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【読書日記】買い物ゼロ秒時代の未来地図 2025年、人は「買い物」をしなくなる〈生活者編〉

結論。
コロナ渦は「買い物」のあり方さえも
5年早送りにしました。


どうも安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタント
のタルイです。

週イチでnote更新してます。


本日のテーマはこちら

2025年、人は「買い物」をしなくなる


本書で知りました▼


これはドキッとするタイトルですが
ちょっと補足説明が必要です。

本書は2019年に出版された
『2025年、人は「買い物」をしなくなる』の続編です。

※こちらはkindleだと読み放題で¥0で読めます。

このタイトルの真意は
「人は買い物をしなくなる」のではなく


「多くの人は買い物のために
わざわざ店舗を訪れなくなる」

ということです。


そしてちょっとややこしいのですが...

前作にて2025年に
「多くの人は買い物のためにわざわざ店舗を訪れなくなる」
と予測していたことが

本書にて
コロナ禍によって5年も前倒し
起こり始めたということが書かれてます。


つまり、
『2020年、多くの人は買い物のために
わざわざ店舗を訪れなくなった』


これが本書の内容です。


私がコンサルしている飲食業界でも
それは実感できてます。

港区のフードデリバリー利用者は、
月間平均で約12万円

なんと!東京のタワマン住民は
一杯のタピオカティーのために
Uber eatsを使うそうです。

まぁ、たしかに経済的にはプラスですけど...


これまでの買い物におけるわずらわしさ
行く・選ぶ・調べる・覚える……などといった行為は
「デジタル」が次々に解決していく世の中です。


2020年はコロナ禍で
多くのものがオンラインに置き換わっていきました。

しかし、本書ではコロナ渦は
重要なキーワードではありません。

2025年に起こるはずだったことが
コロナ渦によって「早送り」されただけなのです。

では、このままのペースだと
2030年の買い物の未来はどう変わるのか?

あなたは知りたくないですか?

ここからシェアしていきます。



◆著者は米中のデジタル消費にも精通するスペシャリスト

望月智之(もちづき・ともゆき)さん。

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株式会社いつも 取締役副社長
東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつも を共同創業。
同社は消費財ブランドに対するD2C・ECコンサルティング会社として、現在までのべ9500案件以上を支援し、2020年12月には東証マザーズ上場。
自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。
デジタル消費の専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、ブランド企業に対するデジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。


私は本書のタイトルである
『買い物ゼロ秒時代』がすごく気に入ってます。

すごく世相を捉えている感じがします。


グーグルが提唱しているマーケティング理論に、
ZMOT(=Zero Moment Of Truth)があります。

これは
「お客様が店に来る前に、
すでに何を買うかは決まっている」

という考え方です。

「お客様が店に来る」
という「ファーストアクション」の前段階

つまり「ゼロ」の段階で
買うものが決まっているのです。


例えば、
あなたもたまに買うもの
少し高価なものを購入するとき

事前にネット上で、
商品に関する情報をよく調べた上で

その後に、
店舗で商品を買ったり
あるいはそのままネットで購入したり
していませんか?


これは
買う(商品を受け取る)場所が
店というだけで

買うかどうかの意思決定を
店でしているわけではないのです。


こうなってくると
売る側にとって勝負の場所はどこになるのか?

それはデジタルシェルフ(デジタルの棚)です。

仮に、ショッピングサイトの商品一覧
デジタルシェルフとすると

まず「いい場所」に商品があることが大前提です。

そして、そこの商品に気づいてくれた生活者に対して

どれだけ商品の魅力をどれだけ伝えられるか。

そこで勝負が決まるといえるのです。

「検索したら上位に出てくる」
「レビューの評価が高い」
「ほかのユーザーによく買われている」
「インフルエンサーが紹介している」

といった、
デジタルシェルフ上での優位性を
確保しておかないと
ZMOT時代では勝てないのです。


目次もチェックしてください▼

はじめに
序章:「デジタル時代の買い物」を科学してみる
第1章:2020年、私たちの買い物はこう変わった
第2章:生活者をつなぐ口コミはどう進化したか
第3章:EC先進国の米中で今、起こっていること
第4章:リーディングカンパニーが最前線で仕掛けていること
第5章:2030年、買い物の未来

本書より
・デジタル時代の買い物がどう変わった?
・Amazonと楽天はなんで強いの?
・2030年の買い物はどうなるの?

