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デザイン思考と研究プロセスの比較
以前Twitterでこんな発言をした時に、多くの研究者の方から共感してもらえました
研究センスが良いとは
— じゃぐ@食品研究 (@food_juggle) October 7, 2020
実験するまでの
-目的や仮説などスタートが明確
-実施可能な研究手法の弾が豊富
-上記ストックから選び方が秀逸
実験するときの
-技術が安定しており精度が高い
実験してからの
-成功と失敗の定義が明確である
-失敗の原因追及可能な試験設計
-結果を多面的視野で考察できる
で、もうちょっと頭の中を整理したくて、FoodClip様の場所をお借りして「仮説思考」についてもう少し詳しく書いたのがこちら。
研究というより実験一つ一つの話ですけどね。
ということで、前回書いたデザイン思考の基本の型とこの研究プロセスは何が違うのか、何が近いのかを比較してみた。
研究プロセスの振り返り
1.目的設定
まずは何故実験をするのか、何をするのか。ここがブレるとこれ以降の作業が全て覆ってしまうため、非常に重要なポイント。
2.背景調査
目的が決まった後(あるいは決めながら)、すでに近い実験がされていないか事前調査。実験条件の参考になりるし、場合によってはわざわざ実験しなくても済むかも。
3.仮説構築
調査後すぐにでも実験してみたくなるものですが、一旦落ち着く。1,2で課題と解決策に対する調査をして発散させた後に、こんなことが起きるのでは?それをどうやって確かめるか?といういうことで、仮説の形で収束させる。
4.実験設計
仮説に基づき、実験の条件を緻密に設計。例えば、どんな水準(何と何を比較するか)で、どれだけの例数(試験をする数)で、どんな測定方法で、など。ここで実験の成功失敗のほぼ全てが決まると言っても過言ではない。
5.検証実験
ついに検証!お金がかかったり経験が必要だったりと、苦労することも多いですが一番ワクワクするね。
6.データ整理・可視化
無事に入手したそのままのデータ(生データ)を加工し、そのデータがきちんと取れたのか、どんな性質のデータが取れたのかを確認する作業が入ります。地味だけど超大事。
7.データ解析
3.で構築した仮説が正しかったのか否かを確認する作業。ここで大切なことは感覚的に判断せず、統計学に基づいて仮説を検証することが大切です。ここで統計的に処理できないようなデータ取得をしているのであれば、そもそも4.の実験設計でミスを犯している。
8.考察
解析結果と仮説を照らし合わせて、例えば「2.の背景情報との違いは何か」「3.の仮説は正しかったか?」「4.の実験条件の範囲外の何がわかってどこが限界点なのか?」などを精査。
9.結論
1〜8をまとめると完成!
デザイン思考に当てはめてみる
ということで、研究プロセスをデザイン思考のずに当てはまるとこうなる
ものすごい偏重。ポイントは二つあって。
①研究プロセスはテスト(実験)に重きが置かれている。これはすごくいいことだと思うんです。実際はテストで新たな仮説を得たいのに、ここの設計が悪いと欲しいデータを取りに行くだけでなんの意味もない。デザイン思考はもっとここに注力すべき。
②研究プロセスは課題や解決策(つまりSTEP1〜3)の設定が少ない!これは課題が明確で議論の余地がないこと(ある意味腰をどっしり据えている)、解決策に新規性や進歩性を求めることが多いからかな?またここでいう課題がユーザーの課題というより技術課題であったり、そもそも課題自体を見出すために実験したり、課題の意味合いが違うのもあるかも。
つまり何が言いたいかというと
研究者はSTEP5のテスト自体の実施やその前後の仮説思考やデータ解析はむちゃくちゃ得意で、おそらく他の追随を許さない存在。
また、STEP3の解決策のアイディエーションも最新の情報をキャッチアップできている研究者なら、普通の人の持っていない発想が出てくるはず。
つまり研究者がSTEP1でユーザーに共感し課題の大風呂敷を広げて、STEP2で問題を定義できできるスキルさえつければ最強のDesign Thinkerになれる素質があると私は思っています。むしろ普通の人はSTEP3や5の方に苦心すると思うんだ。
ということで、今回はこんなところで。
少しずつデザイン思考を身近に思ってもらえてきたところで、一つずつどんなフレームワークがあるか紹介していきます。
ただ、フレームワークはあくまでフレームワークであって、これを埋めるのが目的ではなくデザイン思考のプロセスを抜けもれなく回すため、さらに言えばユーザーの課題に迫るための手段だということは絶対忘れてはダメ。
たまにペルソナ作りに躍起になって、結局何したかったんだっけ?みたいなのを見かけますしね。
ではまた次回!
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