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ゆっくり朗読 「下駄拵え」2017年3月5日

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3月5日
白貫雪(しろつらゆき)と言う白と黒のデタラメな化粧をした木乃伊の様な小人の女と背中を丸めた顔が大きく黒紫色をした醜女が話しているのを見ている。声を出してはいけないのに咄嗟に声を漏らしてしまって私は布団を裂いて布下駄を作らないといけない。布下駄作りのルールは、誰にも教えてもらってはいけない手伝ってもらってもいけない。左足に穿かされた下駄にできるだけ似せる事。暗くなったら寝たふりをする事、背中をできるだけ低くして。それから暗くなって背中に乗ってくるものを見てはいけない。下駄作りも中盤になると暗転しやすくなってくる、背後からのものが肩と床の隙間に手を忍ばせ引くと私の体は宙に浮き「連れていかれ」そうになる。そこを醜女が腕を掴んで引き返した。連れて行く連れて行くと喚く黒く細長い物と私の母姉妹が交渉をして長女が簪で死ぬ事で決着がついた。

詩「下駄拵え」

3月5日
白貫雪と言う白と黒のデタラメな化粧をした木乃伊の様な小人の女と背中を丸めた顔が大きく黒紫色をした醜女が話しているのを見ている。声を出してはいけないのに咄嗟に声を漏らしてしまった。二人の女は私を目視した。私は呪われたのだ。
呪いを解くには、布団を裂いて布下駄を作らないといけない。
布下駄作りにはルールがある。
ひとつ、誰にも作り方を教えてもらってはいけない。
ふたつ、手伝ってもらってもいけない。
みっつ、左足に穿かされた下駄にできるだけ似せる事。
よっつ、暗くなったら寝たふりをする事。
いつつ、背中をできるだけ低くする。
むっつ、暗くなってから背中に乗ってくるものを見てはいけない。

私は小さなお堂に閉じ込められ下駄作りを始めた。
布団を千切って左足の下駄に似せて下駄を作る。まだ日が高いのに時々電気を消したように暗くなる。そうなったら布団を被って寝たふりをする。目をつぶって何者かの足音が無くなるのを待つ。
下駄作りも中盤になると暗転しやすくなってくる。
背後からの者が肩と床の隙間に手を忍ばせ引くと
私の体は宙に浮き「連れていかれ」そうになる。
寝たふりがばれたのだ。あぁ、目が合ってしまう。
もう駄目かと思った時、黒紫の醜女が腕を掴んで私を引き戻した。

私はそのままお堂に閉じ込められたままだ。
外の話声が聞こえる。連れて行く連れて行くと喚く黒く細長い物と私の母の姉妹が交渉をしていた。
細長い者はルール違反をしているから私を連れていくのは不当だと主張している。
結局、姉妹の長女が簪で死ぬ事で決着がついた。


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