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機能性食品はこう調べる(前編)

最近何かと話題の機能性食品。

昔は「血圧高めの方に」とか「おなかの調子を整える」みたいなのが多かったけど、最近は眠りの質を高めるとかメンタルサポートとか、色んな訴求(ヘルスクレーム)を見かけます。

これはひとえに機能性表示食品という制度ができたことが原因なのですが、2015年に制度が始まって以降これでもかと新製品が生まれています。

ほんまに効くんかい、とか、消費者庁は認可していません、とか、これは企業の責任です、とか何かと怪しまれやすいのが特徴。

その代わりと言ってはなんですが、消費者庁に提出する届出資料は全て公開されており、国民がちゃんと見て判断できるようになってます。

つまりスタンスはこうです

ね、公開されてるんだから問題ないでしょ??調べたけりゃ自分で調べなよ??

・・・いやいやいや、確かにそうなんだけど、そもそも調べ方も知らずに調べられるかいっていう。届出資料は全公開(黒塗りなどはない)なんですけど、慣れないと検索するのは結構大変。

そこで今回は私が普段どうやって検索しているか、どこを見に行けば良いのか、その辺りをまとめてみます!

お仕事で機能性表示食品に関わる人必見です!

おすすめの検索サイト

いきなりですが、本家消費者庁のデータベースは使い勝手があまりよろしくありません。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search/

既に調べたいものピンポイントで決まってたらこれでもいいんですけど、検索の醍醐味って調べてたら横の棚にある本も目に入ってそっちも気になっちゃうこと、じゃないですか。

そこで私はいつもこちらのデータベースにお世話になってます。

誰が運営してるのかわかりませんが、直感的にわかりやすくて良き(広告が多いのが残念)

私がこのサイトをおすすめする理由は
☑︎成分別で検索できて、商品画像が横並び
☑︎効能別でも比較でき、消費者も使いやすい
☑︎企業別でも比較でき、競合調査も容易
☑︎消費者庁の届出資料にもリンク
☑︎レポートも一見の価値あり
というあたり。

では、せっかくなので今話題のとある乳酸菌(ナンタラシロタナンタラ)が1000入ったやつを題材にして少し掘り下げて調べて見ましょう。

※あくまで検索事例として挙げるだけなので、勧めるor批判する意図はございません。

基本情報はこちら

とてもシンプルで、検索欄にキーワードを入れたら出てきます。今回は「シロタ」と入れてみました。

一番確実なのは製品に記載されている届出番号での検索ですが、個人的なオススメは機能性関与成分を入れてみること。同じ成分でもなぜか違う製品があったり(理由は様々)新たな発見があるはず。

では、「この条件で検索」してみましょう。

ほらね、何個か出てきた(店先のとレディのでしょうか)

今回調べたいのは睡眠などをサポートする1000のやつなので、そこを見に行ってみましょう。

二つありますが、おそらくほとんど同じなので、新しい方(届出番号E625)へ。

(妙だな・・・商品名1000なのに含有量は1100とは)

こちらから直接サイトに飛びます

まず基本情報
☑︎届出番号
☑︎商品名
☑︎会社名
☑︎表示する機能性
☑︎想定対象者
☑︎機能性関与成分名
☑︎含有量

ここまでは商品に書いてある情報とあまり違いはありません。

ではもう少し深く、彼らがどんな届け出をしてOKをもらったのか、その要約を見ていきましょう。

届出の要約(安全性と機能性)

届出資料は複数フォーマットがありますが、超ざっくり言えば「安全性」と「機能性」をこのように評価しました。と言うことが記載されています。

先ほどのページの下まで見にいくと・・・

こんな感じ。超細かい。

多分安全性は皆さん興味ない()と思うので、機能性の方ですね。

「機能性」欄には、どんな研究結果を参考にしているかまとまっています。機能性表示食品の場合一つの製品で複数の機能性を訴求していることもあり、この商品の場合「ストレス」と「睡眠の質」なので、それぞれ分けて書かれていますね。

