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雄弁なモノクローム:ゆらぎたちのぼる光と闇 大巻伸嗣の「真空のゆらぎ」

  キース・ヘリング展で六本木行ったついでにフリーだし見てみよう、と国立新美術館に寄って見た大巻伸嗣の「真空のゆらぎ」(2023.11.1-12.25)、びっくりするくらい良かった。白黒とは思えない濃さ。そして閉じられた空間にいると感じさせない、外界を取り込んだような世界観。

  またまたインスタレーションなので、画像だけだと不完全燃焼なのですが、私のMuseumに絶対1室作りたい感動だったので・・・想像力をプラスして楽しんでもらいたいです。

この美術館の天井の高さがあったから実現した展示!「Gravity and Grace」
たくさんの物語が詰め込まれていそう・・・中のライトが上下して影絵が動く
ずっと見ていられます
「Gravity and Grace ー moment 2023」
「Gravity and Grace ー moment 2023」

  そして圧巻はこの「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」。夜の波打ち際で月明かりの中、波音を聞きながらじっとしている気持ちになります。子供の頃、昼間は人がたくさんいて賑やかだった海が、夜になると波音だけが、ざざんざざんとするのを飽きずに見ていたことを思い出しました。

「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」
「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」透けるような薄布が風で波のようにひるがえります
「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」布のサイズは36.8×15mと巨大!
「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」
「Limited Air Space - Time 真空のゆらぎ」

  動画はダメだったので、せめて複数枚数でイメージを残そう。作品解説によると、ビニール袋が水溜まりに落ち、沈んで見えなくなったのを目撃した大巻氏は、この経験から、見えていないけれど実際にはそれとは違うのではないか、と考えるようになったとのこと。

  「何か分からない存在の気配のようなイメージを劇場的な空間に託し、様々なバージョンを発表してきた」・・・夜の海も確かに、「何か分からない存在の気配」していたな、と同感。それが記憶の共感だったのね。

ドローイング
ドローイング

  ドローイングは優しい小品が多く、舞台空間のデザインなど、下書きなのに1つ1つがすでに何か物語りを紡いでいるようなものばかりでした。どこかでチャンスがあったらまた見たい。


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