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Instagramで「保存数」を伸ばす料理写真とは&ランキング発表/フーディーテーブル

はじめまして。フーディストサービスが運営する料理インスタグラマーコミュニティ「フーディーテーブル」のプロデューサー、大田です。

「フーディーテーブル(旧クッキングラム)」は2015年7月にInstagramでお料理フォトや動画の投稿を楽しむコミュニティとしてスタートしました。私自身は2016年4月にアイランド株式会社に入社し、タイアップ企画のページ制作ディレクション、商品企画担当との兼務を経て現在はフーディーテーブルのプロデューサー専任となりました。前職から一貫して食に関するコミュニティやインフルエンサーの動向をウォッチしてきています。

今回は、フーディーテーブル編集部として行っている様々な企画や発信の中から、公式Instagramアカウントの運用についてお話するとともに、2020年下半期の「保存数ランキング」を発表したいと思います。

「リポスト」の際に気をつけているポイント

Instagramアカウントの運営は複雑な要素が絡み合っていて、その全てについて詳しくお話することは難しいのですが、今回はまず、アカウントで発信するコンテンツについてお話しようと思います。

フーディーテーブルの公式Instagramアカウントでは、ハッシュタグ「#フーディーテーブル」をつけて投稿してくださった一般の方のテーブルフォトを「リポスト」という形でご紹介していますが、その際に気をつけているポイントがいくつかあります。

1)「すごい!」から「やってみたい!」へ


フーディーテーブル編集部には「日々の食卓を素敵にしようとしている方々を全力で全肯定する」という内輪の運営方針があり、公式Instagramアカウントについても、皆さんのお役に立つ情報を発信したり、応援したり、モチベーションアップにつながる場にしていきたいと考えています。その結果としてアカウントでご紹介させていただく内容もどんどん変化してきています。

少し背景を説明します。

Instagramは2010年10月にApp Storeに初登場し、日本では2014年2月の日本語アカウント開設を機にユーザー数を伸ばし始めました。

当初、その充実したフィルター機能やポラロイド風の写真表示、ミニマムでスタイリッシュなUIが注目され、視覚的に印象を残す発信が得意なユーザーによるアーティスティックで非日常的な写真が人気を集める傾向にありました。料理写真についても、あごが外れてしまいそうな分厚いサンドイッチや迫力満点のデカ盛り、たくさんのおかずをちょこちょこと盛り付けたおしゃれなワンプレート等が人気を集め、アート感のある「真俯瞰」での撮影が全盛でした。

しかし2016~2017年頃にいわゆる「インスタブーム」が訪れると、連日メディアでInstagramについてのトピックが紹介され、それまで「おしゃれな人が使うアプリ」だったInstagramは、より幅広いユーザー層にまで裾野を広げていきます。フーディーテーブルのユーザーアンケートでも2016~2017年にInstagramを始めたという人が最も多く、その割合は約4割を占めます。

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2017年10月には国内MAUが2000万人を突破、同年12月の「ユーキャン新語・流行語大賞」で「インスタ映え」が年間大賞に選定されました。

この時期により多くの人に知られ、利用されるようになった結果、求められる情報の性質も「すごい」「憧れる」といったところから、より実用性に近いところにある「おいしそう」「やってみたい」に変化していったと考えています。よって、ここ2-3年は、フォロワーさんが「保存」をして後で見返したくなるような情報を発信しているユーザーさんのフォロワー数が伸びる傾向にあります。

料理でいうと、タイムライン上で1枚目の写真と1-2行のテキストしか表示されないInstagramは、以前はレシピ(材料、分量、作り方の説明)の投稿に不向きであるという認識がありましたが、1投稿あたり10枚の写真や動画を添付できる機能を活用し、投稿を横にスワイプしていくと紙芝居のように料理工程を見られるようにしたり、1枚目の写真に料理名を文字入れすることで「保存」をした人があとから見返したときに内容が見つけやすいように工夫をしている人が多く見られ、人気を集めています。

