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これからの料理界はその土地の過去の生き方や文化を超越し国境を壊し世界と並列し「考え方」によって優位性をつける。


出身地とは、文字通り生まれ育った場所。
文化とは、生まれ育った場所で育まれた歴史。
複数の出生地や文化を隔てるものそれが国境(国という概念だけではなく、県の境も)

マスメディアの浸透や大手企業の多店舗展開によって日本国内でも、郷土料理や地方文化が基本的には全国で楽しめるものとなった。

秘密のケンミンショーでは各県の特性が楽しくわかるし、自分の県でもこんなのあったんだと発見できる。
マスメディアの登場前は実際にその場所に行って文化を教えてもらったり発見しないとわからなかったものが、情報として簡単に手に入る。しかもタダで

コンビニエンスストアの毎年の企画で関西の文化だった恵方巻きが、青森のど田舎の個人レベルのコンビニでもイベントとして売り出されている。

大手企業のプロデュース力、マスメディアの進歩で日本国内だけでも、差別的に存在していた情報(ここではいい意味で)が畑の土地を耕すかのようになだらかになり、以前あった情報の山や谷は姿を消し、遠くまで広くはっきりと見えるようになった。

この状況の根底にあるのは情報の伝搬速度だと思う。

思えば4Gが世界を変えた時から、日本国内でもニッチな情報以外は情報まとめサイトや

料理で言ったらDressingなどのサイトで、遠く離れた店の情報やお勧めが瞬時に検索(もはや検索すらしていない)できる世の中になった。

今までのネットワーク環境が変えたものは遠くのものを近くで見れること。

これからの5G、企画試行されている6Gは近くというよりその場に情報を出現させ、もっともっと生活の国境や文化の違いを世界的に平らな状態にしていくと思う。

私はテクノロジーの発達により高速通信が可能になり、人間の五感も電気信号に変え電波として飛ばせる未来が後10年以内に来るとおもっているが、

そうなったら日本にいながらフランスのワイナリーのテロワールやインドの路店料理の味がラグなく正確に舌や鼻、手に届くのだと思う。

人間が経験することは基本的には五感の問題で、起点は脳にあるので、電気信号としてそれを可能にするのはそれほど難しくなく、ITの得意分野でもあると思う。

もしそうなったら、フランス料理人として働いているけれどもフランスに行ったことのない僕も、仕事終わりにフランスを感じることができる。

きっとテクノロジーの進化で業務時間も大幅に短縮されると思うので、今の意欲的な人はもっと多くの時間を各々の理想とする土地で自身の勉強の為に費やすことができる。

勉強熱心な料理人にとっては夢のような世界ではあるが、誰でもそこで経験できるということは同時に過疎地域に住んでいる人のハンデを埋め、情報集中の都市部の人の優位性をなくす。

そもそも情報という言葉も古くなってしまうかもしれない未来で、私たち料理人は本当の意味で国境がなくなった世界を生きるし、自分より本質的に日本を良く知っていて愛しているアメリカ人の寿司職人に出会うかもしれない。

そうなってしまったらきっと

どれだけ社会適応性があるか、その土地の文化をどうやって自分自身に落とし込めるかという考え方が料理人の差をつけていくと思う。

現在もそのながれはあるが、未来は比では無いと思う。

その土地の文化が自分の足元にある時、どう考えるか、どう動くかで、 料理人にも貧富の差がこれまで以上に広がるだろう。

同じ料理人として置いてきぼりを喰らわないように、テクノロジーを正しく身につけて理解し、自分の仕事に落とし込めることが今後の最重要課題かも知らない。

フランスで日本人初のミシュラン三つ星を獲得した小林圭さん。

卓越した技能とセンス、計り知れない努力の賜物だとは思うが、そのかげて降格したポールボキューズはこれから先の料理界がどういったものかを考えさせられる事件だったと思う。

関連記事として紹介させていただきました。

2020/2/3



働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。