだけの影響力を持っているのであれば、そんなことは簡単なのかもしれない。
第一、監視されるような窮屈な学校生活は送りたくない。
流れに任せて、彼女の言う通りにした方が無難だな。
僕はそう結論付けた。
そして放課後になり、第二回の生徒会が始まった。
今日はあすか様が考えているということで、僕は特に何も準備をしていなかった。
先 生「今日はそれぞれの役割を決めて、その後は今後の活動について自分たちで話し合ってもらう」
あすか「もう、役割分担はある程度決まっています」
先 生「おう、そうか。さすがだな」
あすか「まず、私が生徒会長として総まとめを担当します。だいきさんが副会長として私のサポートと企画運営の補佐を担当します。次に…」
ここまでは屋上で話した内容と同じで安心する。さすがに先生の前では優等生を演じるのであろう。
あすか「次にたくみさんは主にイベント時の司会や放送など、表舞台に立つ業務をやってもらおうかと思います。彼はスピーチも得意ですし、何より本人がやりたいという理由もあります」
あすか様の配役は今のところ何の問題もない。
あすか「まゆみさんには主に生徒会などの議事録やイベント時の記録、タイムキーパーなど、書記としての業務をやってもらいます。そして、2年生のこうたさんは表舞台のたくみさんのサポート、すみれさんは企画を行うだいきさんを中心とした全体のサポートをお願いするつもりです」
先 生「そこまで決まっているなら生徒会を開くまでもなかったかもしれないな。今期の生徒会はやるな~」
あすか「みんなの役割については私で特性を考えてある程度決めておいたけど、何か問題がある人はいますか?いたら、このタイミングで教えてください」
みんな「…」
あすか「先生、特に問題なさそうなので、おおまかな役割は今説明した通りで進めたいと思います。」
先 生「分かった。それじゃあそれでいこう。先生としても問題ない。あすかさんが生徒会長で助かるよ」
あすか「ありがとうございます。それではこの後の時間で今後の活動について話し合いますので」
先 生「それじゃあよろしく」]
先生を交えた生徒会は5分と経たないうちに終わってしまった。
あすか様の準備があってこそできることだった。
先生が退出してから、しばらくの間沈黙が続いた。
みんな前回の生徒会のこともあり、あすか様が何を考えているか分からないため、発言ができないのだろう。
また、僕やすみれのように、別で呼び出されている人が他にもいるかもしれない。
そして、、、
「ふふふ、これからが本番ね」
あすか様がようやく口を開いた。
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