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結んで開いてゆっくり握って

夏になる前、少しだけ寝苦しい夜に飲むヒヤヒヤの炭酸水、若干の飲み込みにくさに夏の訪れを感じる。

午前中指定の宅配物、いつもは12時ギリギリにしか来てくれないのに晴れの今日だけ9:30。

タバコを買いに行くその足の靴紐を結ぶ途中に気付くポッケの中の一本。

お金に困る状上京生活、ローカルな友達ができていつもよりペースの早い梅酒はロックで。

上手く書けない夜に限って友達との会話が弾む町中華。


空腹ペコペコで帰ってきた家にある賞味期限ギリギリのサバの缶詰。


ノミほどの小さい幸せでいいんです。
まぐれあたりでこの世に生を受けてしまった私たちなのですから。不幸は数えずに幸せを一枚一枚フォルダに永久保存したいです。

電車の角席がたまたま空いていたり、いつもより小銭を上手く使えたコンビニ、息をたくさん吐かなきゃ履けないデニムがちょっと緩くなってる、大好きな人に文章を褒められる、先月よりも安い光熱費、ローカルトークが通じる東京の立ち飲み屋、泳いでる時に広がる泡の世界、閉店ギリギリにかき込む濃い味チャーハン、

小さな幸せにはさりげない背徳感とちょっと罪悪感、そしてそれらに勝る幸福感、


絶対いいことあるよ!なんて無責任な態度は取らないで、アスファルトに咲いてるたんぽぽを見つけるくらいの幸せが好きなんです。


お腹を壊して休んだ仕事、お家でダラダラしてたらネットで見つけた可愛い雑貨屋、そんな日に限って夜は元気、ちょうどいい灰皿を求めて出る家は笑顔で行ってらっしゃいと見送ってくれる。

ほら!私幸せよ!幸せが来たのよ!と言われるとちょっと引いてしまうから、あ、こんにちは、いかがお過ごしですか?と控えめに登場する幸せがいい。

サイズはなんでもいいからちゃんと手に握れるものがいい。大きすぎると溢れちゃう。小さい方が大切に携帯できるから。


今日はいつもみたいなリズム感が取れないけれど、1日ぶりに餃子世界へ向かうから、そんなちっぽけなこと気にもならないわ。

ふわふわしていてちっちゃいけれど、確かにあるもの。小確幸でいいじゃないか。

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