見出し画像

心臓を修理する(3) 心臓弁膜症治療日記

心臓弁膜症の診断を受けた私は1か月かけて入院と退院後の準備。とうとう入院の日に。院内は撮影禁止なので基本写真はなし。タイトルの写真はフリー画像です(ヨーロッパの病院らしい)。

11月6日(月) 入院前の検査

入院の前日、外来で検査、ようやく通いなれてきた大学病院へ。それにしても11月だというのに夏日、Tシャツで歩けるというのはちょっと異常。
まずは10時に入院面談、氏名などの確認の後、「療養支援計画書」に従って説明を受けて、確認のサインをする。部屋の希望(当然ながら大部屋を選ぶ)、レンタル品(寝間着、タオル)の契約を済ます。何をやるにも氏名と生年月日の確認、書類へのサインが求められる。面倒だが事故を防ぐためにはしかたない。入院の予約票をもらう。

まずPCR検査、陽性の時は夕方に電話があるとのこと。
検査へ、最初に血液検査と尿検査を済ます。
次は血液脈波の検査、心電図に血圧計を追加したような機械で測る。動脈硬化の程度がわかるらしい。短時間で終わる。
昼まではまだ時間があるが、最後のCT検査は午後の予約なので先に食事を済ます。最上階のレストランへ。塩分控えめなのにそこそこおいしいのがうれしい。病院食もおいしければよいのだが・・・。
午後、CT検査へ。予約時刻よりも早くできるかもしれないので午後一で窓口へ。結局待たされて少しだけ早く検査に入った。今度は造影剤を使わない普通のCT。手術のデータになるのだろう。
15時過ぎにすべて終了、お金を払って帰宅。入院の準備の確認を済ます。
18時を過ぎても病院から電話がないのでPCRは陰性だったのだろう。ぶじ入院できそう。

11月7日(火)、入院

とうとう入院の日、相変わらず暑いので、帰りのことを考えると着ていくものに困る。朝は涼しいのでTシャツの上にフリースを着ていく。退院の時はタクシーだから大丈夫だろう。

1階の入院受付で書類をもらい、8階の病棟へ、ナースセンターに書類を出して受付、病室に案内される。5人部屋は空いていなかったので最初は4人部屋。木目調の内装で落ち着いている。窓に面していて眺めがよい。名前と生年月日を言わされ(毎回なのでこれ以降は省略)、リストバンドを装着される。これで立派な入院患者になった。

指示された服用中の薬10日分とお薬手帳を渡す。「退院支援計画書」を渡され、サインする。ごく当たり前の内容、特に問題はない。寝間着やタオルの場所を案内される。勝手に取っていくシステムのようだ。広いシャワー室があって、予約しておけば30分使える。

この日は特にやることはない。すぐに昼食、塩分2gで管理されているようだ。正直言って、いわゆる病院食、おいしいとは言えない。これなら塩分1日6gの健康的な生活が送れるが・・・。早期退院への励みにはなるだろう。

家族しか面会に来れないので誰も来ない。寝ていてもしょうがないので、まだ着換えずにデイルームにパソコンを持って行ってネットやkindleの読書で過ごす。患者さん以外に、手術の終了を待っている家族が多いようだ。パソコンで仕事をしている患者さんもいる。周りに高い建物がないので眺めがよい。まだ食事の制限はないので1階にエレベーターで降りて売店(コンビニ)でコーヒーを買ってくる。夕食後はデイルームで過ごす。ここでは通話できるので友人に電話する。夜のデイルームは少し寒い。部屋に戻り22時消灯、左でいびき、右で寝言のステレオはきつい。自分もいびきをかいているかもしれないのでお互い様か。よく寝られずに入院1日目はゆっくり過ぎていった。

8日(水)~9日(木) 検査は続くよ

翌朝、体重、血圧、体温の測定、これは退院まで毎日続く。「入院診療計画書」をもらう。医師と看護師、薬剤師、理学療法士の連名になっている。特に問題ないのでサイン。午後から心臓超音波検査、外来で受けたのと同じ、これもこれから何回となく受けることに。