フーディーテーブル編集部としても、2018年頃まではフォロワーさんの反応から判断して「(自分にはできないけど)すごい」「おもしろい」「憧れる」といったテイストのものを積極的にご紹介していましたが、ここ1-2年は、「できそう/やってみたい」と感じる=「保存」をしたくなる投稿の方がフォロワーさんたちにとってより有益であると考えて、積極的にピックアップするようになりました。

レシピに限らず「マネをしてみたい」と思う盛り付け方や、食材の組み合わせがわかる投稿なども非常に人気がありますが、大前提として、清潔感があることや色彩が美しいことなど、視覚での印象が残りやすいInstagramの場にふさわしいセレクトを心がけています。これはいわゆる「インスタ映え」とは別の感覚だと思っています。

2)投稿者さんの元のキャプションや言葉遣いを尊重する

一般の方の投稿をリポストをコンテンツとしているInstagramアカウントは多数ありますが、その多くは写真だけ、もしくは写真とレシピ等の情報だけです。

しかしフーディーテーブルは、Instagramへの投稿は元の投稿者さんの日々の記録であるという点を尊重し、ちょっとしたつぶやきやご家族の様子などが書かれたキャプションの部分までまるごとご紹介するようにしています。また、編集部からのコメントを追記する際のお料理や材料の名前についても、元の投稿者さんが「手まり寿司」と書いていれば「手毬寿司」や「手鞠寿司」ではなく「手まり寿司」、「茄子」と書いていれば「なす」や「ナス」とは書かずに「茄子」と書くようにしています。これはフーディーテーブルが皆さんと繋がる「コミュニティ」であり、アカウント上でのコミュニケーションにおいても、共感を大切にしたいと考えているからです。

Facebook社は、「Instagram day 2018」でInstagramの新たなポリシーを

「Bringing you closer to the people and things you love.」
(大切な人や大好きなことと、あなたを近づける)

であると発表しています。

フーディーテーブルは立ち上げ当初から、コミュニティとしての立ち位置をとり、ユーザーさんとのコミュニケーションやユーザーさん同士のコミュニケーションを大切に考えていましたが、結果的にInstagram本体のポリシーともマッチすることになりました。

3)正方形か縦位置の写真が望ましい

この項目は少しテクニカルなお話になります。

Instagramのフィードには現在、投稿画面で調整を行うことで正方形、縦位置、横位置のどの写真でも問題なく投稿することができます。表現の選択として、横位置で料理写真を撮る方も多くいらっしゃいます。

しかし横位置の写真の場合、Instagramアプリの表示上はスマートフォンの画面の横幅にあわせて写真の高さ(縦幅)が縮小されるため、タイムライン上で流れてきたときに非常に画像が小さくなります。正方形の写真や縦長の写真がスマートフォンの画面の8割程度を占めるのに対し、横位置の写真は画面の半分以下になってしまうケースもあり、タイムライン上で見るとどうしても迫力不足です。

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内容によってはセレクトする場合もありますが、やはりアイキャッチの点でパワーが弱く、保存数を含めた全体的なエンゲージメントが下がりがちです。よってできる限り、正方形や縦長の画像の方が望ましいと感じます。

2020年後半に「保存数」が多かった投稿ランキング

ここからは、前半でご紹介したようなポイントを踏まえて2020年下半期(7月1日~2020年12月31日)にフーディーテーブルの公式Instagramアカウントで「リポスト」した投稿の「保存数」ランキングをご紹介します。

第5位:具材のアイデアと食材のカットが圧巻!
おらっち(@oratchy5)さんの「まんまるおにぎり」

2020年7月の4連休の真っ最中、7月24日にリポストさせていただいたご投稿です。例年なら旅行などが楽しいタイミングですが、それも難しく、地域によってはお天気もすぐれない中でしたが、カラフルで可愛らしい「まんまるおにぎり」に癒やされた人は多かったことでしょう。ひとつひとつのディテールを見ていくのも楽しく、自分が作るときの参考に保存しておきたいと思うようなご投稿でした。

