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なぜワタミは、焼肉屋に業態転換するのか?

居酒屋を焼肉屋に業態転換と発表

ワタミは昨年10月、2022年3月末までに、保有する360店舗の居酒屋店を120店「焼肉の和民」に転換すると発表しました。

なぜ焼肉屋なのでしょうか?焼肉は、確かに美味しいですが、それだけで3分の1も業態転換するのは、不思議と思いGoogle検索してみました。

株式投資で信頼の高い「会社四季報ONLINE」がヒットしました。
https://shikiho.jp/news/0/410497

コロナ禍でも人気を誇る焼肉屋

帝国データバンクによると、昨年の飲食店の倒産件数は過去最高の780件であり、その中でも酒場・ビヤホールは、最多の24%を占めています。そういった状況においても焼肉店は好調で、日本フードサービス協会の20年売上高は前年比11%減とファミレス全体の減少率22%を下回ったとしています。
同コラムでは、焼肉屋は各テーブルに無煙ロースターが装備されており、換気の良さに加えて家族需要を捉えることができたため、コロナ禍で人気が堅調であったと分析しています。
緊急事態宣言が再々延長しているなかで、今後も人々の衛生意識が高まることが予想されます。焼肉店は堅調に推移していくことが想定できます。

データで裏をとってみると・・・

ただそれだけでワタミが業態展開するのには説明不足な気がします。
そこで経済センサスから統計数値を抜き出し、グラフ化してみると意外な事実が浮かび上がりました。
下図は、2014年経済センサスにおける主な外食産業の事業所数です。(令和元年版はまだ事業所数の集計がアップロードされていません)

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圧倒的に多いのは酒場・ビヤホールです。全国で約10万軒ありますが、焼肉店はその7分の1、1万4000店しかありません。加えて次のグラフでは、その収益力の高さが確認できます。

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焼肉店は、1事業所あたり売上金額でベスト3に入る4500万円となっています。
2つのグラフを見比べるのが大変なので散布図にしたものが以下のグラフです。

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事業所数と1事業所あたり売上金額をクロスさせ平均値を軸として4象限に分割すると、焼肉店は右上の象限に入ります。事業所が少なく、収入が多い「おいしいゾーン」です。
すなわち競合が少ないわりに儲けが大きいということです。
この象限には、すし店や日本料理店が入っているのが、そうしたイメージをしやすくしています。
しかも、すし店や日本料理店で繁盛店になるには腕のいい「板前」が必要ですが、焼肉店にはそれほどノウハウは必要ないと思われます。

結論!魅力度と多店舗展開しやすいメリットがある

この分析を通して、焼肉店はコロナでも人気が高く、且つ“ビジネスとしてのうまみ”のある業態(競合が少なく儲けが多く、尚且つ出店が容易)ということが分かりました。
ワタミ程の資金力があれば、大量出店による仕入れ食材のコストダウンやロボット配膳機などによるオペレーションコストの低減も可能です。さらに肉を見る「目利き力」も標準化が可能と考えられます。

以上、ワタミが焼肉店に出店する理由は、【業態としての高い魅力度と多店舗展開の容易さ】によることが分かりました。

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