不妊治療② 排卵誘発と人工授精
市内から一時間かけて通い始めた新しいクリニックは、紹介で通い始める方が多い、実力派のクリニックでした。
このクリニックでの不妊検査結果、早速 プロラクチンの血中濃度が高い、高プロラクチン血症であることがわかり、カバサールという錠剤を服用し始めました。
同時に、セキソビットとクロミッドによる排卵誘発を行うことに。
排卵誘発をすると、誘発しなかった月に比べて卵胞の育つスピードが早く、排卵周期が早くなります。
薬で刺激している分、排卵痛がイタかった。
(排卵痛とは、卵子が排出される時に卵胞が破れ、卵胞液と血液が流れ出して腹膜を刺激することから起こるもの。)
ただ、タイミングを法では成果が出ず、誘発は続けたまま、人工授精にステップアップすることに。
人工授精はスケジュールが立てにくく、仕事との両立に苦戦しました。
不妊治療で一番しんどかったのは、この時期です。
週に2-3回、定時後にクリニックに通いながら卵胞の大きさを測定し、排卵日を予測。排卵がきそうな日の前日にhCG注射※を打ち、排卵のタイミングで人工授精を行なわなければなりません。
なので、「明後日あたりに排卵がきそうですね。明日hCG注射打ちに来てください。明後日は何時に人工授精しますか?」みたいな事を普通に言われ、ドタバタと休みを取る調整をするのでした。
せっかく卵胞を薬で育てても、仕事の調整がつかず一周期見送りになる事もありました。
毎回、診療時間ギリギリ(時間を越して先生に待ってもらう時も…)にかけこむのが常態化した私に、
先生が「FMKさん、あまり立ち入った事言いたくないですし、仕事熱心なのはいいですけどね。会社はあなたの人生の責任を取ってはくれませんよ。」
と、厳しく言ってくださった事もありました。
人工授精は、8回やりましたが、全部ダメでした。
正確に言うと、検査薬で陽性が出た周期に、血の塊が出てくることが度々あった。化学流産です。
また、前の周期に育ってた卵胞が遺残卵胞となり、そのまま育ち続けて巨大化(40mm)し、肝心のもう片方の卵胞が育たなくなる症状が続き、ピルを飲みながら卵巣の動きを止めることもありました。
通勤時 会社に向かう橋の上で、もう疲れた、身を投げたいと、月に一回、リセットが来るたびに考えてしまうので、小走りに橋を渡りました。
怒りや、やるせなさを全部仕事にぶつけるように、とにかくがむしゃらに働きました。
仕事にはたくさん救われました。
不妊治療で初めて知ったのは、世の中には、頑張ってもどうにもならないことがある。
むしろ、頑張れば頑張るほど、努力すればするほどに、ダメな方向に働くこともある。
その事実は、これまで勉強や仕事をコツコツ頑張り、『努力はいつか報われる』が信条だった私にとって、最高に皮肉なものでした。
FMK
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