第4位:見るだけでも参考になる+複数枚投稿で作り方を解説!rina(@rina_kitchen)さんの「油揚げチーズのつまみ焼き」

コロナ禍のもと、「おうち居酒屋」風のメニューはいつも以上に人気だった印象です。冷蔵庫にある材料で作れる簡単おつまみですが、いざとなると食材の組み合わせが思いつかず、ワンパターンになりがちです。保存しておいて参考にしたいバリエーションの豊かさに加えて、アルミホイルをくしゃっと丸めることで食材がくっつきにくくなる小ワザの紹介も含まれていました。

第3位:お正月前の投稿で大ヒット!
Mizuki(@mizuki_31cafe)さんの「漬けて焼くだけ!本格焼豚」

年も押し迫った12月28日に、「お正月料理にもオススメ」ということでご紹介させていただいた簡単チャーシューのレシピ投稿です。見るからにおいしそうな写真に「漬けて焼くだけ!」のキラーワード、スワイプすると工程がわかりやすく説明されており、お正月のご馳走を思案中だったフォロワーさんたちのリアルタイムのニーズに刺さり、一気に保存数を伸ばしました。


第2位:クリスマスのご馳走に♪
 ぽんこつ主婦 橋本 彩(@ponkotsu_0141)さんの
「ガリトマチキンステーキ」

パリッと焼き上がった鶏肉の皮にたっぷりのトマトソース。わかりやすく作りやすいレシピ紹介で、爆発的にフォロワー数を伸ばし続けている「ぽんこつ主婦 橋本 彩」さんのレシピが第2位です。フライパンの上で直接料理ハサミを使って鶏肉の下処理や下味つけをしてしまうことで極限まで洗い物を減らし、鶏肉を焼いている横でにんにくを炒め始めることでソース作りが時短になるなど目から鱗のポイントが詰まっていました。12月3日にリポストさせていただきましたが、「クリスマスにこれを作ろう!」と即決したお宅も多かったのではないでしょうか。

第1位:秋といえば…の、きのこ×レモンバターが魅力的!
ちおり(@chiori.m.m)さんの「鶏肉ときのこのレモンバターソテー」

皮パリ&ジューシーに焼き上がった鶏肉に秋といえば…のきのこがたっぷり。「レモンバター」がとどめとなって「保存」ボタンを押した人が続出したようです。まだ暑さが残る9月29日にリポストさせていただき、編集部からも「はい!ビールください!」のコメントを添えたところ、ちおりさんから「ビールどうぞー」のコメント返しをいただき、保存数1位となったこちらの投稿で、コミュニティとしてのフーディーテーブルらしい楽しさを体現した形となりました。

<参考>
2019年冬のインスタ料理フォトランキング発表 <フーディーテーブル>  ~「映え」から「参考にしたい」「役立ちそう」が人気の傾向に~

こちらのnoteでは、フーディストサービスに携わるメンバーが持ち回りで各サービスやコミュニティの立ち場から情報をお伝えしていきます。

次回私が担当させていただく回では、フーディーテーブル編集部主催の投稿企画のご紹介を通じて、参加したくなるハッシュタグの作り方についてお伝えできればと思います。気になる方はこの機会にぜひフォローをしておいていただけましたら幸いです。

【この記事を担当した人】
大田祥子(おおた・しょうこ):「フーディーテーブル」プロデューサー
東京外国語大学卒業。米国系化学会社勤務時代に国際短編映画祭の運営に携わり映画業界へ転身。映画宣伝を通して、情報を伝えるところから行動に繋げるまでの流れ作りに魅了されてネット業界へ。『恋空』を始めとするケータイ小説で社会現象を巻き起こした「魔法のiらんど」や、食専門のCSチャンネル「FOODIES TV」などでマネタイズを念頭に置いたコミュニティ運営や海外事業などに携わったのち2016年4月にアイランド株式会社に入社。料理インスタグラマーコミュニティ「フーディーテーブル」のプロデューサー、タイアップページ制作ディレクター、商品企画を兼務し、2018年9月に独立。以後、引き続きフリーランスとして現職専任。


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