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六本木ミッドタウン3本立ては織田有楽斎×緑川洋一×とらや

  サントリー美術館で「大名茶人 織田有楽斎」が2024.1.31~3.24で始まった、ということで早速ミッドタウンへ。昨年、愛知県犬山へ行った際、有楽斎ゆかりの国宝茶室「如庵」を見たこともあり、気になっていました。茶室だけで全く人となりは知らなかったので、この機会に。

  織田信長の弟(なんと第11子。何人兄弟だったんだ)ということですが、歴史でも信長以外だと、悲劇のヒロインお市の方しか兄弟姉妹は意識したことがなかった。この有楽斎、本能寺の変、関ヶ原の戦いを経て、あの戦乱の世を75歳まで生き抜いたという、信長とは真逆の人生。

信長、秀吉、家康の三天下人に仕えて時流を乗り切り、晩年を京で過ごした織田有楽斎の心中には、どのような思いがあったのでしょうか。

展覧会サイトより引用

  ということで、今回はお茶碗の類いがたくさんかな、と思って行ってみたら、それ以上に茶人として色々な人との交流を忍ばせる書状の展示が一番多かったかも。達筆すぎて全く読めない・・・ということで、親切に口語訳がついているものも多かったです。日々の細々したやり取りで「明日は大雨になりそうなのでお茶会は延期しようかと思案中。」みたいなものも。

  すんごい長文でしたが熟読してしまったのが、有楽斎の孫、織田三五郎の遺書。有楽斎から受け継いだ名品をどう分けるのか、どう葬儀をして欲しいのか、家来の身の振り方・・・など知り合いに託しているのが、妙にリアル。一番の家来は後追いしそうだから、絶対止めるよう言い聞かせて欲しい、と呉々も頼んでいたのが涙。今で言うところの「終活ノート」+「形見分けリスト」の2通がしっかり残っていました。

  「自分は独身で子供もいないので、よくよくこのようにしてください」と一人ではなく、複数の知人に相続を託しているのが、現代の「おひとりさま」の老後と同じ悩みで感慨深い。まさかの江戸時代から成年後見人の悩みはあった・・・!

  撮影ダメだったので、昨年、犬山に行った時に撮影した、国宝茶室「如庵」をご参考に。お茶を嗜む知人に「似た茶室を見るんですが、どれがホンモノ?」と聞いたところ、犬山が本物で、それ以外にたくさん模したものがある、とのこと。日本橋の三井記念美術館にもモデルが展示してあります。なぜ?と思ったら、一時期三井家が所有していたから?京都の正伝院から東京の三井家→三井家の大磯別荘→現在は名古屋鉄道が管理する愛知県犬山の「有楽苑」に。

ばばん!本物の「如庵」@犬山「有楽苑」

  中は撮影できませんが、他の茶室とは違う趣向が凝らされており、有楽斎のこだわりがすごいです。

「如庵」を見たらここをチェック(地元ガイドさんに言われた)

  1. 勝手口からは給仕の動線に沿って斜行する壁を立て足元には三角形の板畳「鱗板(うろこいた)」を敷く

  2. 篠竹を打ち詰めた「有楽窓」

  3. 古暦を腰に貼った「暦張り」

って書いても何だかわからないですね・・・YouTubeで写しの茶室の動画が結構上がってます。興味がある方は見てみてください。日比谷線の神谷町駅の近所にもあるらしいです。「あの辺で着物の女性の集団を見たら、そこの茶室でお茶会があるからよ。」とは知人談。まだ見に行ってません。

  そして、サントリー美術館に行く時は、必ずFUJIFILM SQUAREの写真展を覗いていきます。今回は「瀬戸内のメルヘン 緑川洋一」ということで、確かに不思議な雰囲気のある写真でした。

FUJIFILM SQUARE
写真展ポスター

  瀬戸内海をテーマにしたフォトモンタージュ。ポスターになっているカラーもインパクトがあったのですが、私は初期のモノクロが良かったです。「かえり道」「十五夜」「星のふる夜」は、リアルなのにファンタジー。

「十五夜」FUJIFILM SQUARE写真展HPより

生涯を岡山で過ごした緑川洋一(1915-2001)は、常に新しい表現を目指した先駆的な写真家です。太平洋戦争中から記録的なルポルタージュを手掛けていましたが、1950年代になると多重露光、長時間露光、モンタージュ、特殊なフィルム現像、そしてフィルターワークなどあらゆる技法を駆使して、現実の風景をメルヘンの世界へと昇華させていきました。特に、カラーフィルムが一般的でなかった1960年代初頭から色彩表現を意欲的に追求。

「光の魔術師 緑川洋一『瀬戸内のメルヘン』」サイトより引用 

  帰りがけにミッドタウンのとらやさんへ。この前は「銭湯」の展示をしていましたが、今回は「和菓子とマンガ」の企画展!

直球です!和菓子とマンガ

  少年漫画はあまり読まないのですが、こんなに和菓子が取り上げられているのか、と意外な気持ちに。絶対あるはず、と思ったのは「3月のライオン」。はい、しっかりありました。「ちはやふる」は、確かに和菓子大好きなキャラが一人いたことを思い出した。面白かったのは、「テルマエ・ロマエ」の温泉まんじゅうに感動するシーン。そりゃローマにはない。うーん、ローマのお風呂上がりの定番はなんだったんでしょうね。

展示用に特別サイズの本が展示されています。
本物の漫画も置いてあって、時間があれば立ち読みもできる!?
インタビュー記事も本仕立て
お菓子に関係する「菓祖神社」がこんなにある。文明堂の浦和工場内にまで・・・流石

  昨日、大倉集古館で見た「木菟図」で夜の梅に思いを馳せたこともあり、帰りに一口羊羹「夜の梅」と「おもかげ」を買おうと思っていたら、季節限定の「ラムレーズン」という食べたことのない味を発見。ついつい購入して帰宅の途につきました。とらやさんに寄ると、何かしら買いたくなる・・・しっかり罠にはまっている気がする。

新作「ラムレーズン」!

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