フードスコーレ「2021年度前期Basicカリキュラム」みんなの発表
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フードスコーレ「2021年度前期Basicカリキュラム」みんなの発表

食の学び舎フードスコーレでは「2021年度前期Basicカリキュラム」として、2021年4月から9月末まで全12回のオンライン講義が開かれました。

「2021年度前期Basicカリキュラム」についてはこちら

ここでは、フードスコーレに参加してくださった方が講義最終日に発表したものを紹介します。基本的には発表時の言葉をそのままに、ポイントとなる部分の抜粋と、文章の補足をしています。実際に使われたスライドも一部掲載します。

カリキュラムに参加するみなさんが、同じ課題について考えて発表しました。発表された人の名前は、クラスの中で呼ばれていた名前のままに掲載します。

フードスコーレでどんな学び合いが行われているのか、みなさんに知っていただきたいと思います。

21年度前期カリキュラム最終日スクショ

課題1_「前期Basicカリキュラム」で感じたことをまとめてください。

課題1は、「前期Basicカリキュラム」を受講して感じたことを、書き方は自由にまとめてもらいました。カリキュラムでは「食卓を中心とした循環」を大きなテーマに、10人のゲスト講師による講義が開かれました。どのゲストの講義が印象的だったのかは、人によってさまざまであったようです。取り上げる内容はひとつでも複数でもOKとしました。

わかっているようで知らないこと、知りたかったことが講義の中にたくさんありました。
・これ!これが疑問!というはっきりした問いとは違うモヤモヤが、講義の後もたくさん残っています。言葉にうまくできないことをちゃんと抱えて、便利も不便も、手間も時短も、私が心地よく生活する事を取捨選択していきたいです。
・インターネット上で同じ学びを得た仲間と、畑で過ごしたり、学んだことを活かす場を作れたことは、実際に会うことの嬉しさや有難さをとても感じた時間でした。
(あさばさん)
「食」の奥行きの深さを知り、わくわくしました。
・「食」には多様な側面があり奥深くかつ相互に複雑に関係し、一人ひとりの価値観によって異なる捉え方がされていることを知りました。
・各講義では、一歩先の未来とその根底にある考えに触れました。どの講師の方も現場で課題意識を持ち実践されている。その考えには納得感がありました。
(西川さん)
食について学ぶことは特別なことではない。
・印象に残っているのは、DAY11「衣食住、自分のスタイルをもつ。」の、地域のおっちゃんの話です。「まちづくりは特別なことではない。自分の生活を自分でつくることは昔から当たり前のようにやってきたことだ」。食の学びもそうかもしれません。まずは日常を自分で考えてつくっていくことから。
・食に責任をもったり考えることが「食を学ぶこと」であると思いました。そこには教育的価値も感じました。石徹白洋品店平野彰秀さんによる最後の講義があって、前期カリキュラム全体が回収されました。
(クセくん)
食はその人を映し出す!
・生産、流通、文化、環境、料理、消費など「食」には様々な事象が絡んでいます。それらが均等にあるイメージをこれまでもっていました。私だと、環境や消費のことを特に考え続けてきました。そのことだけが「食」を考えることだと思ってきたけどそうではありませんでした。これまで流通について、ウンコについて全く考えてきませんでした。どうやって食べるかや、料理することを重要に思っていたけれど、それだけじゃないんだと気づきました。
・人によって食を捉える視点はちがうのでは。何を食べてきたか、どんな人生を歩んできたかで、食を捉えるその視点は変わる。食は思っていた以上に個人の価値観に基づく。
(玉木さん)下図は玉木さんによるスライドです。

