見出し画像

本当にラーメンは体に悪い?

日本の国民食とも言えるラーメン。
ご存じの通り、ラーメンはもともと中国が起源です。

中国の「拉麺=引っ張る麺」から来ていて、明治時代の1910年、横浜中華街からやって来た中国の料理人がラーメンを生み出し、日本で独自の進化を遂げたものです。

それが今では世界中で寿司と並ぶくらい流行になっています。

このラーメンのように、他国で考えられた料理を日本独自にアレンジして発信するのは、日本は得意です。

他にも”和食”と呼ばれるものに、他国の料理のアイデアをアレンジした料理がたくさんあります。

この話(和食の秘密と特性について)は次回しますが、今回はラーメンについてです。


今日の話は、ラーメン業界を敵に回すような発言にもなるかもしれないので、苦情メールやフォロー解除されるという覚悟もありつつ、ビビりながら書いています。

始めに言っておくと、『けっしてラーメンを完全否定している記事ではない』ということをお伝えしておきます。

あくまで、栄養や健康からのラーメンの見解です。

【ラーメンは体に悪いのか?】

最初に結論を言います。

「はい、ラーメンは体に悪いです」

、、、( ゚Д゚)

でも、これってラーメンを食べている多くの方も自覚しているのではないでしょうか?

ラーメンを食べていて

「すごく健康になった!体が軽い!病気も吹き飛ぶぞ!」

なんて思う人はいないと思います。

どちらかというと、少し罪悪感を感じながら「どうしても食べたくて我慢できない」という中毒症状に近い感じでラーメンを食べていると思います。

なんでそう思うのかというと、私がそうだからです。

昔、子供の頃、夜中父親に連れられて行った屋台のラーメンを食べるのがなんとも背徳感があり最高でした。

小学生の頃に、大人の真似して、道に落ちているタバコを拾って吸う真似をする感覚に似ています。

山に落ちているカピカピのエロ本を拾って、友達と興奮しながら、“基地”と呼ばれる木々に囲まれた秘密の場所で、周りを気にしながら読んでいる時のドキドキ感に似ています。

社会人になっても、先輩に連れられて行くのは、だいたい居酒屋か牛丼屋かラーメン屋です。
お金のない若い時は、ラーメン屋は気軽に入れるお店の常にトップですし、バリエーションも多いです。

そのような思い出からもラーメンを食べるのがめちゃくちゃ好きな人(特に男性)は多いでしょう。

「ラーメンをなぜ食べるのか?」というと、一言でいえば

「めちゃくちゃうまいから」

それだけです。

正直、何も考えずにラーメン屋に行っていたころは、自分の健康のことは全く何も考えていませんでした。

なぜなら健康が当たり前だと思っていた時期でもあったからです。

でも、30歳40歳過ぎてくると、どうしても気になってきます。

「おなかが出てきた」
「医者に脂っこいものを控えるように言われている」
「肌がテカってきて、女子にキモがられているかも」

そんなことを考えるようになると、
「今日はラーメンじゃなくて、大戸屋(定食屋)に行くか」みたいな発想になります。

つまり自分自身、潜在意識でも「ラーメンは良くないもの」と思っているのです。
栄養的にどうかとか知らなくても、感覚的に毎日ラーメン食べていたら、確実に中年太りすることは目に見えています。

でも、そんな感覚的な感情は無視して、
私は「本当にラーメンは不健康なのか?」ということを疑問に思うようになりました。

そのきっかけは、マジの料理人がラーメンを作っていた時に思いました。
マジの料理人とはここでは、フレンチや和食を極めた人たちのことです。

栄養学も勉強しだしてから、よくよくラーメンの作り方を見ると
「ん?そこまで悪くないんじゃね?」と思ったのです。


【スープ】

例えば、チキンベースで野菜もたくさん入っただしをベースにして濃縮したスープは、チキンのコラーゲンや野菜の栄養素がスープにしっかり溶けこんでいて、
「いや、逆にめちゃくちゃ体にいいんじゃないのか?」とも思えます。

事実そのとおりなんです。

昨今、健康業界で流行っているものに「ブロススープ」というものがあります。
これは動物の骨でとったスープで、栄養もしっかり摂れ、美肌効果や慢性炎症改善などがあるというものです。

魚介ベースで作っているスープもとても良いです。

野菜もたくさん煮込んでいれば、それだけ栄養素も摂れます。
脂溶性ビタミンやミネラルも野菜が崩れることで吸収しやすいですし、
水溶性ビタミンなどの水に溶ける栄養素もスープに溶け込むので、野菜の栄養素を逃さずに摂れることになります。

