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映画に音という色を添える仕事。

ヘンテコリンな仕事。

フォーリー アーティストという肩書きで色んな音を作る仕事してます。カナダという国でやっています。フォーリー とは映画やドラマシリーズなどに後付けする効果音の中の一部です。足音だったり、物を掴む音だったり、立ったり座ったりの音、食べる音、書く音、めくる音、などなど場面の中で俳優さんや、動物の動きをも真似ながら音をつけていく作業です。愉快かつヘンテコリンなお仕事です。

そんな私の仕事場で生まれる音たちとそのプロセスは滑稽ながら遊び心もいっぱい。

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音がくれる親近感。

映画の「音」と言っても色々な役分けがあります。セリフ、音楽はもちろん、スペシャルエフェクト、アンビエンス、フォーリー などに分かれます。前に挙げたような部分を担当するフォーリーは、効果音の中でも「花形」な音ではないことが多いんです。ひっそりと親近感、臨場感を添える手伝いをしてることが通常。どんな映画においても日常の音を細心の注意をもって再現していくことが多く、それがまた面白いんです。そこがしっかりあってこそ、「盛り」の部分もモリモリ生きてくる気がします。

もちろんアクション映画ならガッシャン、ドッカン、ホラー映画ならグチャグチャ、ドロドロ、モンスター映画になれば、ズッシン、メキャメキャ、みたいな音を作るのもやっぱり面白い!

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なんで音を入れ直すの?

1、いろんな音を別々に録り、細かく調整していい音に仕上げるため!

2、現場での録音環境が最適でなかったため!

3、外国語吹き替え版の制作!

現場の音声さんは俳優さんのセリフを綺麗に録ることが最優先。その他の音は後付けするケースが、特にハリウッドでは多いわけです。後付けの音はセリフの邪魔にならないよう細かく調整する事ができます。

現場の録音環境とは例えば、時代劇なのにトラックや飛行機の音が入ったとか、俳優さんの歩いてる洞窟のセットからハリボテな音がしちゃってるとか。そういった場合には音を差し替えてあげます。現場では録れなかった音、現場にはいなかったモンスターの足音などなど、付け足しもやります。

外国語吹き替え版に至っては、現場で録った、セリフの入ってる部分は全とっかえになりますから、必要な足音から、衣擦れの音から、全部入れ直しになるというわけです。セリフ以外の音が全部ある状態を作ってあげて、違う言語でアフレコしたら、外国語吹き替え版の出来上がり。

ガラクタが、楽器。

フォーリースタジオは色々な種類の床面やドア、窓、テーブルや椅子、小道具で溢れかえっています。リサイクルショップやゴミ捨て場から音の出るものならなんでも拾って来ちゃうのはフォーリーアーティストの性分で、とにかくいろんなものがあります。

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映画の音を少しだけよくする為だけに日々、歩いています。一歩も前に進む事なく歩きます。毎日テクテクトコトコ。しかしながらこんなさりげない作業の中にも輝くものがあります。それをこれからも一生懸命届けていきたいと思っています。

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