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足がつかない椅子を買うとしよう。


引っ越し計画も着々と進み、一泊二日の東京旅も終盤に。

今日はあの子に会う。

珍しく現地集合を選んでしまった私。
果たしてあの子はココにたどり着けるのだろうか。
東京砂漠の餌食になっていないだろうか。

12:00集合の本屋で1人本を読む私。
一件のLINE。

くまざわ書店だよね???

?????

GLとか成城石井あるよね???

????

おっと、これはフラグ回収か、

下高井戸にいるよね?

え、まって、調布にいる!!

真逆だよ。

さすがだと思ったし、これはnoteに書くべきだと思った。

私は彼女が一人で上京する事にとっても心配の念を抱えていた。なんだか危なかしい。天然で少しだけ雑。

シナリオ通りにことを進めてくれた事に感謝。


下高井戸の本屋で落ち会おうと約束した。

時間になっても来ないのは慣れている。

昔、デートの約束をして慣れないスカートを履いていったことがあった。待ち合わせ場所に行くと相手からの連絡がパタリと途絶えてしまった。

そんな淡い記憶を久々に引きずり出してくれたのは紛れもなく小さい彼女だった。

焦りながら、小走りで駅の改札を抜けている彼女を想像すると笑いが込み上げてくる。

可愛らしい。は彼女のために作られた言葉だと。

彼女が調布脱出ゲームを楽しんでいる間、私は先に店に入ることを決めた。

キーマカレーが美味しいカレー屋。

彼女が遅れて登場することを店員に告げ一人席に着く。

バタバタと店に入ってきた彼女は小さい体には少し大きすぎるオーバーオールを身に纏っていた。見覚えのあるその服は、一緒に働いていた頃によく着ていたものだった。

近況報告も早々にキーマカレーとチキンカレーのダブルを頼む。

コーヒーも頼む私たち。

ストレスのせいでカフェインを摂ることを許されなかった彼女がコーヒーを飲めるようになった事に安堵した。

カレーに舌鼓を打ちながら、引っ越し日が確定した事、部屋が決まった事、最近の仕事事情を話す。

無駄な残業をさせられ、それに対しての怒りを感じ、回転寿司屋で二人泣いたあの夜を思い出した。

私が休みの日に泣きながら電話がかかってきたあの夜を思い出した。

一緒に過ごした年末年始。年を跨ぐ瞬間に前髪を燃やしてしまった私、それを笑うあいつら、そんな夜を思い出した。


身長142センチのあなたと167センチの私はあまりにも凸凹すぎる。それを埋めるように毎日を一緒に過ごした。私たちの大きなギャップがいつしか心地よくて、鍵をかけたくなるほど大切なものになっていた。


これから予定を合わせずに会えることを考えると胸が躍る。

リセットボタンは絶対に押さないけれど、新しいカセットテープを回す事にする。

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