#57_ガッツポーズを作ると楽しくなる(感情の進化論)
だいぶ前に買った池谷裕二さんの『ココロの盲点』(いろいろな認知バイアスを集めた本)
をパラパラ読んでいたところ、気になるタイトルが。
それは、「感情の進化論」。たとえば、
① 顔を笑顔にしながら、体は肩を落とす
② 顔を落胆した表情にしながら、体はガッツポーズ
という矛盾した身体状況のうち、どちらがより楽しく感じるかというと、
② 顔を落胆した表情にしながら、体はガッツポーズ
なんですね。「感情は、表情よりも、姿勢に強く引っぱられ」る、とのこと。進化的に見ても、顔より体による感情表現の方が、時間的には古いので、より脳との結びつきが強いのではないか、とのこと。
これは、実感からいってもそうなのではないかと思います。初期の人類においては、ある環境に直面した際、顔よりもまずは身体の方が先に動いていたのではないでしょうか。そもそも表情というのは、他者と密接なコミュニケーションをとるようになってから(特に言語が生まれてから)、発達したものだと想像します。
一方、感情(喜び、悲しみ、怒り、不安…)というのは、ある環境の下で、ヒトにある一定の方向性を持った行為を促すスイッチの役割を果たすのではないかと思いますが、これがうまく起動するほど生存の確率を高めるので、進化的に感情が発達したのでしょう。
そして、表情よりも身体の方が先にあった以上、感情の発達に際し、身体との関係の方が、より深いものとなったことは想像に難くありません。
さらにいえば、「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」という認知心理学では有名なテーゼにもつながりますね。要は、感情→身体ではなく、身体→感情ということ。けっこう、この認知バイアスは実生活に利用できるのではないかと思います。
※ 今日の写真は jmemu_pさんからお借りしましたが、今日の記事にこれ以上ピッタリなのもないでしょうね…
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