「セイバーメトリクスの落とし穴」を読んで

こんばんは!NARUM!です


今日はお股ニキさん著の「セイバーメトリクスの落とし穴」という本の感想を書いていこうと思います。


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本書はTwitterを中心に人気を博す野球評論家、お股ニキ(@omatacom)さんの初となる著書です。
お股ニキさんの野球歴は中学の部活動(途中退部)までですが膨大な試合観戦による研究、多角度からのデータ分析により磨き上げた感性からプレーや采配などに関してのツイートがMLB選手のダルビッシュ有投手の紹介をきっかけに現在3万を超えるフォロワーを抱える野球評論家となった経歴があります。
今ではプロ野球選手にもアドバイスをするなどその豊富な知識と感性は多くの注目をあつめています!

そんなお股ニキさんのアカウントはこちら


現在は「なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか」「ピッチングデザイン」と合計3冊の著書がありますが初の著書である本書を読了しました。


読み終わった率直な感想としては…


めちゃくちゃムズい!!


野球歴14年目になった僕ですがとても情報量が多いです!!
読了までに数ヶ月かかりました笑
それでも理解しきれてないので今後何度も読み返して理解していこうと思ってます。
本書が「お股ニキ入門」と位置付けられているから著者の知識量に驚きです。


さてさて、では読んでみての感想をかいていきます。


本書を読んでいて3つのキーワードが大切だと思いました。

それは「大局観」「バランス」「本質」 です。


1つ目の「大局観」ですが、これは特に監督には必要になるスキルではないでしょうか。
経営者にも大事と言えると思います!


プロの試合数はNPBで143試合、MLBでは162試合(2019年のペナントレース)と多くの試合数をこなします。
その中で大体5割を超える勝率だと優勝争いができます。
また野球は打者で言うと打率は3割打つと強打者と言われる世界です。


という事はチームとして5割弱は負けても優勝争いが出来るし、打者も10回に7回失敗しても強打者と言われる世界なんです!


著者はここをしっかりと頭に入れる必要があると伝えているように感じました。
長いペナントレースでもちろん勝つ事は大事ですが、毎回1戦必勝で主力をガンガン起用すると疲れも出て故障にも繋がりやすく終盤の大一番で力尽きる可能性が高まります。
1年を長い目で見て時には捨て試合や割り切って若手を起用する采配が必要だと言う事です!


打者でも将来有望のホームランバッターが多少不調になってもそこで目先の結果を求め過ぎてヒット狙いを指示して小さくまとまってしまったら今後の可能性を潰しますよね。
それよりも可能性と今欲しい結果を天秤にかけ、多少の不調には目を瞑ってより大物になる方に賭ける選択肢も持つと言う事も必要になります!


まとめると、目先の結果を見過ぎるのではなく長い目で見てどちらがプラスになるかという考えも大事だと言うことです!
これはデフレが進む中、コストカットや人材削減に躍起になり負のスパイラルにハマる現在の日本にも言えることかもしれません。


2つ目の「バランス」ですが、これは本書を読む前から僕がとても大事にしていることでもありました!お股ニキさんと是非飲みに行きたいです!笑


さてこのバランスですが、現在の野球では指標をとても重視する風潮にあります。
打者の価値を表すOPSや選手の評価を表すWARに代表されるような数多くの指標が登場し、選手を多角的に評価出来るようになりました。


しかしこの指標を絶対としそれ以外を軽視する風潮が出来ています。
MLBの采配でも指標を大事にするあまり長打狙いの打者ばかりがズラリと並ぶ打順が組まれたり、投手が短いイニングでコロコロと変わったりとしばしば興ざめしてしまうような事態になっています。


確かにトップ選手の力と力のぶつかり合いも魅力ですが上記のようになってしまっては、本当の野球の魅力を損ねかねないと思います。
野球にはバントやエンドランといった攻撃面において組み合わせ次第で大きな役割を果たす作戦もあります(日本ではここを重視し過ぎる所もありますが)。


守備面でも継投は投手の調子や疲労、相性などを見ながら絶妙なタイミングで求められる部分が大きくそこを楽しむファンも多いため脳死でコロコロ変えてもエンターテインメントとは言えないと思います。


そもそも指標というのはあくまで数字の1つで物事はもっと複雑に絡まっているものです。
何か1つを絶対視して全てを決めて上手くいくほど野球は甘いスポーツではありません。
色んな面を広く見てよく考えてそれぞれの妥協点(バランス)を見つけてあげるのが本当の采配だと本書を読んで思いました。


様々な事象がより複雑に絡まり合っている世の中でもこのバランスの意識は大事だと思っています。


最後に「本質」です。
数年前から「フライレボリューション(以下:FBR)」という用語が野球のトレンドとなりました。
これは打撃においてフライの有効性を表すものでゴロをずっと狙うよりもフライを狙って打った方が長打が増え得点する確率が高いという文献が登場し流行しています。


FBRの登場でアマチュア、プロ問わずフライを打とうとする選手はかなり増えたと思います。


しかしどんな時もフライを打つ事が果たして正義なのでしょうか?


野球にはあらゆる場面があり長打を打ってほしい場面もありますが、重要な局面でゴロを打ったり右方向に打球を飛ばして欲しい場面などが確かに存在します。
前述しましたが野球は多くの要素が複雑に絡まり合うスポーツです。
何でもかんでも強引にフライを打つのではなく、状況に応じて自分の役割を遂行する事も時には大事なのでこのFBRを盲信する風潮には警鐘を鳴らすべきだと思います。


またこのFBRには最低158キロの打球速度が必要とされており、これはプロの中でも出すのが難しい速度でスイングに力の無いアマチュアの選手が意識しすぎてもポップフライを量産するという可能性が高いです。


こういった情報をしっかり精査して本質を見抜く力も必要でしょう。
ちなみに著者はライナーを狙う事が好ましいと記しています。


これ以外にも紹介したい部分は多いですが以上の事から物事を表面的に捉え盲信するのではなくしっかり深堀して本質が何かを考える事が大事だと感じました。


以上3点が本書で大事なキーワードだと感じました。
現在の野球について危惧するお股ニキさんの意見も書かれており大変考えさせられる1冊だったと思います。
それにしてもお股ニキさんの知識量や分析の質はとてつもないと思いました!
まだまだ僕も勉強不足だと痛感しました。
これからもっと勉強しようと思います!
本書を復習しつつ他の作品も読んで勉強していこうと思います!
皆さんも是非読んでみてください!!
それではまた次の記事で!

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