はい、実際にラーメンの”スープ”は健康に良い面もあるのです。

でも、今ちょっと歯にものを挟んだ言い方をしたのは、ちゃんとスープを素材から作っている場合です。
そして、グツグツ煮込んで脂が乳化してスープに溶け込んだものではなく、しっかり脂をすくい取っているスープに限ります。

唯一、ラーメンのスープにした場合に気になるのは、塩分過多になりることです。
麺と一緒に食べるには、どうしてもスープを濃い味にしなければいけません。薄いと麺とのバランスも悪くなり、物足りなさを感じます。
だいたいラーメン1杯に7gくらいの塩が入っており、これはすでに1日の上限の塩分量にほぼ達しています。(*ラーメン食べる日は、その他の食事は塩分少な目にしましょう)

ちなみに、少し意外かもしれませんが、塩分だけを気にするなら塩ラーメンが一番塩分が多く、続いて醤油ラーメン、そして豚骨ラーメンです。(でも豚骨ラーメンなどは、脂ギトギトで問題があります)

また、MSGなど化学調味料をたくさん使っていたり、添加物が入った簡易的なスープや、カップラーメンのようなありとあらゆる添加物が入っている。

このような場合は「健康的に良くない」とはっきり言えます。

別にラーメンを食べる人の多くは「そこまで健康を気にしていない」はずなので、そもそもラーメンを健康という視点で見ること自体が間違っているかもしれませんが、

とにもかくにも「ただおいしくなればいいや」という観点で、人工的なものを入れたりしているスープは良くないです。

しかし、今は多くなりましたが、
高級ラーメンと呼ばれるような、本格的なだしの取り方をしているラーメンは「絶対的に健康に良くない」とは思いません。


【麺】

正直、ラーメンの麺に関しては、あまりポジティブな意見はないです。

そもそも、ラーメンとしてスープと麺を合わせるからよくないのであって、ちゃんと素材から作ったスープ単体であれば、もっと薄味にもできるし、野菜など入れれば普通に健康に良いスープ料理になります。

麺はというと、手打ちで作っていても、どんな良い小麦を使っていても、
炭水化物である麺は、若い育ちざかりの人には良いと思いますが、
30歳後半にもなると、食欲も減ってくることもあり、正直麺の量が多いと感じるようになります。

世の中の”安い”と言われる料理は、だいたい炭水化物メインです。

それは小麦やご飯などが安いから、原価も安く抑えられるというのが大きいでしょう。

若い時は成長期も含め、たくさんのエネルギー(=カロリー)が必要です。
エネルギーを使うには、手っ取り早く炭水化物が良いので、ラーメンや牛丼など、替え玉や大盛にしてもぜんぜんエネルギーを消費できるのが10代20代です。
体の代謝もいいので、アルコールや添加物含め、多少有害なものを含む料理を食べても、しっかり解毒する機能があります。

なので若い時はいいですが、年をとってもその感覚を引きずって同じような食生活をしていると、しんどい思いをすることになります。

また、ラーメンの最大の欠点は、麺をすすることです。
うどんもそうなのですが、基本的に(特に日本人は)麺をあまり噛まずにすっと飲み込みます。
栄養面・消化吸収面から言って、これは良くない

そのまま飲み込むというのは、咀嚼をしません、すると唾液が分泌されずに、食べ物が分解されにくくなります。
*提案としては、細麺より太麺にすると多少マシになります。

特に胃腸が弱い人、胃薬を飲んでいる人にとっては、ラーメン食べたら胃もたれしかありません。
かといって、よく噛んでラーメンを食べればいいのですが、そこまでして健康を気にして食べるくらいなら、そもそもラーメンを食べるという選択をしません。

栄養の観点からだとラーメンの麺は、うどんやそばと比べると、成分的にはそばに近いです。
ラーメンは「中華うどん」ではなく、「中華そば」と呼ばれるだけあって、うどんよりも栄養価は高いと言えます。

