心臓が止まった②

①の続きです。

23時ごろに救急車で病院に到着。
搬送された病院で、すぐに抗原検査をされた。
結果が出るまで、身体のいろんな箇所を聴診器で心肺を確認。
心電図を付けられた。
人生で初めて心電図のモニターを見た。
自分でも分かるぐらい、波形が変な形をしている。
僕は高血圧持ちだが、血圧や心拍数などの数値も異常に低い。
血中酸素を測ると、数値は86と出た。


新型コロナウイルスの重症度分類

上記の表を参考にすると、
血中酸素86は重症に分類される。
かなり重い。

看護師さん達に、家族はどこにいるのかを聞かれた。
僕は現在長野県に在住の1人暮らしをしている。
家族は、大阪に住んでいる。
看護師さんから、両親に電話して欲しいと伝えられる。
母親に電話すると、電話に出ない。
父親に電話したら、出てくれた。
看護師さんにスマホを渡し、父親に僕の状況を伝えていた。
後ほど父親からその時の話を聞くと、『非常に危険な状態のため覚悟しといて欲しい。』と言われたらしい。

ストレッチャーに乗せられたまま、長い時間待たせられる。
息苦しさ、動悸、めまいで苦しい。
呼吸器内科のお医者さんが来てくれた。
お医者さんが看護師さん達と何か話し合っている。
僕が、コロナ陽性だと結果が出たらしい。
コロナ陽性と判明した途端、お医者さんや看護師さん達が防護服に身を包み始めた。

防護服に身を包んだ看護師さんに、『心臓が弱っているから、緊急手術を行います。』と伝えられる。
手術や貴重品に関する同意書の説明を受け、サインをさせられる。

自分は今まで手術や入院をしていなかったため、焦る。
この時に、過去の映像が流れてきた。
走馬灯だ。
走馬灯は、映画館で映画を見ているような感じで、過去の映像がジェットコースターの早さで流れる。
例えると、マーベル映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の冒頭、亡くなったチャドウィック・ボーズマンの映像が流れたあの感じ。

走馬灯では、自分の幼少期から今までの楽しかった映像が流れる。
母親と公園の遊具で遊んだ映像、中学校の卒業式、高校での応援団、社会人でお世話になった方々とキャンプした時。
いろんな楽しかった映像が流れた。
『まだ、27歳なのに死にたくないよ…』と涙が出る。
両親や祖父母も生きているので、みんなよりも先に亡くなることは1番避けたいと切に願った。
こんな最悪な親不孝したくないよと。

緊急手術をすると伝えられたが、なんだかんだ1時間ほど待機させられる。おそらく手術の準備をしていたと思う。
手術の準備が出来、僕も私服を看護師さん達に脱がされ、裸になりその上から手術用の布を被せられる。
ストレッチャーで手術室で移動させられる。
『死にたくないよ…』とまた不安になる。
手術室の中に入る。
『手術室って、ほんまにドラマや映画と同じ感じなんや』と感心する。
ストレッチャーから手術台に移動する。

部分麻酔を受ける。
そこから手術の説明を受ける。
手術の内容は、心臓があまり動いていないため、心臓を補助する機械を入れる手術。
右股関節の大動脈から機械を入れ、心臓に入れる。

お医者さんと看護師さんだけで10人ほどいる中で、手術が始まった。
痛みもなく、機械を入れている感じもない。
股関節から温かい血が溢れ出て垂れているのが、かすかに感じる。
担当医の方は顕微鏡のようなもので見ながら、看護師さん達に指示を出している。
クレーンゲームのように僕が乗っている手術台が動く。
血管などを傷つけないように慎重に機械を入れているようだ。
僕の額に溢れ出る汗を看護師さんが拭いてくれたり、
水を飲ましてくれる。

手術は2時間ほどで終了。
無事、手術は成功。
とりあえず一安心した。
この時点で深夜3時ぐらいだった。
こんな時間に手術してくれたお医者さんや看護師さん達に感謝した。
これで家に帰れると安心した。
安心したのかそこから記憶がない。
おそらく寝たと思う。

しかし、これからもっと大変なことになるとは思いもしなかった。
ここから地獄が始まるなんて。
③へと続く。

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