◇生徒会長の支配⑬ ~ あすか様の勘 ~
今朝の目覚めはあまり良くなかった。結局繰り返ししごき続けて絶頂に達してもなかなか眠りにつけず、3回ほど抜いてしてしまった。なんだかものすごく疲れている。
ごちゃごちゃ考えていても仕方ないと理解をしていても、そう簡単に割り切れないものだと中学生ながらに思った。こんな経験をしている子も世の中にたくさんいるのだろう。
今朝ははりきって登校する気になれず、通常通りの時間に家を出た。教室に到着すると相変わらずあすか様が参考書を開いていた。その彼女に思い切って声をかける。
だいき「あすかさん、おはようございます」
あすか「おはよう。どうしたの?」
3組の教室ということもあって、さすがに昨日のような態度を取られることはなかった。
だいき「修学旅行の計画のことなんですけど、いつまでに考えないといけないといった期限はあったりしますか?」
あすか「そう。それだよだいきくん。ちゃんと計画するための条件が分からないと立てようがないでしょ?」
確かにその通りだ。最初の計画は本当に自分の妄想だけで作り上げたものだということが今の一言で良く理解ができた。
あすか「みんながいる前だからちょっと屋上に行きましょ」
さすが、あすか様は良く周りが見えている。僕はそんなことも考えずに普通の声で話してしまい、またレベルの違いを痛感する。
席を立つ彼女と僕が移動する様子を見つめる他の生徒の視線が少し気になったが、教室から移動し、朝の陽ざしが差す屋上で彼女は再び話を始めた。
あすか「先生から聞いた話によると、だいたいの旅行プランは元々決まっているの」
だいき「えっ、そうなの?」
僕はびっくりして返事した。
あすか「け・い・ご」
だいき「あっ、申し訳ありません」
あすか「そう。で、大枠は崩さずに細かいプランの見直しをする必要が出てきてね」
そうならそうと初めから言って欲しかった。僕は不満な気持ちを抱いた。初めから僕が考えたプランはゴミ同然だったのだ。
あすか「諸事情があって、プランをいくつか増やす必要が出てきたみたいでね。その内容について先生に相談をされたんだよね。私はそれなら私たちでも考えてみるって答えているの」
だいき「そうなんですね。行先はどこなんですか?」
あすか「場所は北海道よ。だいきくんいきなり何も聞かずにはりきって作ってきたから、私面白くてからかっちゃった。最高に笑えたわよ」
だいき「そんな、ひどいですよ」
あすか「自分が悪いんでしょ。そもそもこんな出発2ヶ月前にノープランなはずがないことくらい誰でも分かるでしょ、普通。」
だいき「確かにそうですね。勝手に盛り上がってしまいました」
あすか「これ以上は時間ないから、また放課後にしよう」
だいき「はい。分かりました」
あすか「なんか顔疲れているわよ。昨日の夜は何をしていたのかな~」
急に話題を変えられて僕はぎょっとした。まさか自分が夜やっていたことまで知っているなんてことはあるはずがない。顔に出ないように冷静を装って答えた。
だいき「別に普段通りだよ」
あすか「へぇ~、そうなんだ。まあいいや。それじゃあ放課後よろしく」
僕の感情は読まれてしまっただろうか。そんなことを気にしながら、彼女の後を追うようにして教室に向かった。