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コロナ禍で起きた「食・農業界」の変化

こんにちは。FOODBOX(フードボックス)広報部のOです!
今回は、食・農業界について詳しく知りたい方向けに、FOODBOX厳選のコラム記事をお届けします。
第1回目は「コロナ禍で起きた「食・農業界」の変化」。新型コロナ流行によって大きく変わりゆく食・農業界について、データを参照しながらお伝えしていきます!

コロナで消費者の食はどう変化した?~都内在住・O家の場合~

 2020年4月7日、国内では初めて新型コロナウイルス感染症対策として7都府県に緊急事態宣言が発令されました。
皆さん、それぞれ暮らしに変化があったかと思います。例えばわが家・O家(都内在住・夫婦二人暮らし)の場合、2020年3~4月の食事情はこんな感じでした。

・食料品が買えないといった不安は比較的少なかった
(むしろマスクや消毒液、トイレットペーパーの品切れが問題となっていた)
・買い物の回数はなるべく減らし、不要な外出や外食を控えるようにした
・1日2食~3食を自宅で食べるように。一度に買った食材を使い回して献立を考えるのが上手になってきた
・学校の休校により給食需要がなくなり牛乳が大量に余るというニュースを耳にしたので、牛乳を使ったデザートなどにも挑戦し、心ばかりの〝応援消費〟をした(ちなみに考えることは皆同じなのか…。スーパーのお菓子作りの材料コーナーはたくさんの商品が品切れとなっていました)

 緊急事態宣言が明けた後は、「新しい生活様式」を意識しつつなんとなく以前の暮らしに戻っていきましたが、第3波に伴う2021年1~3月に発令した緊急事態宣言では、都内の飲食店の営業時間が夜8時までの時短営業になるという出来事が。ここでもいくつか変化がありました。

・1日3食とも自宅で食事をするのが当たり前に
・そのため〝夕食難民〟にはならないものの、外食回数は自然と減少
・代わりに、自宅・外食に関わらず、お金がかかっても少し良いものを食べたい、と思うようになった
・スーパーでは、本来出荷すべき飲食店に行かなかったレタスなどの葉物野菜が、安値で売られていたため、よく購入していた

 自宅での食事の習慣化、価値観の変化はむしろこの時期に起こったように思っています。

深刻な食業界への影響(特に外食産業)

 これはあくまで都内の一家庭に起きた食をめぐる変化にすぎません。しかし、少なくとも都市部に暮らすご家庭では、これと似たような状況になった方が多かったのではないかと思います。コロナ禍における消費行動や生産者への影響のデータなどはたくさん出ていますが、やはり緊急事態宣言のインパクトはとても大きなものだったことがうかがえます。

 例えば2020年7月には、外食産業が売上9割減という壊滅的な状況であることを伝えています(出典:ヤフーニュース)。


 また2021年1月までの外食チェーンの売上推移は、日本フードサービス協会によると次のようになっています。対前年増減率では2020年3月以降11か月連続で減少しており、その減少幅にも緊急事態宣言の影響が見てとれます(出典:NHK特設サイト 新型コロナウイルス)。


 このように、とりわけ外食産業では営業時間短縮の影響は甚大なことがうかがえます。特に都心部などでサラリーマンや買い物客の飲食に利用される店舗、中大規模の大手居酒屋チェーンなどが深刻な影響を受けているようです(こうしたところは家賃が高く、経営継続が困難となる大きな要因となっています)。また郊外や地方の観光地などにおいては、インバウンド需要の壊滅的減少やGo-Toキャンペーンの行く末に振り回されての嘆きも聞こえてくることがありました。

農業界への影響を見てみると…

 農業界への影響はどうでしょうか。
 こちらも1度目の緊急事態宣言の影響ですが、全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)が「新型コロナウイルス感染症の影響(2020年4月)」を実施しています(出典:できる.agri)。

