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◇生徒会長の支配⑩ ~ 修学旅行の計画 ~

今日は給食時の会話以外、あすか様と話す機会はなかった。少し恥ずかしい思いもしたが、それより修学旅行の計画に気持ちが向いていた。

自分たちで作り上げる修学旅行なんて、他の学校でやっているのだろうか?僕らの中学が初めてだったら取材が来たりするのかな。勝手に壮大な妄想を頭の中で繰り広げる。

自宅に帰ると早速修学旅行について調べてみた。中学校の修学旅行ランキングでは京都・奈良がトップ1,2らしい。普段都会で生活しているから、みんなも歴史を感じられる街並みや施設を見るのを楽しんでくれるよな。

僕は一般的な修学旅行の工程を参考にして、2泊3日の旅のしおりのたたき台を作成していった。自分が作っているという誇らしさとみんなに楽しんでもらいたいという気持ちから、あっという間にたたき台を作り終えた。

実は僕の中に、もう一つの感情があった。あすか様に納得してもらいたいという気持ちだ。彼女は自分の補佐役として副会長に僕を選んでくれた。他に適任がいなかったからかもしれないが、選んでくれたことがうれしい。

頭の良い彼女が見て良いと感じるプランであれば、修学旅行もうまくいくだろうし、盛り上がること間違いなしだ。何より褒めてもらえたらとてもうれしい。

せっかく早く完成させたので、より良く見えるように工夫をしておこう。こういった資料は読み手のことを考えて作成するのが良いと聞いたことがある。手書きで書いたメモをPCに入力して、それっぽい資料に直した。

よし、これであすか様に見てもらおう。明日が楽しみだ。今朝までは学校に行くのが憂鬱だったが、今夜は心地よく眠れそうだ。僕はスッキリした気持ちで眠りについた。

翌日、早くあすか様に修学旅行の資料を見せたいと思い、いつもより早い時間に登校した。すると彼女は既に登校しており、いつも通り参考書を開いていた。彼女はいつも何時に登校しているのだろうか?

だいき「あすかさん、おはよう」

あすか「おはよう。今日は早いんだね」

だいき「うん。昨日言っていた修学旅行の資料を作ってみたから、あすかさんに見てもらいたくて」

彼女は薄っすらと笑い、僕が差し出した資料を受け取った。そして、パラパラと資料をめくりながら

あすか「もうできたんだ。今日の放課後はだいきくん時間ある?」

だいき「え?時間あるよ!」

あすか「それじゃあ、生徒会室で打ち合わせしよう。放課後になったら集合ね」

だいき「分かった。よろしくお願いします」

僕は喜んで返事をした。彼女は特に何の感情の動きも見せず、しばらく資料を見たのちに、再び参考書に目を落とした。


そして、待ちに待った放課後。生徒会室に行くと既にあすか様は教室にいた。僕は彼女に声をかけた。

だいき「あすかさん、早いね」

すると、

あすか「ちょっと、この資料どういうこと!?」

僕は彼女の声に驚いた。何やら怒っているようだ。しかし、僕はなぜ彼女が怒っているのか見当もつかない。急いで作ったから誤字脱字が多かったのかな?のんきにそんなことを考えていた。

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