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同じフードスコーレ生である若い方々が、自分をみつめ、生きることを真剣に考えている姿は立派だと講義のたびに思いました。
・Day1「まずは循環のはなし。世界のこと。」の講師 Satoko EkbergさんとPeo Ekbergさんの話は衝撃でした。とくに「循環」を捉えるときには「時間軸」の視点が大切で、そこには1年10年単位のものと、千年単位のものがあるんだという話が印象的でした。
・「maxバーガー」の植物肉が10年前に比べて急速に美味しくなっていることも衝撃的でした。
・スウェーデンの環境政策についての話を通して、スウェーデンのイメージがアップしました。
(田中さん)
「あ、食について知らないことだらけ!」という気持ちに。
高度経済成長を経た日本の食を背景に考えると、今サステナブルを考える意味。人口が増えればゴミもウンコもそりゃ増える。やっぱりおいしいと思うことは楽しい。そういう問いや考え方にはこれまでたくさん触れては来ましたが、ちゃんと向き合って来なかったので、「知らないことだらけだ」となっている現状の自分に気づきました。
(長嶋さん)
食の循環の話から始まった今回のカリキュラム。講義の度に食への意識を強めていくことに。
・通信技術の発展で消費者と生産者の距離は縮まったのは良いこと。その反面、地元の食材との距離は遠くなったように思う。
・DAY6「食材の始末を考えて料理をするということ。」の講師である長田勇久さんによる、無駄なく使える大根料理の実例は、食材ひとつひとつに調理方法のレパートリーが多くあることを知ることができた。
(下村くん)
現場にいる方々の貴重なお話を聴けたことはありがたかった。
・私はサステナビリティに関する仕事をしているものの、牛豚鶏の屠殺、野菜の流通、小水力発電など、まだ訪問できていない現場がたくさんあると改めて感じました。
・今回学んだことをきっかけに「わかった気」にならずに、自分が気になる現場を体験して理解までいけたらゴールかなと思っています。すべては難しくとも、現場の空気感、温度感、匂いなど五感は鈍らせないようにしたいです。
(金子さん)


課題2_変化した「考え方」や「行動」について。

課題2では、フードスコーレでの学び合いを通して変化した自分の「考え方」や「行動」について、自由に書いてもらいました。

生産者の方に思いを馳せ、自分にできることはなにかを考え続けること。
・DAY1「まずは循環のはなし。世界のこと。」で、肉産業が車産業よりもCO2を多く排出すると聞いて驚きました。DAY5「見える畜産。」では畜産業の裏側に触れ、牛が劣悪な環境下で飼われてることに心が苦しくなりました。けれども結論として肉や牛乳を食べたり飲んだりし続けようと思います。好きなものを食べることをやめたくないからです。口にする頻度については少し減らしていくことを考えています。
・DAY7とDAY8「なぜ料理をするんだろう?を考えてみる。」でクックパッド横尾祐介さんによる講義のあと、料理をする概念が変わりました。「健康のためにしなきゃ」と思っていた料理が、フードスコーレ生のみなさんのつくる「頭で考えすぎない」おむすびを見て、料理はもっと楽しいものになると学びました。
(坂本さん)
これからは「無理しない自分であること」を恐れないようにしたい。
・「道の駅」がさらに好きになりました。今旬のものを食べたい!
・バンドマンの友人に、野菜の流通の仕組みを話すように。
・牛乳は大好きだけど、毎日の牛乳をやめました。
・着るものは気軽に買わないうように。
・地域の下水道の状況を考え、捨て方で自治体を捉えたいと思うように。
(きなこさん)
食材の購入判断は「価格、おいしさ、健康」が主だったが、「食材の由来」が加わった。
・肉食を控えるようになりました。牛肉や豚肉を避けて鶏肉や魚をチョイス。とはいえ食べたい時は食べるのでゆるめ。
・牛乳をほぼ買わなくなりました。でもDAY5「見える畜産。」の講師である中洞正さんが牧場主を務める「なかほら牧場」の牛乳はおいしかったです。卵も平飼いのものを選び、売り切れていたら卵を買うのを控えるようになりました。
・DAY9 「食べものとウンコのはなし。」、DAY10「それはごみ?資源?」の講義を受けて、この先ごみを減らしていけないだろうかと考えるように。野菜は皮もおいしく食べるようになったり、フードスコーレ農園の収穫物で可能な限り賄うようになりました。
(野中さん)
循環を意識した生活を少しずつ取り入れるようになりました。
・今住むマンションでも気軽にできるコンポストセットを購入し、生ゴミを堆肥化し、プライベートで農作業している畑に返しています。
・地域の有機農家さんから野菜を頼んでみたり(CSA)。じぶんが畑で育てた野菜と合わせて料理をしています。
(伊藤さん)下図は伊藤さんによるスライドです。