この3点を読んだ感想とともにシェアします。


◆買い物は『仕方』と『探し方』で分類できる


著者いわく、デジタル時代、
私たちの買い物のほとんどは
「買い物の仕方」「商品の探し方」
で説明がつくそうです。

まず買い物の仕方は6つに分類されます。

①ウィッシュリストショッピング

楽天市場やZOZOTOWN、
Amazonなどには

「 ほしい物リスト」
「お気に入りリスト」 

に追加する機能がありますね。

これが ウィッシュリストです。


②レコメンドショッピング

自分にとって興味の薄い商品を選ぶのは
やはり面倒くさいものです。

そんなときは、
自分で調べたり判断したりせず 

SNSなどで
他人がオススメしている商品を
そのまま買う行為が 
レコメンドショッピングです。


③カウンセリングショッピング

自分の情報を積極的に知らせた上で
店舗やブランドに自分に合う商品を
選んでもらう買い方が
カウンセリングショッピングです。

デパートでの買い方が
オンラインで出来るのです。 


④インフルエンサーショッピング

ネット上で影響力を持つ
YouTuberや
インフルエンサーが投稿した 

「新発売の〇〇を使ってみた」
動画を見て 

自分も試してみたいと思って買う行為が
インフルエンサーショッピングです。

影響力は自分の友人という
ケースもあります。  


⑤DtoCショッピング

メーカーや卸売業者が小売を通さず
直接個人に販売するビジネスモデルが
DtoC(またはD2C=Direct to Consumer)ショッピング

購入型クラウドファンディングも
その一例です。


⑥ストップウォッチショッピング

料理・片付け・仕事などと同様に
買い物も「時短」ブームです。

ショッピングサイトの買い物履歴から
「いつもの商品」を注文するのもそれです。

このサービスの究極は、
日用品は「ストックが切れる前」の
タイミングで
自動的に送られてくるサービス。

これぞ『買い物ゼロ秒時代』
ショッピングですね。



●商品の探し方は2つに分類されます。

①目的系
・ 普段の買い物で購入する商品
・ 消費者にとっては買うプロセスがめんどくさい
・ 買い物プロセスの自動化が進んでいる
  例)日用品、食品

「目的系」
最初から買うものが決まっているので
生活者にしてみると「面倒くさい」ですね。
今後もどんどん自動化されていきます。


②発見系
・ その商品を発見して初めて買う商品
・ 商品に「コンセプト」がある
・ 魅力的なコンセプトがある商品ほど発見されやすい
  例)SNSで話題の商品、バーゲンセールでたまたま見つけた商品

発見系」は「目的系」に比べて
毎日ある買い物ではありません。

ただ、多くの人に伝わって
ヒット商品になる可能性はあります!

ですから非常にSNSと相性がいいです。


●自動化される「目的系」
●SNSで広がる「発見系」

以上をまとめたのがこちらの図です。

2025年、 人は「買い物」をしなくなる


たとえば『本』をお買い物する場合


誰かからおすすめされた本を
ネットで注文したのであれば

「発見系商品」をレコメンドショッピング
(他者のおすすめをもとに購入)

したことになります。


雑誌を定期購読しているのであれば、

「目的系商品」をストップウォッチショッピング
(時間をかけずに済むよう定期購入や購入履歴からの再購入)

していることになるのです。


いまや、ウィンドウショッピング
(買うものを決めずに店舗に行き、
その場で購入の決断をする)

という買い物の仕方と探し方は
主流の買い物プロセスではないのです。



◆アマゾンと楽天の強いのは『失敗を避けるための仕組み』

私たちがネットで買い物をするときに
一番考えていることが
「この買い物をして失敗しないか」
ということではないでしょうか?

Amazonと楽天には
初めての買い物でも
失敗しにくい仕組み
すでに備わっています。

その仕組みというのは、
「レビューの点数」「口コミ」です。

1つや2つの口コミでは
安心しづらいですが...

多くの人が満足しているのであれば
「おそらく大丈夫な商品だろう」
と最初の購入を決断できます。

Amazonや楽天の強みは、
1回目に「ほぼ外れない」
買い物ができるという点なのです。


●ギフトに強い『楽天』と日用品に強い『Amazon』

Amazonと楽天を比べてみた場合、
それぞれはどのように差別化されているのか。

それは、「習慣になりやすいかどうか」でした。

もう一度、先程の図をごらんください。

2025年、 人は「買い物」をしなくなる

ごらんの通り、Amazonや楽天は
「目的系」の買い物に位置してます。

これはまさに、
両者の特徴としてよく言われている

「ギフトに強い楽天」
「日用品に強いAmazon」の違いでした。


習慣を表す横軸で見ると、
「1回目の買い物」においては
楽天のほうが便利です。

なぜならば
楽天は商品情報を豊富に載せることが
できるからです。

また店舗による特典も多く、
1回目のお客さんにも
買いやすくなっています。


しかし「2回目以降」は
Amazonの買いやすさを好む生活者が多いそうです。

Amazonはとにかく買い物の面倒を減らすために、
プロセスをどんどん自動化していました。
だから使いやすいのです。


つまり、
楽天は1回目の買い物により強い仕組み、
Amazonは2回目以降の買い物に
より強い仕組みとなっていると言えます。

これは両社の特性の違いであり、
どちらが優れているという話ではないですよね。


◆2030年、私たちの「買い物」はこう変わる。

おまたせしました。
ここがメイントピックスです。

コロナ渦による思わぬ形で
2025年の世界が前倒しになったわけですが

今後はどのように変わっていくのでしょうか?