ホルター心電計を装着する。胸と腹に3か所、赤、黄、緑の電極を貼り付けて本体を首から下げる。本体は昔のヘッドホンステレオくらいの大きさ、少し重い。bluetoothで接続できて、看護師さんが持つスマホのような形のリモコンを近づけると心電図が表示される。無線が飛んでいてナースセンターのモニターで監視できる。病棟のフロア内しか電波が飛ばないので、売店など外に出るときには必ず声をかけるように指示される。

9日は末梢血管超音波検査、手足を超音波で診る検査。動脈瘤や血栓の有無がわかるらしい。短時間で終わる。

麻酔科の説明があった。パンフレットをもらう。麻酔の事故の発生率は「ほぼあり得ない」レベルの実績ということが理解できた。同意書にサインする。

この日の最後は最も大掛かりな検査、「経食道超音波検査」を受ける。普通の胸の外から触る超音波検査では裏側にある弁の状態がよくわからないので、食道から胃カメラのように超音波プローブを入れて検査する。静脈麻酔をかけて行うので手術室で実施する。早めに麻酔医の説明があったのもこのため。検査は夕方になった。左手首に点滴の口を付けられる。だんだん病人らしくなってきた。朝からやっている別の手術が長引いて検査が遅れる。夕食はお預け。

呼ばれたのは18時過ぎ、点滴が始まって、車いすで手術室へ。実際の手術の時は麻酔をかけられて行くので、手術室を見られるのはこの時だけ。エレベーターを降りるとやけに殺風景な空間があり、大きな手術室の扉が。近づくと開くのかと思ったら、扉の横の溝に足先を挿しこむと開くようになっている。不用意に開かないためだろう。部屋に入った瞬間に張り詰めたような、異様な空気に気付く。緊張感があるのは事実だが、後で聞いた話では感染予防のために室内の気圧が上げられているとのこと。本当に空気が違っていたのだ。扉が開くと手術台、ではなくて、病棟より殺風景なナースセンターがあり、ちょっとしたロビーになっている。手術室はいくつもあるようだ。ロビーの小さなテーブルで検査の同意書にサインする。今度こそ手術室へ、扉が開くとテレビで見た無影灯と手術台が。自分で手術台に横たわる。麻酔が効いて意識を失う。

病室に戻るエレベーターの中で意識が戻る。ストレッチャーに乗せられている。名前を聞かれるがまともに声が出ない。医師の反応ではこれで問題ないようだ。部屋に戻ると、遅い時間だったが食事を暖め直して出してくれる。のどに違和感があったが何とか食べる。声は出るようになったがひどいガラガラ声だ。

10日(金) 歯医者にも行く

10日は院内の歯科の検査を受ける。周術期口腔機能管理というそうだ。麻酔時に歯周病による歯のぐらつきがあったり、不安定な詰め物があったりすると危険なので確認される。特に問題なし。ぐらつきなどがあるときはマウスピースを作成するそうだ。だいぶ歯医者さんに行ってなかったので助かる。帰りがけにかかりつけの歯科医を尋ねられる。かかりつけ医につなぐための紹介状を用意してくれるとのこと。

手術に必要なTパンツと、手術後に必要になるプロテクターの「ハートホルダー」の購入を指示され、売店に行く。この手術では胸骨を中央で切って、術後にワイヤーで固定するため、せきや体の動きで固定した部分に力がかかると負担になる。ハートホルダーは、力がかかりそうなときにレバーを手で締め付けて保護するもの(9,900円)。

ハートホルダーの使い方(添付文書JMDN35409000より)

土曜日はなにもなく、のんびりと過ごす。以前なら友人が面会に来たものだが、まだコロナの影響で家族に限定されているので人が来ない。余計な気を使わなくて良いのでこれはこれで楽かも。大部屋の他の患者さんは80代が多い。50代の私は常に最年少、確かに医者が「若い」というだけのことはある。

さて、これで事前の検査はほぼ終わり、来週からは本格的に手術に向けての準備が始まる。そこからは次回。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?