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食と健康系情報で気をつけるべき七つのポイント

Twitterを始めてそろそろ2年近く経ちますが、SNSだけでなくWEBコラムや書籍も含めて世の中にはたくさんの栄養に関する情報が溢れています。

これは確かにいいねと思うものから、こんなのやったら絶対あかんというものまでマチマチ。

私は栄養や機能性の研究をしていることもあるので玉石混交の中からある程度見分けがつく(と自分では思っている)のですが、いざ自分が別の専門家の立場になれば難しいんだろうな感じます。

たとえば、私も美容や医療になると「この人が言ってるから正しいのかな」という曖昧な判断基準に頼らざるを得ないことを肌で体感しています。

ということで、今回は私自身が普段どうやって情報を見分けているか、その判断基準を整理しました。

なおこのコラムには、食と健康に対してこういうことをしたら良いという答えは残念ながら書いておらず、お堅い話ばかりです。

その答えを見つけるために少しだけ遠回りにはなるけど、正しい道を選ぶために私が気をつけていることをまとめてみました。

ポイント1 万人に当てはまるものはない

これが第一。人は一人ずつ違う。

性別、年齢、人種、病歴などその人自身のこと。
食生活、運動習慣、睡眠時間などの生活習慣のこと。

このふたつを掛け合わせることを考えれば、万人に当てはまることなどないのはなんとなくイメージが沸くのでは無いでしょうか。

自分のことを知ってくれているとか双方向でコミュニケーションができるならまだ良いかもしれないけど、そうでも無いならそれが自分に当てはまるとは限らないし、だいたい当てはまりません。

ネットに落ちている情報は「そういう話もあるんだ」くらいにとどめるくらいがちょうどいいです。

ポイント2 言い切り型には注意

一つ目にも繋がる話で、万人に当てはまらないなら、言い切ることは不可能。

「お米を食べなければ痩せる!」

みたいな言い切り型はわかりやすいから情報が伸びやすく拡散されやすい。

もちろん正しいこともあります。

でも「本当にそうかな?」「自分にも当てはまるかな?」という批判的な目で一度立ち止まることを癖づけるのが肝要。(クリティカルシンキングなんて呼ばれますね)

ポイント3 エビデンスの質を確認する

「エビデンスがありますか?」なんて言葉が飛び交うこともあり、解釈が難しいところもありますが、本当に証拠があるの?と言い換えられるかなと。

ざっくりいうとその知見は
・ヒトで効果があるか(試験管や動物レベルではないか)
・ただの意見ではないか(証拠があるか)
・複数人で確認されているか
・因果関係があるか(相関ではないか)
・適切に設計された実験か

などなど。

後半にいくにつれ、正直判断するのは困難ですが、「ただの意見ではないか」はわりとよくあるパターンなので、これをまず頭に浮かべるとよいかも。

ま、エビデンスばかりを重視して目の前で起きてることを無視するのもよくないけどね。この辺りのバランスは難しい。

いつかちゃんとまとめたいと思うけど、詳しく知りたい人はこちらをどうぞ。

ポイント4 出典は公共機関が良い

エビデンスがある=出典があるので、それがどんなものか。これも見極めは難解です。

私が頼りにしているのは「教科書」と「公共機関が出したもの」の二つ。

教科書はいいとして、公共機関の中でも特に省庁のものは(分かりにくいし)(面白くもないけど)質は非常に高いです。

特に食生活や栄養という意味では以下の3つ。

食事摂取基準

食事バランスガイド

健康食品の安全性・有効性情報(栄養ではなく機能性の話)

他にも、ちゃんとした学会が出しているガイドラインも参考にできるものは多いですね。(この「ちゃんとした」かどうかの判断が意外と難しかったりもしますが。。)

これらを引用していたら、一つ信頼して良い指標かもしれません。

ポイント5 最新の情報には注意

最新の論文に書いてあることってなんかすごそう!

・・・と思いがちだけど、ちょっと待ったほうが吉。

その論文の質を確かめるには細部まで読みこみ、エビデンスの質を確かめて、とまでしなければならず、正直これを全てにおいて実施するのは不可能。

大丈夫です、本当にすごく画期的で効果があるなら、いずれ公共機関がガイドラインにしてくれます(つまりポイント4に載ります)

なので、ポイント4で出した基本がすべて身についた上でプラスαとして考えるならまだしも、こういった枝葉末節に心を揺さぶられて焦る必要はないので安心してください。

医師や管理栄養士など資格を持っている方のアドバイスを古臭く感じることもあるかもしれません。でもそれは古臭いのではなく、それだけ地盤がしっかりしてるということなんです。

ただ、研究者としては最新の知見は面白くて好きなんですけどね。知識としても研究としても。その気持ちを抑えつつ、まずは基本を押さえよう。

ちょっと前にツイートしたこちらのはこういうことを伝えたくて書きました

ポイント6 発信者の肩書きは気にしない

「〇〇大学名誉教授推薦」「医師が進める最強の〇〇」

よく見かけますが、肩書だけで判断するのはやめましょう。

残念ながら、肩書があることは正しい可能性は高いものの、やはり質の低いものも数多く見てしまいました。

必要十分条件ではないというだけなので、中身で判断しましょう。

特に気を付けるべきは、その情報を発信することでその人に何か利益があるかですね。

例えば情報商材を売ろうとしてないかとかね。確かに有益な情報を発信した結果お金を取ることもいいとは思うけど、その因果が逆転する(お金をもらうために発信する)ともう駄目ですね。

企業の人も自社が儲かった方が生活が楽になるはずなので、そういう視点で見てもらった方がよいでしょう(そう、私のことです)

ポイント7 病気が治るなどの発信は基本スルー

「これを食べたら病気が治る」「この栄養素で病気を予防」

この辺は基本信じないこと!!これ一番大切です。

なぜ大切かというと、本来治療を受けなければならないところに「この食品を食べるだけでいいんだー」となってしまうと、治療機会を逸してしまうと取り返しがつかなくなるから。

ただし、ごく一部例外があります。

なので基本は信じないとして、どうしてもという場合はここまでに書いたような情報源を参考にしたり、身近な医師、薬剤師、管理栄養士に相談しましょう。

最後に

というわけで一言でいえば、批判的な素養を身につけて簡単には信じるなってことなんですが、、、

それってはっきり言って面白くないんですよね

「トマト食べたら健康にいいよ!」「いいね!帰りのスーパーで買おう!」

みたいな方が楽しいし、結果的に健康になるかもしれません。

なのでここまで書いておきながら逆行するけど、私のスタンスとしては、簡単に試せて後戻りできるようなことなら、とりあえずやってみるという選択肢は全然アリだということ。

その場合はいつまでやるか、なぜやるか、何を期待するかなど整理は必要だし、後戻りできるかの判断も必要。以前まとめた↓の感じ。

その辺の兼ね合いは難しいんですが、あまり極端に走らないようにしましょうねということかな。

今回は栄養情報を読む時、つまり「受信」するときに私が気を付けていることをまとめてみました。

ではこれらを踏まえて私が「発信」するときに何に気を付けているのか、またな「なぜ」情報が氾濫するのかについてもいずれまとめたいと思いますので、その時にまた会いましょう!

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