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Photo by
inagakijunya
テトラポットと僕
チャイムがなりクラス委員が号令をかける。
50分間の戦争の始まりだ。
皆、色とりどりの戦闘具を用いて互いに牽制し合う。
黒板の文字だけでなく、先生の発言まで事細かにノートに筆を走らせる。
時折、先生から質問が入る。
その時間が唯一の停戦時間。
皆、武器を机に置きその手を高らかに挙げる。
「馬鹿な奴らだ」
心の中で呟く。
今、武器を手にしているのはこの教室でただ1人だけ。そう僕自身だ。
30人クラスで先生から当てられるのは1人だけだ。リスクが大きすぎる。
それなのに周りのやつは僕を変な目で見てくる。
もちろん質問の答えは分かる。当たり前だ。
僕はあえて丸腰にならずに、最後まで攻めの姿勢で貫きたい。
たとえ誰に何を言われようとも。
シャープペンシルに0.5ミリの弾丸を詰め込み、狙いを定める。
定規で間合いを確かめ、消しゴムで反動を抑える準備をする。
「さあ今日こそやってやる」
.........ポキッ!
狙いを定めたはずの弾丸はノートの3行目で
真っ二つに折れてしまった。
「また力んでしまった...」
それからのことは記憶にない。
戦意を喪失し退却を余儀なくされた。
「明日こそは」と気持ちを切り替え、決戦に備えて試行錯誤をする。
僕の力みをあらゆる方向から吸収してくれるテトラポットのような弾丸が僕は欲しい。
※この文章はフィクションです。
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