著者はいくつかのキーワードを挙げてます。

●「脳のラベリング」
私たちは日常の出来事を

場所・風景、匂い、触り心地など

五感を使って体験することで記憶してます。

しかし、デジタルには
ラベリングのための機能がないのです。

よく現代人は
「昨日、何食べたっけ?」
となりがちなのは

記憶力が低下したわけではなく


食事は注文すればいいだけ

レンジで温めればいいだけ

などのように、
ラベリングが乏しいので
記憶に残らないからだそうです。


近年、最先端の店舗が
体験イベントに力を入れているのは

ラベリングを駆使して
記憶に残そうとするのが事情でした。



●スコアリング
EC先進国の中国では
「スコアリング社会」が進んでいます。

個人の信用情報はアリババなどの
プラットウォーマーが握っているそうです。

個人のスコアによって
借金の金利や受けられるサービスが
変わったりするそうです。


日本でも、
メルカリなどの相互評価はこれにあたります。

これはある意味、


悪人が減って善人が増える仕組みですね。



●モノを売ってない店舗が増える

いまや商品は低価格・高品質が当たり前です。

生活者はそういった実質価値よりも

「自分がその商品に触れることでどんな体験ができるか」
に関心が移っています。

よって、


店舗で何かが体験できること
と、
その体験がデジタルに融合していることが、
2020年代の店舗のトレンドになるだろう。

著者はこのように予測してます。



●ECに勝てるのは小商圏ビジネスの店舗

EC化(ネット通販)では、
従来の店舗がすべて消えるわけではありません。

小商圏で展開している店舗には
「モノがすくに手に入る」
というECにはない強みがあります。

小商圏は半径1〜2㌔の圏内で
徒歩10分以内、地方なら車で10分以内のことです。

日本の特色としてはこの10分以内に
コンビニ・スーパー・ドラッグストアがあります。
これは米中にはない特色なのです。


●「目的」「発見」から「楽しい」

中国のピンドゥドゥ「拼多多」
「拼」(ピン)という漢字は、
「共同、合わせる」という意味だそうです。

利用者がすでに6億人。

ピンドゥドゥの利用者は中国の農村部多く
都市部に利用者が多い
アリババとはセグメントされてます。

商品単価の安さに加えて
共同で購入することで
さら価格が低くなるという
仕組みも用意されています。

このメリットは集客コストです。

1人のユーザーが欲しい商品があるとき
SNSで呼びかけて2人目、3人目のお客を
勝手に連れてくるわけですから
商品が複数単位で売れます。

頭いいですね🤔


◆〈まとめ〉これからは共創の時代。顧客体験が買ってから始まる

本書でECの進化は、
第1世代「目的」、
第2世代「発見」と来て

今後は第3世代「楽しさ」の方向に
舵を切っていくことがわかりました。

買い物が楽しくなるほど
企業と生活者の距離が近づきます。

両者による商品やサービスによる
「共創」をもたらしてくれます。

そして何より「共創」自体は新しいものでもなんでもない。

スタバの店舗にフリーWiFiが設置されいるのは
お客様の要望からでした。

IKEAももともとは顧客ターゲットだったハウスメーカーやインテリアデザイナーと一緒に家具を作ってました。

ワークマンもインフルエンサーが
生活者目線でニーズをすくい上げて
共創した商品をたくさん販売してますね。

こういったコラボ事例はたくさんありますよね。

これだけ共創が増えるのは
双方にメリットがあるからです。

生活者は自分の思いを商品に乗せる機会がある

企業はユーザーの声をダイレクトに吸い上げられる

つまり商品づくりが「楽しい」のです。


買い物に「楽しさ」が加わるこれからは
『共創しないと生き残れない』

そして、共創できない企業は淘汰される

これが本書における
日米中のデジタル消費の最先端を知る著者の予想です。


もう一点。

私たちが知っている「買い物」とは

お店に行って(あるいはECサイトで)
商品を選んでカートに入れて
レジに持っていき(あるいは決済ページ)
代金を支払う

つまり、買うまでが「買い物」でした。


しかしこれからは違います。

家で商品の箱を開ける
実際に使ってみる
その感想をSNSに書き込む

この買ってからの体験が価値になります。

使ってみて、
それを誰かに話して、
はじめて「楽しい」と感じられる。

つまり、買い物とは「買ってから始まる」のでした。


本書は他にも
EC先進国である米中の最新事情や

日本のECリーディングカンパニーである
ユニクロやワークマンやメルカリの事例

電話の普及から始まった「口コミ」の起源と
ソーシャル時代の口コミの活用事例

など、紹介しきれないくらい
有益な情報が書かれてます。

ご商売をされている方には必見の書です。

是非お手に取ってみてください。

最後まで読んでいただき
ありがとうございます!

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