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キノコ

我が家のトゥルッリの円錐形の屋根から屋上へ上ると、この数日間は朝6時半ごろ東の空から上る太陽と西の地平線のすこし上にあるまんまるい月を同時に見ることができました。
ひんやりと清々しい朝の空気の中で360度見渡せる田園地域に住んでいるからこそのその風景に、田舎暮らしの諸々の不便さも忘れます。
10月の最終週末に夏時間が終わり時計の針を1時間遅らせるまであと1ヶ月、日の出の時間がどんどん遅くなって、緯度が高いことを実感します。南国のイメージがあるかも知れませんが、南イタリアは日本では東北地方と同じぐらいの位置にあります。

中秋の名月はプーリアの我が家からも綺麗に輝いて見えました。先週は何度か短時間の雷雨があったため、キノコも満月のタイミングで大収穫となりました。ざっと見ただけでもポルチーニの一種や日本のハナイグチに似た種、地元でププラッツと呼ばれるグリルして食べるとさつま揚げのような味と食感のあるものなど7、8種類はありました。我が家周辺には大きな森はありませんが、歩いていける距離のちょっとした薮でもタイミングが良ければ1、2時間ほどで3人では一度に食べきれないほどの量が採れます。我が家のきのこ担当はもっぱらジョヴァンニで実は私は滅多に同行しません。キノコを見つけるのも見分けるの下手だし歩く速度も遅いので気がつくと薮の中で迷子になりそうなことが何度かあって、楽しめないのです。そこで収穫後の下処理も調理も全てお任せしてキノコに関してはもっぱら食べる人担当です。

自生のきのこ採集には自家消費の場合でも市役所が発行する許可証が必要で、そのために保健所が主催する勉強会に出席する義務があります。習得費用や有効期限などは各自治体によって違います。取り締まりは財務警察及び森林警備隊の担当ですが、我が家周辺ではキノコ狩りをチェックするために巡回しているという話は聞いたことがありません。逆に言えば商売になるほど採れる訳ではないということです。よく見つかるスポット、食用か否かの判別、また下処理の仕方などキノコに関する知恵や知識はまさに超ローカルに経験しながら受け継がれるべき貴重なものですが、身近にそれを引き継ぎたいという人が見当たらないのが残念です。

それだけではなく人が住んでいない広々とした野原や薮に自生しているキノコであっても他人の私有地であれば、ことわりを入れてから採りに行くという礼儀は欠かせません。日頃の近所付き合いがあってこそのことです。ただ近頃は別荘を求める都会人が多くこの辺の地価が上がっており知らないうちに地元民以外の人に所有者が代わっていることもあります。そうなってくると家族代々伝わってきた昔ながらの食文化に関するノウハウを一般に伝え教える講習会などの機会や、新たなコミュニティ作りが必要になるということでしょう。

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大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。
 そのジョバンニ・パンフィーノと,日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をしたり、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。
https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。
 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア 
http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール 
http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア
大橋美奈子

      

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