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利益不利益だけの視点ではなく、身近な環境に負荷を与えていないかでも再考するようになった。
・SDGs、持続可能な開発目標と言われ地球規模で考えていたが、明確な道筋が見え難く、もっと身近な「家族」や「地域」単位で考えていけばゴールが見えるような気がしました。
・ごみ(特に生ごみ)として処理していたものを他に転用、活躍の場を提供できないかを考えるようになりました。
(溝上さん)
サステナブルでないものを気づかずに買うことは避けたいなと思い、色々と調べるように。
​​・スーパーで買い物をするとき、今日自分が買わないとだめになってしまいそうな食品があれば買って食べるように(講義+農園部の影響です)。
・ちょっと忙しい日は、納豆だけでいいやと済ませてしまうこともあったけれど、食は栄養補給以上に、日々を楽しく生きるためのヒントだなと思ったので、あえて食事の時間は意識してつくるようになりました。
(今井さん)
使えるものは繰り返し使ったり地域団体に寄付したり、食以外のモノへの向き合い方にも視野が広がりました。
・生産者から食材を直接買うことが多くなりました。DAY3「市場、ポケマルとスーパーのちがい。」の講義に触れることで、ポケマルを使って母といいものがあったら共有して購入したり、生産者を想う行動をするようになりました。
・DAY2「発酵でつなぐ都市と地域。」の講義を通して、オーガニック商品やフェアトレード商品を購入するようになりました。体に良いものを…という考えも購入理由に含んでいますが、先進国のために世界でひどい労働環境があること知り、積極的に購入しようと思いました。
(狩野さん)
素材の味を活かす食べ方を考えるように。
・素材をもっとおいしくするために、料理では「ひと手間」を加えたいと思うようになりました。野菜の直売所では生産者さんにおすすめの食べ方を聞く。(おなじフードスコーレ生の)あさばさんから「そうめんにはみかん添えると美味しいよ!」と聞いたので試してみたり。私も他の人に自分のおすすめの食べ方を教えるようになりました。
・一方でひと手間加えていた素材をそのまま味わうようにもなりました。食パンの小麦の香りや味わいをたのしむこともできるようになりました。
(ふみかちゃん)
いままではしたことがなかったことを一歩踏み出すことで、世の中に共感することが増えた。
・暮らしの中でひっかかったこと、気になったことを考えたり、調べたり、人に聞いてみることになりました。この香りのする洗剤はいやだな。じゃあ自分の気に入る香りの洗剤はなんだろう?と考えて、実際にお店まで洗剤を嗅ぎに行ったり。大豆インクで直接野菜に値段が書かれていることが気になって、生産者に話を聞いてみたり。いままでよりは少し深追いをするようになりました。
・食や環境に関する気になったことに対して、実際に行動してみると、そうした分野で頑張っている周りの人をこれまで以上に応援したくなりました。
(萩原さん)下図は萩原さんによるスライドです。

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課題3_フードスコーレで学んだことによって、新たに学び続けたいことや気になり始めていることを教えてください。