それぞれの中身は
1. 標題
2. 目的
3. 背景
4. レビューについて(方法に近い)
5. 結果
6. 研究の質
が基本

学会発表や論文のアブストラクト(抄録)に近いかな。

どんな効果があるか

おそらく必要な情報は「誰がどの程度摂取したらどんな効果があったのか」だと思うので、4と5あたりを見ておけば大体わかるはず。

【レビュー対象とした研究の特性】
公表された論文を対象とし、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含む食品を摂取した場合の睡眠の質を評価している研究について調査しました。メタアナリシス、システマティックレビュー、無作為化コントロール比較試験(RCT)を対象に検索を行ったところ(検索日2019年11月28日)、健常な成人を対象としたRCT論文1報が採用されました。
【主な結果】
乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)摂取により、睡眠時脳波では、眠りの深さを評価する入眠潜時、N3ステージ割合および睡眠第一周期におけるデルタパワーの改善が認められました。また、OSA睡眠調査票では起床時眠気と睡眠時間について改善が認められ、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)を含む食品を摂取することで、一時的に精神的ストレスがかかった状況での睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を向上する機能性を発揮することが示されました。

https://db.plusaid.jp/foods/E625

という感じ。

どんな評価をしているかはこれを見たら完璧!!

・・・とはいかず、どんな飲み方をしてどの程度効果があって、それはどんなメカニズムか、まではこれだけではちょっとわかりません。

と言うことで、さらに追求したい人はもう少し先までお付き合いください。

エビデンスの質も記載されている

蛇足ですが、この要約には必ず「エデビンスの質」の記載もあり、どの程度信頼できるか記載されています。

これまで私は数多くの資料を見てきましたが、ほとんどの届出で
・信頼性の高いRCT(ランダムに割付、比較対象を置いて介入)
・だから科学的根拠は十分
・だけど、論文数が少ないのは確か
・今後の研究が望まれる
と言う流れで書いてあります(今回取り上げたものに限りません)

自ら届け出る時に「質は低いよ」なんて言うことないので、ご愛嬌パート。
望まれるなら上市後も研究してるんですよね?ちゃんと。
本当に質が高いもの正直少ない(私個人の印象)。

あぁぁぁ、いかん、いかん。心の声が。

でもね、ここのパートを適当に書いている会社ときっちりLimitation(どこに研究の限界があって、何が問題として残っているか)を書いている会社が明確に違うので、会社のレベルを推し量るためにこのパートを読むのは結構アリです。

深掘りしてみよう

消費者庁の届出資料へ

冒頭書いた通り、このサイトの良いところは消費者庁の届出サイトに飛べること。商品詳細の下の方にあります。

さあここから消費者庁のDBにレッツゴー!!

https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42203281181300

( д) ゚ ゚

なぜ今日に限って・・・。

というわけで、後半に続きます。

次回予告

分かりやすさ優先で消費者庁のデータベースを使うことなく機能性表示食品を調べることができるようになった筆者ら。そうなるともっと詳しく知りたくなるのが人間の性だが、そこに立ちはだかるのは、必要な情報はすべて書かなきゃいけないお役所の書類だからこそ本当に必要な情報がどこにあるのか分からない消費者庁のWEBサイト。そんなラビリンスがごとき本家サイトのどこを探れば欲しい情報(PDF)に行き着くのか、筆者らの旅は始まったばかりだ。

終わりに

機能性表示食品をはじめとした健康食品は魔法の薬でも何でもないのですが、その辺りはちゃんと知っておいていただきたいので、最後にご参考として情報共有をば。

機能性ってそもそも何?栄養とは何が違うの?という方へ


機能性表示ってどんな制度トクホと何が違うの?という方へ


健康食品って薬みたいに効くんでしょ?という方へ


では次回お楽しみに!


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