 この調査によると、コロナの影響があったと回答した農家は調査対象全体の約半分(301件)。そのうち、農作物毎に多少の差はあるものの「取引先の休校やイベント自粛、直売所や小売店舗との契約が減少した」と答えたのは約61%(全体の3割)でした。次いで、観光客(インバウンド含む)、人手不足(外国人実習生含む)、資材不足等の回答が見られることからも、多岐にわたる打撃が農業界を襲ったと言えるでしょう。特に外食、給食、セレモニーなどでの需要が主として見込まれていた特定の産品や産業には、深刻な影響があると考えられます。
 しかし一方で、先ほどの4Hクラブ調査が示す通り、少なくとも1度目の緊急事態宣言では影響はなかったと答えた農家も半数あったことは注目に値します。これは農畜産物の卸先で打撃を受けたところもあれば、反対に売上を伸ばし好調だったところがあることも示しているのではないでしょうか。

 次の記事は、2020年の各業界の売上高についてまとめたものです。(出典:日本農業新聞)

 これによると、百貨店、外食が大きく落ち込み、コンビニも苦戦するなかで、スーパーや、宅配を手掛ける生協が、家庭内の食事(内食)のニーズをつかみ好調だったことが示されています。地場の野菜、魚、また国産の豚や鶏など、内食消費を主とした農畜産物の生産をする農家にとっては、コロナによる打撃は比較的受けにくかったと言えるかもしれません。

世の中の激変に対応する商品開発や販路開拓が求められている

 長引くコロナ禍。先を見通すことはどの企業にとっても難しいのが現状です。そのなかで農家さんや企業様のサポートをするFOODBOXが感じた、コロナ禍を生き抜くヒントがあるとするならば…、世の中の激変に対応する商品の開発や、新たな販路を開拓するなど、従来のやり方や売り方にとらわれずに柔軟に切り替え、前向きに取り組んでいけるか、ということに尽きます。

 例えば農産物であれば、販路が断たれてしまった状況でただ手をこまねいて回復を待つのではなく、次のようなことを考えてすぐに実行に移したところは強いです。

・自社通販サイトを立ち上げて商品を提供する
・クラウドファンディングやふるさと納税に商品を出し、応援を募る
・内食や巣ごもり需要に働きかけるような新商品を開発、販路を開拓する

飲食店であれば、既に多くの店がトライしているところだとは思いますが、次のような展開があるでしょう。

・人気メニューをテイクアウト型に切り替える
・新商品を作り通販型の販売へと切り替える
・家賃や維持費などペイしない固定費の見直し
・その他、固定客をしっかりとつけて、応援してもらえる工夫

 私たちFOODBOXはさまざまな飲食業界の方、農家さんと繋がりを作ってきましたが、その中でも高級ジンギスカンで有名な羊サンライズ(関澤社長、東京都)さんがすばらしい取り組みをされているので、今回ぜひご紹介したいと思います。


 羊サンライズさんは、ジンギスカンに代表される羊肉専門のレストランを都内で2店経営しています。国内では未だ1%以下とも言われる国産羊肉の消費量を上げ、羊の本当の美味しさ、素晴らしさを伝えたい、と羊肉の普及に挑戦している会社です。

 羊サンライズさんの方針は、「コロナが明けた後に継続できない事はやらない」ということでした。そのため、無理にランチ等の営業を新たに開始することはせず、自宅での食事が増えている背景を踏まえて自社ECサイトをオープンさせました。このサイトで、自宅用の羊肉セット(調味料等含む)を販売し、初月で売上350万円以上を達成したのです。
 また、兼ねてから計画していた羊の未利用資源を有効活用したオリジナルアパレルブランド「Waste not, Want not」を、コロナ禍のこの時期にあえて立ち上げました。
 立ち上げのための資金調達にはクラウドファンディングを活用。食用の羊が肉だけでなくウールや皮まで有益に利用可能であること、羊の普及活動により羊への理解を促し国内の羊産業の価値向上を目指していることを、羊肉専門店ならではの目線で訴えることで、確実に支援者を獲得し、目標の500万円を上回る資金調達を達成されました(出典:READYFOR)。


 このように、厳しい状況のなかでも、優先順位を決め行動をし、むしろ抜きんでた成果や成長を遂げる飲食店や農家の皆さんを見ると、大波を乗り越えていく柔軟かつ大胆な経営を、速やかに実行していらっしゃるなあという肌感覚をもっています。

 とは言え、飲食店や農家さん単体でアクションを起こすのは難しい場合もあるでしょう。
 私たちFOODBOXは、そうした課題解決のためのノウハウや経験をもっています。小さなことでも、ぜひご相談・お問い合わせください。

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