ちなみにうどんは本当に“炭水化物”って感じだし、塩分も結構入っています。

ではそばと比べるとどうかですが、そばの方が栄養価的には全体的に優れています。

またラーメンの麺には、”かんすい”を使っているから、アンモニアが入っています。*でも微量のため害となるほどではない。

そしてナトリウム(塩分)が多く、これはうどんに近い値です。


【その他の具材】

麺以外にも野菜がたっぷりであれば、咀嚼もたくさんすることになり、栄養も摂れるので良いと思います。

チャーシューなどの肉も、プロテイン(タンパク質)が摂れますが、脂っぽいので気を付けなければなりません。

またラーメンを食べる時間帯も大事で、朝、または昼に食べるのがおすすめです。

それは、夜になるほど消化機能が低くなるので、消化の悪いラーメンを夜に食べると、寝ている間にも胃の中に残ることになり、睡眠にも影響してきます。


【ラーメンとお酒に関する豆知識】

お酒飲んだら、最後のしめにラーメンが食べたくなります。
最悪な組み合わせだと思うでしょうが、意外にもこの生理現象は理にかなった体の反応なのです。

なぜかというと、

『アルコールを飲むときに糖質(炭水化物)摂取量が少なかった人はアルコール代謝が悪くなる』と、日本の研究でわかっています。

肝機能は糖質をメインにして働くため、タンパク質だけのエネルギーではアルコールの解毒がうまくいかないからです。

なので体は炭水化物が必要と思って、ラーメンを欲しがるのはある意味体の正しい反応ですが、

とはいえ、ここでラーメンを食べてしまうと太ります。
血糖値の乱高下が起きやすい状態なので危ないので、ラーメンの糖質と脂には注意しなければなりません。

もしお酒を飲みすぎて、なにか食べたいと思ったら、おにぎりを食べてください。ラーメンよりかはマシでしょう。

できればお酒を飲んでいる時に、しっかり炭水化物も摂るのが理想です。
*ちなみにアルコールと揚げ物は最悪の組み合わせです。


【まとめ】

このような考察から、基本的には「ラーメンは体に良くない」と言えるでしょう。

しかし、食べ方・考え方次第でもありますし、作り手のラーメンに対する考え方、またレシピによっても違いが出て、実際の栄養学的視点からの良い・悪いも変わってくるでしょう。

個人的に理想の健康的なラーメンがあるとすれば、

肉(骨)を使うなら、できるだけ脂肪分が少ないスープ。
魚なら骨なり、かつお節なり入れたスープで、
肉でも魚でもそれに合う野菜も豊富に入れたスープが良いです。
そして麺は太麺で通常の半分で良い。できればそのぶん肉や野菜を多く入れる。
それでいて、あわただしく、早く食べなければいけない雰囲気ではなく、
ある程度落ち着いて、ゆっくり食べられる環境が良いです。

私が健康面を求めてラーメンを食べるなら、これだけで十分です。

ただ、ラーメンはどうしても塩分過多になります。

だから気休めとして、塩はナトリウム99%の食卓塩ではなく、ミネラルの入っている天然塩を使ってほしいです。

また、豚や鶏など脂があるスープは、いくら表面の脂を取り除いたとしても、スープに入り込んでいることも多いので、その場合は塩分に加えて脂肪分もたくさん摂ることになるでしょう。

なので、スープは全飲みしないで半分くらいは残すのが塩分を減らすことになり、血圧の面でベターだと思います。

ただ、消化能力も高く、何食べても無敵状態の20代の人なら、そこまで何も気にせず食べてよいと思います。でも毎日食べるのは控えてください。食べても週1くらいがよいかと。

【最後にひとこと】

私が不健康とカテゴライズしているラーメン(カップラーメンとか)を食べるとしても、私はそれがすべて”悪”だとは思いません。

なぜなら多くの人に必要としているから、そのビジネスが成り立っているわけで、もしそのラーメンが無ければ、悲しむ人もいれば、生活に困る人も出てくるかもしれないからです。

また、料理・食事は味がかなりの重要度をしめます。
盛り付け(みため)や栄養も大事なのですが、それ以外にも、

  • 家族との団らん

  • 仕事終わりのストレス発散

  • 友達と過ごす場

  • 子供時代を思い出す懐かしさ

  • 経済的な理由

  • (日本なら)夜中でも営業している

  • いつでもどこでも食べやすい

  • 非常食として

などなど、書ききれないくらいラーメンのメリットはあります。

そしてこれも研究で分かっていることですが、いくら栄養価の高い、最高級の料理だとしても、それが
ストレス下で食べる場合と、
ストレスなく楽しい仲間と食べる場合と比べると、

確実にストレスなく食べるときの方が健康的です。せっかく栄養満点の料理だとしてもストレスですべてを台無しにします(精神も栄養吸収も悪くなります)。
だったら、楽しく食べるラーメンの方が絶対に良いと思います。

食事に限らず、ネガティブなストレスは人を不健康にします。気を付けてください。


結論、『(特に中年以降)ラーメンは嗜好品としてたまに楽しむもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?