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求められている需要(ニーズ)と、見栄の供給(サプライ)

このブログを毎回ご覧になっている皆様には、僕がお客様に対して自分のビジネスをバンバン公開していくと言う姿勢を持っていることが既にお分かりだと思います。

別に隠すもなければ、晒したからと言って自分の価値がなくなると言うほどの人間でもないことを承知して、常に公にしています。

しかしながら見られる方においては、そんなリアルな話聞きたくなかったと言う方もいらっしゃると思うので、

ここから先は【こいつなに面白いこと言い出すんだろう】と笑ってみていただける方にのみ、お進みいただけると幸いです。


先日妻に時間をいただき、子供たちをお願いし銭湯に行ってきました。

僕は基本的に何かモヤモヤと悩んでしまう時は、お風呂に入って体温を上げながら、それに対して悶々とダラダラと考えることが癖になっています。考えたからといって、答えが出ることだけでは無いのですが。

今回の悩み事は、曲がりなりにもお菓子と言う分野でビジネスをしている自分は、どこを見て誰と比べているのかと言う点でした。

結果的に言うと誰と比べても仕方がないくらい弱小なので、自分の道を進めば良いと言う結果になりましたが、

ビジネスにするにおいて、基本的に経営者は誰かと比べ、誰かに負けないよう努力します。

しかしながら、これは綺麗事ではありませんが、お菓子でも洋服でもそのサービスがお客様にとって満足いただけるものでない限り、その対価としての報酬は得ることができません。

僕は基本的に綺麗事を言う人間ではありませんが、この構図は性格が良い、悪い関係なく、ビジネスをやっている以上、誰も逃げることができません。

その時に思ったのが、他の店の真似をしたり、他の店から何かを学ぶことが本質的に誰かの幸せになっているのであれば問題ないのですが、未熟な僕にもよくありますが、誰かに勝ったり、誰かの真似をしたりすると(もっと売り上げが上がる)と言う中間地点の状態にだけ目が向いている人が多いのだと思います。

僕の発送する箱は毎度自虐で言っていますが、とてもダサイと思います。

半端ないダサさ。

そこまで言うならちゃんと変える努力をしろよとも自分で突っ込んでしまうところではありますが、実際にその箱を変えると誰が喜んで誰が幸せな気持ちになるのかを今回は考えてしまいました。

お菓子の箱やお菓子のフォルムが美しいに越した事はありません。

あまりにも汚いのは問題だと思いますが、僕の得意とするカヌレを入れる箱をより高級なものにして、より販売価格が上がったとしたら、実際に誰が喜ぶのか。

僕のお菓子を召し上がってくれる人は、僕の箱に期待してお金を払っているのか。

そう考えてみると、そうではない事実に直面します。

人のふり見て我が振り直せと言いますが、世の中にはお菓子の見栄えを美しくすると、売り上げが上がると盲目的に考えている人が多いと思います。

さっきも書きました通り、美しいにこした事はありませんが、表面だけの美しさだけでは必ず期待をしてくれた人の信頼を裏切る形になります。

年がばれ古いかもしれませんが、沢尻エリカの記者会見を思い出します。

結局のところビジネスとは需要と供給のマッチングです。

少なからずお客様は、飲食業界に対して箱の需要や美しさの需要を最優先にしているわけではないと思っています。

美しいものは僕以外の人が一生懸命取り組んでいます。

僕はこれからも結局フランス料理を食べに行ったけど、帰りにラーメン屋さん寄っちゃうよねーと言ったような【あぁーん。これこれ!!】となるようなお菓子を作っていきたいと考えています。

元来料理人としてずっと修行してきて、おいしいとは何か、どういったバランスがおいしいのかと言う点に関しては、癖のように考える力がついています。

しかしながら、その他の箱の美しさ等に関しては、全くの初心者です。

そんな初心者が皆様にお菓子を召し上がっていただくためには、他の人がやっていないお客様のニーズを的確に捉えることが大事だと思っています。

逆に言うとその訓練はずっとしてきました。

これから先も箱がダサイと言う自虐は続けていくと思いますが、僕に箱をどうこうしようなどと言う気持ちは皆無である事はここに申し上げておきたいです。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、おしゃれな箱はものすごく高いです。

逆に言うと、おしゃれな箱を使うことによって商品の原価率が上がるため、原材料に粗悪なものも入る確率は高いというのが現状です。

本末転倒だと思います。

それを望んでるお客様は多分誰1人いないと思います。

そんなのだったら僕はそれらのバランスを見極めてうまく調整すると言うよりも、箱自体の概念を今後一切捨てて、その浮いた原価分を材料に投入することで、おいしさをあげた方が良いと思っているし、過去先輩方から教えられた内容もそういった内容でした。

こんな仕事をしていて、こんなことを言っていいのかは分かりませんが、やっぱり高いものを使うとうまいです。

うまいものを作るにはどうしても高いものを使わなければいけません。

皆さんが本質的に望んでいるニーズはそこなのだと思います。

それを実践できた上で、箱にこだわるのであればそれでいいと思いますが、手前味噌ではありますが、今のところ僕のカヌレを超える美しい箱に入った他店のカヌレを食べたことがありません。

これはあくまでも他店をディスっていると言うわけではなく、人、それぞれ求めているものは違うということだと思っています。

僕はこれから先何度も失敗しながらもっとおいしいお菓子を作っていきます。

その代わりになければいけないものはしっかり上げて先に謝っておきたいとも思っています。その考え方が、多くのお客様に入れられるなんて思っていません。逆に言うといろんな人に嫌われたくないから出来上がっている飲食業界が今の状態だと思うと思っています。最後にここだけはかっこよく言わせていただきたいと思っています。

思いっきりうまいもんを思いっきりほおばりたい時は家に来い。

失礼な方かもしれませんが、本心です。

そのためにキッチンに立てることを光栄に思っています。多分僕はそれが好きなんです。



働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。