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AI特許技術調査ツールを使ってみた

昨日AIを使った先行技術調査ゼミを受講し、このセミナーでAmplifiedを初めて触りました。私はAmplifiedだけでなく、AI特許技術調査ツールを触るのが初めてです。

※当初このnoteでは具体的な題材で検索をしてスクショを撮り、それを使いながらレビューしようと考えてたけど、手間が掛かり過ぎたので挫折しました。テキストだけのレビューですみません。

以下、順にAIでの調査の手順を書いていきます。

1.入力

発明者からヒアリングしたものをベタ書きしていき、ある程度の分量を書けたらその文章を全部検索窓にブッ込んで検索します。もちろん、主語述語をちゃんと書くほうが精度が上がります。
AI調査には「検索式」や「母集団」という概念がないとのことです。

ここで、分量が少な過ぎるとPOORやLOWと表示が出ます。MEDIUMと評価されるくらいまでは詳細に記載します。

AIには特許文献を食わせて学習させているので、ここでは実施例のよう(特許の文章っぽく)記載するのがベターだそうな。

特許の文章っぽく書いたほうがいいので、弁理士や特許技術者の調査向きですね。

また、検索のための文章に課題を含めるとより良いらしいのですが、課題と本発明とをどのように区別しているのかはわかりませんでした。恐るべしAI。

2.検索実行

1で発明の内容を記載できれば、ボタンをポチッと押すと3~5秒程度で検索結果が出てきます。超早い。
別の作業をして待つ必要はありません。

AIがその内容に近いと判断したものを順にソートするようです。ですから、上から順に読んでいきましょう。
表示されるものは10件ですが、この裏には何千件、何万件も並んでいるそうな。

そして、実際に公報の中身を見て「似ている」「まぁまぁ(保留)」「関係ない」のいずれかを人力でチェック
最初に出てきた10件は人力でチェックして分類してほしいとのこと。

キーワードを設定しておくと、そのキーワードがハイライトされてより見やすくなります。

3.再ソート

その「似ている」と人間が判断した結果をまたAIに食わせることで、AIは「はぇ~、ワシが考えたものとは違うとったんか。これが似とるんやな!よっしゃ、その結果を基にもっぺん検索をやり直すで!!」と再ソートしてくれます。

これによりさらに近い文献が出てきます。ここで再学習に用いられるものは「似ている」だけで、「まぁまぁ(保留)」「関係ない」は無視するようです。

ここで、キーワードによるフィルタリングを行うとより絞れます。

1回再ソートして最初のものを含め合計20件の文献を読めば、いい感じのものが出てくるようです。それでも欲しい文献が出て来ない場合、もう一度再ソートさせる。
再ソートはMAX3回が一つの目安だそうです。

入力について(その他)

・IPCで絞ることも可能
この場合、IPCの入力は上から何桁でもいいとのこと。

・最初の文章入力の代わりに文献番号での検索も可能
つまり、無効資料を探すことに適しています。
でも全文検索するので、無効にした対象のクレームにある文言でフィルタリングすることは必要です。
※これに関して最下部の考察参照(2020/03/25追記)

結果

似た文献が楽に早く見つかりました!

元々の私の調査レベルが低いというのもあるでしょうが、FIやFタームで調査することを考えると相当楽で早いです。

1時間もあれば先行技術調査は終わりそう。

FIやFタームは難しいからキーワード検索しかしていない人にとっては、FIやFタームの勉強をすっ飛ばしてもいい検索結果を得られるようになりそうです。

費用

1つの検索=1出願用の検索で2万円です。サブスクリプションではありません。

これを高いと見るか、安いと見るか。

(2020/04/29追記)
5万円(500ドル?)/月のプランも出たようで、今までのように従量課金制かサブスクリプションかを選べるように変更されました。

AI検索の使いどころ

弊所では出願前の調査を無料(出願料にコミコミ)にしているので、従量課金制のAmplifiedを全ての出願依頼について使用するのは難しいのかなというのが率直な感想です。

しかし、
・異議や無効の調査(最下部の考察参照(2020/03/25追記))
・実施の可否を判断するための調査
・出願前の先行技術調査を有料で

といった調査単品の依頼には非常に使えるツールという印象です。

あとは顧問先には顧問料の範囲でAmplifiedを使ってもいいですね。

月額5万円の顧問先には「Amplifiedを使用した特許調査が月1回無料」とかはできそうです。
1回の調査で2万円が現金で出て行くので、その月の顧問としての稼働時間を減らさないといけませんが。

よし、これを売りにして顧問先を増やそう!w

まとめ

・AIって再学習して超賢い

調査が専門ではない弁理士や特許技術者にとってAI調査ツールは非常に強力

・サブスクじゃないので使いどころを考えないといけないが、クライアントに費用を請求できる場面ではAmplifiedを積極的に使いたい

この3月のクソ忙しい時期にレビューを書こうと思えるくらいに素晴らしかった。決して私は暇なわけではありません。

考察(2020/03/25追記)

なんかの博士さんからTwitterでご指摘がありました。ありがとうございます。

・AIは、発明者が先行技術文献探しに使うのはいいのだが、無効化を狙う場合、何をどこまで調べたのかがわからんので、使いづらい。
・リスクを考えると、無効審判とFTOには使い難いですね…。
・無効審判の場合は、技術者と、サーチャーの方と組んでやるのが今のところ一番です!

確かにそうですね。

無効資料を一本釣りできた場合にはそれでいいですが、一本釣りできなかった場合に調査報告書をどのように書くのか困りそうです。
調査に漏れが無いことの証明が難しく、上司やクライアントへの報告をどのようにすればいいのか今のところわかりません。

しかし、何でもそうですが使い方次第ですね。

弁理士や特許技術者のような非サーチャーがAIを用いて当たりを付ける。

プロのサーチャーは網を仕掛けるように従来通り論理的に調査する。

AIも万能ではないので、この使い方がいいのかもしれません。他方で、AI調査が我々の助けになることも間違いないと思います。

※他にもご意見をお待ちしています。

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