フードスコーレの講義を終えて、食に関することで新しく興味を持ったことを教えてもらいました。

もっとアンテナをはって、違和感に気づけるようになりたい。
・DAY6「食材の始末を考えて料理をするということ。」で長田勇久さんのお話を聞いて、野菜にもっと詳しくなるために、育て方、食べ方、保存方法について考えていきたいと思うようになりました。
・さまざまな違和感に気づいて活動している人たちの話を講義で聞いて、自分もそうなりたいと思いました。食ではないですが、洗濯や掃除で使っていた商品が何でできているかわかっていないことに気づきました。
・来年からパン業界で働きます。フードロスふくめ取り組む余地がたくさんあります。パン屋として食の循環、地域の循環に関われるようになりたいです。
(伊藤さん)
社会システムの話として個人や企業の欲望をどう抑えるのか。
・DAY1の講義に触発され、植物肉の安全性及び摂取量増加による健康上の問題について勉強している最中です。
・資本主義と利他主義。SDGs。
・社会的コスト顕在化のためのルールづくり。DAY2の「ファーメンステーション」酒井里奈さんの講義を通して、学ぶ必要があると深く感じました。
(田中さん)
いま興味あるのは、流通/消費の形式を再デザインして最適化すること。
・地産地消といったローカル消費の推進
・通勤や出張のついでに運ぶ個人物流
・自家用車や業務車両の移動ついでに荷物も運ぶUbarの物流版
・「畑に聞く」ように「スーパーに聞く」=常に揃うことを重視せず手に入るものを消費する
・ウンコのコンポスト化
・「弱肉強食」ではなく「全肉全食」の考えが、食の循環社会を最適化するエンジンになるのではないか
(野中さん)
​​自分の「幸せ」は、自然の近くで能動的に暮らすことかもしれない。
・「生産」を身近に感じる環境にいたい。
・自分で作ることで物流を感じたい(そこに人がいる)。
・オンライン上にない地域コミュニティに参加してみたい。
・自分で感じたことや学びを、自分なりに発信したい。
(きなこさん)
流通の在り方と消費者の声との折り合いのつけどころ。
DAY4「野菜は誰かが運んでいる。」に出てきた「やさいバス」の話と、DAY11の平野さんによる地域コミュニティの話が印象に残り、自分の中ではコニュニティというものにこだわってきた中で、田舎ならではの流通のあり方を模索できないかということを考えました。もし故郷で私が事業を興すのであれば、過疎・高齢化地域のコミュニケーションと供給の分断化を図ることもできるのではないかと妄想しています。
(こじまさん)
教育現場で、子どもたちの活動にどのようにつなげるかを模索し実践していきたい。
・SDGsの考え方はあくまで企業や経済活動においてではないか。様々な問題をそのまま子どもたちにSDGsとして投げかけることに疑問を感じるようになりました。その項目は大切なものばかりですが、問題ははっきりと分類できるわけではないし、SDGsという言葉ばかりが教育現場でも先行して、ゴールを達成することが目標になりかねないなと感じています。
・「自然(じねん)」と「脱工業化」がこの食の世界でも、そして教育の世界でもキーワードになると思いました。スウェーデンやイタリアの教育といった先行事例のリサーチは、日本でも参考になるものがまだまだたくさんあるのかもしれません。
(阿部さん)下図は阿部さんによるスライドです。

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フードスコーレ生のみなさんによる発表のご紹介は以上です。

前期Basicカリキュラムを終えて(校長の所感)

全12回の講義で構成されるカリキュラムのテーマが、「食卓を中心とした循環」に決定して、「さて、誰に講師をお願いして、何を話してもらおうか」というのは最も大事な課題でした。12回の講義は長丁場になりますし脈絡がないのはよくないので、講義の順番についてもかなり考えました。

すべての講義を終え、みなさんの発表を見させていただいて、結果的にはこの内容でカリキュラムを組んでよかったなと思えています。講義を通して受け取ったこと、芽生えた感情、暮らしに影響したことは人それぞれであったようで、だれひとり同じ感想の方はいませんでした。それでいいんだと思います。

社会や未来に対しなんとなく閉塞感を感じ正解もない中で、自分なりに落とし所を見つけて、それを萎縮することなく誰かに発表できるのは、この時代の「食の学び舎」としては大事な雰囲気なんだと思います。そこで学ぶ先には、閉じていた殻を突き破る気持ち良さが待っているはずです。そんな場をこれからどんどん広げていきたいと思います。

2021年10月27日現在、「後期Basicカリキュラム」がスタートしています。そのほかにもさまざまなカリキュラム、イベント、課外活動などを企画していきますので、ご興味ある方は気軽に参加、お問い合わせください。お待ちしています。
(フードスコーレ校長/平井巧)

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